Frankie N.W. Stubbs(LEATHERFACE)

  • LEATHERFACE "Mush"(ROUGHNECK RECORDING)

 U.K.はSunderlandの4人組、LEATHERFACEの1991年産の最高傑作。80年代末期〜90年代初頭にかけて一世を風靡したU.K.メロディック勢の中心バンドの一つであり、シーンの顔的存在であるFrankie N.W. Stubbsが在籍するバンドでもある。
 1988年の8月に結成。このアルバムでのメンバーは、vox&GがFrankie、Gがex.HDQのRichie Hammond(aka Dickie Hammond)、BはSteven Charlton、DsにはAndrew Laingという構成。B以外はオリジナル・メンバーです。このアルバムをリリース後、Bにex.SNUFFのAndyが加入。解散するまでこのメンバーでした。
 LEATHERFACEの魅力は、広く世間的に知られているフレーズ「HUSKER DU meets MOTORHEAD」に集約されます。HUSKER DUに代表される哀愁を帯びたメロディを、MOTORHEADばりの爆走仕様でお届け。MOTORHEADと言われる由縁はそれだけではなく、LemmyばりにしゃがれたFrankieの声にも起因していたり。U.K.特有の湿り気を帯びた物悲しいメロディを、田中邦衛ばりのルックスwとLemmy Kilmisterばりのvoxで歌い上げる・・・カッコ悪いワケねぇじゃねえか。
 この"Mush"では、そんなLEATHERFACEの魅力が余すところなく収められています。疾走感と焦燥感は全編に漲っており、ミッドな曲でも緊張感が途切れる事はありません。狂おしげに歌い上げるFrankieのvoxはしわがれた中にも艶やかさを感じさせ、物悲しさに拍車をかける。そんなテイストが如何なく発揮されるのが、"How Lonely"や"Not A Day Goes By"に代表される楽曲。グイグイとドライヴする爆走チューンにも関わらず、焦燥感と切なさが交錯する独特の世界観を構築。粗野なんだけど泣けるという、どうにもたまらんサウンドなのですよ?ラストのPOLICEのカヴァー("Message in A Bottle"!)もハマってます(カヴァー曲のセンスも良かった)。そんなサウンドに負けず劣らずLyricも泣ける・・・かなりロマンティックだったり。
 "Not A Day Goes By"の一節「No I Didn't Think You Were Wrong and I Can Still Sing You're Favourite Song.It's Not As Simple As Forgetting Presents That Were Bought.And Not A Day Goes By When I Don't Spare You A Thought」ときたもんだ。上記のようなルックス&声でこれを歌うんだぜ?そりゃ反則だってw。
 これをリリースした当時、待望の初来日も果たしたんですが(@恵比寿GUILTY)ここで初めて目撃したナマFrankieはスゴかった。開場前に路上で友人とまったりしてたら、フラっとFrankieが登場。一瞬「おぉっ!」とテンションが上がったのですが、次の瞬間には「・・・え?」と疑問に思考が切り替わりまして。だって上半身ランニング(あれはタンクトップではないw)姿の冴えないおっさんがフラフラ歩いてんのよ?その余りのオーラ・ゼロっぷりに、中には気付かなかった人もw。で、なにしに来たのかな〜とか眺めてたら、近くにあった自販機でビール買って呑んでんのなw。アンタ、自然体にもほどがあるよ!ステージとかも良かったのですが、何よりもその冴えない勇姿が目蓋に焼きついてますw。
 そんなLEATHERFACEですが、次作"Minx"から徐々に失速。最後は"The Last"という身も蓋もないタイトルの音源をリリースして解散。解散後は、Frankieはプロデュース業などを経てPOPE、JESSEというバンドを結成。共にアルバムを一枚ずつ残し(JESSEは名盤なんでオススメ)LEATHERFACEを再結成し、現在に至ります(ソロとかも出してます)。Dickieは、ex.THE ABS(独特のメロディ・センスを誇っていたナイス・バンド!)のメンバーとDOCTOR BISONを結成。地味ながらも良質なアルバム(俺の知る限りでは2枚)を残しています。で、それからex.HDQのvoxだったGolly Golledgeとよりを戻しw、STOKOE〜FATTY JONES〜THE JONESというバンドで活動してました。数年前にアルバムが出たけど、今はどうしてるやら。Andrewは再結成LEATHEFACEに参加してます。そしてAndyは・・・交通事故で他界しました。r.i.p.。再結成後にリリースされたHOT WATER MUSICとのsplitアルバムに"Andy"という曲が収録されてますんで、聴いてみて下さい。
 現在のLEATHERFACEはこの当時の面影はあまり残っておらず、後期〜JESSEの頃のサウンドを、ちょっと枯らしたテイストで披露してます("Minx"の頃から、かなり洗練された方向にシフトしてましたが)。それはそれでカッコいいんですが(Frankieの声の魅力も増すし)やはり思い入れがあるのは、この頃までのLEATHERFACEです。今でも頻繁に聴きますし、現在のバンドと比較しても全く以って劣化してないEvergreenなサウンドを聴くことが出来ますから。新譜共々、是非聴いてみていただきたい。丁度3/9からツアーが始まるんで、久々に日本にも来てくれないかなぁ。つーか呼んで下さいよA森さんw。