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- アーティスト: Pantera
- 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
- 発売日: 1994/04/21
- メディア: CD
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1990年。当時まだまだメジャー・シーンではHR/HMが隆盛を誇ってはいたが、ことThrash Metalのシーンにおいては、変化の兆しが見え隠れしていた時期でもあった。アンダーグラウンド・シーンではSOUNDGARDENやNIRVANAを筆頭とした新世代のロックが台頭し始めていたし、Thrash Metalのシーンでも1989年頃を境にオーセンティックなThrash Metalの勢いは衰えを見せ始め、より過激でアンダーグラウンドなDeath Metal勢が徐々に勢力を拡大してきていたし、さらにはMINISTRYやGODFLESHといったインダストリアル方面のバンドも、メタルのシーンを侵食しつつあった。MINISTRYなんかはMEGADETHの来日公演のBGMで使われたことで、それまで中古盤屋で掃いて捨てるほど陳列されていた"The Mind Is A Terrible Thing to Waste"が一気に無くなったのを覚えているｗ。
新たな方法論を持ったバンドが様々なシーンから次々と生まれていた中で、このPANTERAの出現は一際異彩を放っていた、と言って良いだろう。当時、たまたま立ち寄った新宿のユニオンで中古盤を掘っていたら、店内BGMで"Cowboys From Hell"がかかったのだ。そのあまりに鋭利なギターの切れ味とへヴィなリフを聴いてしばし呆然と聴き惚れた後、速攻で店員さんに何の音源か尋ねて購入したのを今でも鮮明に覚えている。購入する際にPANTERAの音源と聞かされて、これまたビックリ。今までに何度かラジオで聴いたコトがあったのだが、そのときはこんな凶暴な音は出していなかった。
とにかく、スピードに頼らなくても十二分にへヴィなサウンドを構築出来るんだ、という方法論は、Thrash Metal以降のHR/HMのサウンドとしては画期的だった。このサウンドのキモは、なんといっても故Diamond Darrellのギター・ワークにある。鋭利で暴力的かつパーカッシヴでグルーヴィ。Terry Dateのサウンド・テクスチャーの手腕も絶賛されて然るべき*3だが、それを差っ引いてもこのリフのカッコ良さは特筆に価する。HRやHMという音楽に欠落していると感じていた「グルーヴ」という概念を、プリミティヴな身体性と共に持ち込んだ事が後のシーンに与えた影響力は計り知れず、PANTERA「以前」と「以後」というぐらい大きな断絶となってHR/HMの歴史に痕跡を刻み込んだと言えよう。
実はPANTERAの楽曲は、このDiamond Darrellのリフ以外の構造は恐ろしくオーセンティックなHMだったりするのですよ*4。この頃のPhillip Anselmoのvoxは普通のHM系のvoxまんまだし、リズム隊もHMマナー*5。後のアルバムでPhillipのvoxとか曲のテクスチャーとかが修正されていくのですが、個人的には、この頃のオーセンティックなHMテイストは嫌いじゃない。つーか、妙な個性があって面白いと思うんだけどね。攻撃性を求める向きにはオススメしないけど、PANTERAはどうも・・・っていうHM好きな方には薦めておきたいですな。
そんなDiamond Darrellが亡くなった・・・。前述したように"Far Beyond Driven"以降は聴いてないし、DAMAGEPLAN自体も「ふーん」ってカンジでスルーしてたんですが、流石にこんな事態になろうとは想像だにしてなかったよ。結局、ナマであのギター・リフを体験する事は出来なかった。人生、何があるか分かんないよなぁ・・・。つーか、兄弟を目の前で殺されたVinnie*6も辛いよね・・・。なんともやりきれない話だよ・・・。
*1:通算5th
*2:"Far Beyond Driven"までしか聴いてないんで、それ以降にもっと良いアルバムがリリースされたかもしれないが
*3:この音作りの源流は、1989年にリリースされたOVERKILLの"The Years of Decay"ですでに確立されていた
*4:リフ以外ってのがミソ。結構ソロは弾きまくりで、リフの先鋭さとソロのOld Schoolマナーなメタル・テイストの対比が面白かった
*5:結局、このリズム隊のメタルっぽさがイヤになってPANTERAを聴かなくなった。ツー・バスを延々ドコドコやられてしんどかったんだよ、当時はｗ
*6:情報が錯綜して一部ではVinnieも亡くなったとの報もありますが、現地のニュース・サイトとかを見る限りではVinnieは生存してる模様
