• BRUJERIA "Raza Odiada"CD.(ROADRUNNER RECORDS/RR 8923-2)

 自称メヒコ産Brutal覆面バンドの、1995年産2nd。単純に音源として考えれば、初期のGrind色が濃い頃の方が全然カッコ良いんですが、実は俺はこのアルバムが一番好きだったり。つーか、このアルバムに収録されてる数曲が異常にカッコ良いのですよ。
 よく言われてるコトですが、このバンドは有名バンドのメンバーによる覆面バンドと呼ばれてますが、実際どうなのかは知らない(メンバー流動的だし人数も増減したりするんで、一時期関わっててもおかしかないけどね)。つーか、個人的には誰が演ってようが興味ないです。要は音がカッコ良いかどうかだからね。その観点から言えば、このアルバムはなかなか良い線いってます。俺が気に入ってる数曲以外の話をすれば、全体的に丹精でメジャーなプロダクションなのはマイナスですが、それをリカヴァリーするかの如くスペイン語でまくしたてるvoxが、スペイン語の響きもコミで独特の味を醸し出していて、ティピカルなサウンドに成り下がることを拒否している。楽曲的にも緩急を上手く駆使して適度にモダンな感覚を打ち出しつつ、粗暴さも失ってはいない。前作に比べてかなりメタル度がアップしているが、少なくてもこのアルバムではそのテイストが有効に機能している。クランチ気味に刻み込むギター・リフや連打されるツー・バスも、効果的に用いられているのでウザくは感じられない。
 と、ここまではこのアルバムに関する全体的な評価。適度にハードでへヴィなサウンドは、なかなか心地良く聴ける。でも、俺が推したいのはそんなありがちなへヴィ・サウンドではない。M-2やM-7、M-9なんかに代表される、ブチ切れ暴走Crustyサウンドにこそ、このアルバムの真価がある。DISRUPT以降のソリッドなUS Crustサウンドに、従来の持ち味であるGrind風味を加味。そこに、まくしたてるようにアジり倒すスペイン語voxがのっかってくると、壮絶な威力を発揮します。とくに、この数曲だけ異常にテンションの上がるvoxが超カッコ良い。初めてM-2を聴いたときは、マジ鳥肌が立ったモンです。個人的には一連のヒスパニック系HCの中でも、この数曲で聴かせるヴォーカリゼーションのアジりっぷりは特筆に価するかと。これでもう少しラフな音で録れてれば、言うことなかったんだけどねぇ。
 で、BRUJERIA自体は今も元気に活動中なんですが、個人的には3rd "Brujerizmo"以降は聴いてません。余りにも打ち込みメタルっぽいサウンドが単純に音の鳴りとしてダサかった上に楽曲も凡庸。好きな方には申し訳ないが、俺はパス。ま、それはさておき、この数曲だけは聴いてみて欲しいです。