ココバット/ストラッグル・アフロディーテ

ココバット/ストラッグル・アフロディーテ

 PANTERAの影響下にあるバンドで忘れてはならないのが、東京の4人組*1COCOBAT。このアルバムは、最も油がのりきっていたオリジナルCOCOBATの最高傑作、1993年産の2nd。
 COCOBATは、1991年にex.MINO-5*2のBだった坂本さん(a.k.a.TAKE-SHIT))を中心に結成。他のメンバーは、voxがex.DISARRAY*3のRyujiさん、Gがex.LAWSHED*4の鈴木さん、Dsが松崎さん。ちなみに、TOY'SのHPのバイオで書かれてる坂本さんが働いていたレコ屋っていうのはEDISONのこと。昼過ぎにEDISONに行くと、近くの柏木公園付近でスケートをやってる坂本さんをよく目撃したものですw。
 初めてliveを観たのは、恥ずかしながらfineナイトでした・・・w。俺はRockabillyもPsychobillyも全く通ってこなかったので、初めて目の当たりにする坂本さんのスラップに根こそぎ持っていかれたのを覚えています。サウンドのテクスチャー的には完全にPANTERA以降ではあったのですが、当時はまだフォロワーもあまり登場してなかったにも関わらず、いち早くその影響を踏まえた独自のサウンド様式を構築していたのが新鮮だったし興味深かったので、その後もliveに足を運んでいました。
 COCOBATの魅力は、前述したように坂本さんのスラップにあるワケですが、他のパートも充実していた点を忘れてはなりません。個人的には鈴木さんのギター・ワークも大好きで、へヴィネスは感じさせないのですが、中音域辺りで執拗にリフを切り刻む独特のサウンド・テクスチャーが面白かったのです。Ryujiさんのvoxはレコーディング向けでした。このアルバムでも随分エフェクトを効かせたりして声のトーンに変化を持たせてますが、その独特の伸びやかさと相まって、音源ならではの面白みが感じられます。liveでは正直声の出がよくなかったので、最前列に居ても声が聞こえないコトがしばしばあったなぁ・・・。松崎さんのドラムも、坂本さんの派手なプレイを支えるかのような堅実なプレイっぷりが印象的。
 さて、COCOBATファンだと1stを推す声も多いとは思うのですが、個人的にはサウンド・プロダクションや楽曲のクオリティを鑑みると、トータルではこのアルバムがベストだと思います。イントロの"Take Care of Your Ass"で先制パンチを決めてから、長い尺でグルーヴィに展開する"Struggle"へ。そして鋭利なリフとスラップ、突っ込みまくりなDsが交錯するliveでのハイライトの一曲でもあった"I Feel Nothing"への流れは、今聴いても余裕でテンションが上がるカッコ良さ。個人的なハイライトは、DOOM*5とのsplitで衝撃を受けた"Skimen"。何故かこの曲は当時のliveでは毎回演るって曲じゃなくて、俺は間が悪くて3回ぐらいしかナマで聴いてないんだよなぁ。途中のブレイクが死ぬほどカッコ良くて辛抱たまらんですよw。
 派手なアルバム前半に対し、後半は激渋。粘っこい展開でじわっと攻める曲が中心で、これがまたカッコ良いんだ。COCOBATってわりと派手でファッショナブルな印象が強いと思うんだけど、意外と地味な曲多いんだよね。個人的にはそんな地味な曲にこそCOCOBATのセンスとかが反映されてると思う。
 前述したようにCOCOBATのliveには当時かなり足しげく通ってたんだけど、今にして思えば俺がlive観るときのポジショニングがステージ最前列左サイドが基本になったのって、COCOBATのせいかもなw*6。個人的に印象深かったliveは、やっぱこのアルバムのレコ発@LOFTかなぁ。当時の俺のここ一番の勝負TシャツwだったCHAIN OF STRENGTHのTシャツ*7を着て行ったのですが、当時はまだ若かったんで他人の迷惑省みずにダイヴとかしてたんですがw、なんかlive終わったら背中には足跡がついてるわ、前のほうは他人のTシャツの色が付着するわで*8もう散々w。良い思い出だよw。
 結局、このアルバムのツアーを最後にDsが脱退し、オリジナルCOCOBATは終焉を迎えた。後任のDsが個人的にはイマイチだったんで徐々にliveから足が遠のき、鈴木さんの脱退以降はlive観たコトないです。2001年に行われた結成10周年記念のオリジナル・ラインナップでのliveはちょっと観たかったけど。
 COCOBATは事実上坂本さんのバンドなんで、脱退劇を繰り返しつつも現在も健在。RyujiさんはDISARRAY時代の盟友Kasugaさん*9とDESSERTを結成。松崎さんはex.NUKEY PIKESのG、岩田さんと共にSUNKINGを結成。鈴木さんはGRUBBYを経てPULLING TEETHで活動中。オリジナル・メンバーはなんだかんだで皆その後もバンドを続けていたのは、なんか嬉しい。90年代初頭のシーンに於いて、COCOBATの活動のスタンスは非常に軽やかだった。Metal、HC、Hip Hop、Mixtureなどのジャンルを横断し、どのシーンからもリスペクトを得ていたように思う。今でも西新宿のレコ屋街を歩いてると、通りでスケートをしている坂本さんの姿がフラシュバックするときがある。そんな時は、帰ってからCOCOBATの1stや2ndを引っ張り出してきて聴いたりします。90年代初頭の俺の記憶の1ページを彩る、そんなバンドの一つ。

*1:1993年当時

*2:あんま知られてないが、かつてはあのChelseaさんも在籍していたのですよ?SELFISHからリリースされた"Stagnate"CD.には参加してないけど

*3:仙台を拠点にしていたバンド。ADKからflexiをリリースしてました

*4:HOWLING BULLからアルバムをリリースしてたTharash Metalバンド

*5:日本のほうね

*6:ステージに向かって左が普通Bのポジション。俺はいつも坂本さんばっか観てたからw

*7:"What Holds Us Apart"柄。REVELATIONの復刻版じゃなくてFOUNDATION RECORDS版なんで、ちょっとレアw

*8:夏だったんで白いTシャツを着ていったのが敗因w。汗だくになったら、色つきのTシャツのヤツとは接触するべからずw

*9:当時は「Gas」さん