• 千本ノック座談会「STRONG FAIRY FLY AWAY」コピー誌

 昨年冬コミ・リリースの、目下のところ最新作。同時に購入した旧作よりも確実に絵のクオリティがアップ。相変わらずトーンを一切使っておらず、効果とかも全て手描きで行っているところにこだわりと情念を感じます。往年の和泉航*1ばりというか。
 絵のほうは愛らしさがアップし、今回の作品を描く上で最も重要なファクターである少女のイキイキとした生命力溢るる姿を見事に表現していて、ますます魅力的に。一方、内容のほうは相変わらずstraight forwardな激情emoテイスト全開。今回は「心」に比重がおかれてまして、少女の深く暗い心の傷の原因や病巣と現在おかれている幸せな環境とを対比して描き、それと連動して少女の内面の逡巡や葛藤も丹念に描写。
 全ての出来事を無理矢理受け止め、それでも生きていこうとする心と、徹底的に穢され尽くした自分がけして幸せになどなれるわけがない、と自らを責め苛む心とが常にせめぎ合っている。折れそうになる心を自ら鼓舞し、どんなに無様でも、這いつくばってでも前を向いて生きていこうとする少女の壮絶且つ圧倒的な「意思」。
 そんな激情を真正面から描くという荒業が披露された渾身の力作。ちょっと強引過ぎて力で捻じ伏せた印象もありますが、読んでて間違いなく圧倒されます。ここで描かれている激情や情念はenvyにも通ずるものがあるかと。ホント、こういう力のある作品と対峙するのはしんどいですw。無論オススメです。
ex.>id:PIG-M:20041207、id:PIG-M:20050119
 

*1:これは分からない方のほうが多いか。1986年に「水玉少女マーケット」という隠れた名作をリリースした作家さん。単行本に収録されてた作品は全てトーン未使用。味のある良い作家さんでした