スタンド・イン・ライン

スタンド・イン・ライン

 先日KATを引っ張り出してきたときに、なんとなく一緒に掘り出してきた音源の一枚。初めてChris Impellitteriというヘンな名前wのギタリストの名を耳にしたのは、1987年末頃だったか。Yngwie以上の光速プレイの噂は耳にしていたのですが、如何せん当時リリースされていたミニアルバムは収録曲数のわりには高かったのでwスルーしていたのです。すると、上手い具合に1988年の春に1stがリリース、しかも国内盤も出たので、早速購入して聴いてみたのですが・・・いやはやウワサ以上の速弾きっぷりに、いささか度肝を抜かれましたよ。だって、速く弾きすぎて、音の間隔が詰まりすぎて濁って聴こえるんですよw?意味ねーw。
 でも、そんな極端なトコを差っ引くと、意外とちゃんと聴けるハードロック・サウンドに仕上がってるのです。なんせメンバーが結構強力で、voxはex.RAINBOW、MSG、ALCATRAZZっつーよかオールバックのヘアスタイルが強烈なGraham Bonnet、Bはex.QUIET RIOTのChuck Wright、Kbはex.DRIVERのPhil Wolfe、Dsはex.Ted Nugent Bandと言うよりは、後にMr.BIGを結成すると言ったほうが話が早い、Pat Torpeyという布陣。
 中でも特筆すべきは、やはりGrahamでしょう。RAINBOW時代も自己主張の強すぎる歌声でRitchie以上に目立っていたお方ですが、ALCATRAZZ末期の失速〜fade outという印象が強かったので、このバンドで再起を図るとは思わなかったなぁ。でも、冷静に考えてみるとRitchie Blackmore〜Michael Schenker〜Yngwie J.Malmsteen〜Steve Vaiという錚々たるギタリストと組んできた人だけに、旬のギタリストだったChrisと組むのは必然だったのかしら?とか思ったり思わなかったり。
 このアルバムで聴けるGrahamの歌声は、全く衰えを感じさせず艶やかで力強い。つーか、濃い。濃ゆいよw。弾きまくりで退くコトを知らないChrisのGと、クドさすら感じさせるGrahamの濃密な歌声とが絡み合うサウンドは、はっきり言って過剰。M-5の"Tonight I Fly"辺りがこのバンドの真骨頂か。でも、Grahamらしいキャッチーでポップな要素も踏まえているので、意外と聴き易かったり。濃厚な楽曲の狭間にM-2のGrahamのお約束ソングである"Since You've Been Gone"やM-8の"Goodnight and Goodbye"みたいなキャッチーなHRナンバーが挿し込まれてるおかげで、アルバムの流れとしても良いアクセントになってると思います。
 個人的には今でもたまに聴きたくなる良いアルバムだと思うのですが、Chrisの光速ギターというファクター以外の面で語られることも余りなく、自然消滅っぽく消えていってしまったのでした・・・。このreviewを書くために色々検索とかしてたら、この後1992年に復活してまして、以降はコンスタントに活動してアルバムも結構リリースしてるようです。でも、Grahamとかは脱退しちゃってるし*1このアルバムの音楽性とは違うみたいなんで、どうでもいいやw。

*1:2002年に再度合流してアルバムを出した模様