• ASSUCK "Anticapital/Blindspot/+3"CD.(SOUND POLLUTION RECORDS/Pollute:17)

 Floridaが生んだUS Grindの雄ASSUCKの1stに、シングル音源を加えた仕様(1stは92年リリース。このCDは94年産)。なんとなく最近よく聴いてるんですが、実は初期の頃ってあんま好きじゃなかったんですよね。俺が初めて買ったASSUCKの音源は1st LPだったのですが、当時俺が嫌っていたwデス・メタル(今は嫌ってませんが、リアルタイムでOBITUARYの1stやDEATHの1stを聴いて、そのデス声に嫌悪感をもよおしたものです。今聴くと全然普通なんだけどね)の腐臭が臭ってたワケですよ。とりあえず音がもう完全にデス・メタルのフォーマットだったので、一度両面聴いてから速攻ダンボールに突っ込んで熟成期間に突入と相成ってしまったのでしたw。
 で、それからしばらくしてからふとダンボールから引っ張り出して聴いてみたのですが、ちゃんと聴くとカッコ良いじゃねえか、と。
 ASSUCKは、基本的にトリオ編成のバンドなんですが、メンバーがかなり流動的だったりします。この頃はベースレスでvoxがPaul Pavlovich、GがSteve Heritage(後にvoxになります。Floridaシーンの顔役的存在で、HOT WATER MUSIC等のバンドのProduceなんかも手掛けてます)DsがRob Proctor(95年のDISCORDANCE AXISのツアー時に、サポート・メンバーで来日してたりもします)。
 Steveのvoxも嫌いじゃないんですが、個人的にPaulのvoxが好き。押し殺し、ドスを効かせた咆哮voxが気合満点で超カッコ良い。ベースレスでありながらも、重さ満点のすり潰したかの如く歪んだリフを掻き鳴らすSteveのG。そこにブラストも余裕でこなすタイトなRobのドラミングが底辺を蠢きまくると、デス・メタル風味でありながらも圧倒的にハードコアなASSUCK流Grindcoreが完成する(個人的にGrind Metalじゃないトコがポイント)。
 一聴してデス・メタル風味なのは、やはりデス・メタルの聖地であるFloridaはTampaのMorrisoundで録音されてるからであろう。勿論ProduceはScott Burns先生(SteveとRobも名を連ねている。SteveはScottの下でProduce業のノウハウを学んだのか)。出音は紛うコト無きデス・メタル・マナーなサウンドなんですが、サウンドに漲る気合や気迫は完全にハードコア。
 楽曲自体も意外に長めの曲なんかもあって、ショート・カット・チューンがてんこ盛りってなテイストとは異なるのですが、この長めの尺の曲がポイントだったり。随所にブラストを織り込みながらも、緩急を自在に使い分ける懐の深さを何気に披露してくれていて、アルバム通して聴いてもしっかり楽しませてくれます。実際、来日公演でも(たしかクレッシェンドで演ったんよ)voxは小さい(165ぐらい?)くせに声が超デカいし、Robのドラミングは異常だしw、とにかくテクニカルで気合入ってて正直想像以上のカッコ良さに完全粉砕されたものです。
 1st出たのも10年以上前だし、若い方とかは未聴の方もいらっしゃるでしょうが、Grindっつーかハードコア好きなら避けては通れないバンドですんで、これを機会に一度聴いてみて下さい。2nd "Misery Index"もカッコ良いんで、見かけたら是非。
 最後に、ちょっとした小ネタを。ASSUCKのヨーロッパ・ツアーのときに、脱退したPaulの代わりにex.CITIZENS ARREST(過小評価されてるNYHCの知られざるナイス・バンド。ABC NO RIOを中心に活動してました)のDs(後にvox)だったDaryl Kahan(余り知られてませんが、あのBORN AGAINSTの1st7"のDsでもあり、ABAZAGORATHのGであり(aka Morgul)、FUNEBRARUMのvoxでもあったりします。つーか、CITIZENS ARREST辞めた後ってDeath Metalの世界に逝っちゃってたのね・・・)がvoxとして参加してたりします。
 どうでもいいんですが、ABAZAGORATHのDsってあのSEDITIONのDsってマジでしょうか。SEDITIONのDiscographyのCDで確認しようとしたら、メンバーの名前載ってないでやんの。7"とかはどっかのダンボールとかに突っ込んじゃってるんですぐには確認出来ないし。SCATHAのメンバーには入ってないんで、あながち無きにしもあらずなんだよね。ご存知の方はご一報を。