• ONSLAUGHT "In Search of Sanity"CD.(FFRR/828142-2)

 U.K.のHMバンドの1989年産の3rd。初期の頃は荒々しいThrasn Metalを演ってまして、メタル系のみならずHCの世界でも評価の高いバンドなのですが*1、俺はこの3rd&Lastアルバムが大好物なのです。はっきり言って、2ndまでのONSLAUGHTとは全く違うバンドと言い切ってしまって良いでしょう。ですから、昔の音が好きだった人達には蛇蝎の如く嫌われているアルバムだったりw。
 このアルバムで聴けるサウンドは、流麗なツイン・リードを基調とした、純然たるパワー・メタル。このように大胆な方向転換をするに至ったのは、このアルバムから加入した新vox、ex.GRIM REAPERのSteve Grimmettを迎えたせいだろう。歴代のvoxとは違い「歌える」voxを得た事により、勢いサウンドもメロディ重視の正統派な方向へとシフトした。個人的には、この方向転換は大正解だと思ったんだけどね。
 楽曲なんですが、これが実に惜しい。あと一歩のところで歴史的名盤になれたのに・・・ってな印象。とりあえず、全9曲なのに2曲もカヴァー*2を演ってるし、1曲目は5分以上もあるSEだしで、実質オリジナルの普通の曲は6曲しかないんだよね。でも、残りの楽曲、とりわけM-4、8の充実っぷりは凄まじい。つーか、これらの曲を聴く為だけにこのアルバムを買ったとしても、けして損はしないだろう。ソリッドでクランチの利いたリフを軸に疾走し、縦横無尽に絡み合い、流麗なメロディを奏でる魅惑のツイン・リードを、リズム隊はタイトに追走。そんなバックを従えて、伸びやかに朗々と歌い上げるSteveの歌声が響き渡るサウンドは、メタルならではの醍醐味を十二分に堪能させてくれる。「今」の耳で聴いても、全然カッコ良いよ。長い尺のメタルな曲も、まぁ許そうw。地味にテクニカルなベースが聴けたりするしね。
 当時は、このアルバムで一気に飛躍するかと思ってたんですが、気がついたら表舞台から姿を消していました・・・。勿体無い。とりあえず、パワー・メタル好きならマストな一枚かと。

*1:1stや2ndは再発されて、amazonでも売ってます。しかも、オリジナルメンバーで再結成したらしい・・・

*2:AC/DCとANGEL WITCH。AC/DCの"Let There Be Rock"のカヴァーはカッコ良いけどね