GRIP

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 来る3/6に解散を表明した4人組の、1996年産の1st。この頃はトリオです。
 俺が初めてHUSKING BEEを知ったのは、snuffyのコンピ"Ultimate Slow Beats"の収録曲で、でした。当時のsnuffy周辺のバンドをコンパイルした良いコンピなんですが*1そこに"8.6"が収録されてまして。乾いたトーンで掻き鳴らされるギター・リフ、メロディアスなベース・ラインとパワフルなドラミングが交錯し、そこに非凡なメロディを歌う焦燥感溢るるvoxが切り込んでくるという楽曲は、その切なる想いが込められた歌詞*2と共に当時snuffy系が若干食傷気味であった俺にとって、実に鮮烈なインパクトを残してくれました。
 それからしばらくして、当時俺がコミュニティFM局でやっていた番組でSPROCKET WHEELをゲストにお迎えしたんですが、その収録の際にひょっこりHUSKING BEEのメンバーが付いて来たのですよ。SPROCKET WHEELのメンバーの顔は知っていてもHUSKING BEEはliveも観たコトなかったので最初は誰だか分からなかったのですがw、HUSKING BEEのメンバーだと知らされたときはビックリしたものですw。無論速攻でゲスト出演の要請をし、後日めでたく出演してもらったりw。
 その後もHUSKING BEEのレオナさん*3とはJUSTICE LEAGUE*4でたびたびお会いしまして、マルさんらと共にPop Punk談義に花を咲かせたりしてたものです。もっとも、その後JUSTICE LEAGUEが移転し、マルさんが店を離れたのをきっかけにぱったりJUSTICE LEAGUEには足を運ばなくなり、レオナさんらとも疎遠になって今に至ったりしてるワケですが。
 ・・・とまぁ、俺にとっては何かと思い出深いバンドだったりするのですよ。中でもとりわけ思い出深いのが、この1st。リリースまでの紆余曲折なんかのいきさつも当時聞いていたので、プロモのアドヴァンス・テープを貰ったときの感慨は一入でした。ジャケ*5とかサウンド・プロダクションとかの弱さはあるものの、HUSKING BEEの持つ青さと焦燥感が最も反映されており、デビュー・アルバムに相応しいYouthなテイストが素晴らしい。
 HUSKING BEEの魅力といえば一も二もなく非凡なメロディ・センスにあるワケですが、このアルバムの時点ですでにその基礎は固まっていた。シングルなどでは疾走感のあるイメージが強かったが、このアルバムではピアノを用いたり*6アコギを使ったりと、後の芳醇な音楽性の萌芽を感じさせるアレンジも披露。
 でも、やっぱりこのアルバムのハイライトは、シンプルでストレートで疾走感溢るるポップ・チューンの連打にあるだろう。全曲確固たるフックを持ったオリジナリティのあるメロディ・ラインを有しており、それを歌い上げる磯部さんの声は焦燥感とエモーションに満ちており、単なるPop Punkに止まらない何かを感じさせてくれた。惜しむらくはプロダクションの関係上音の鳴りの起伏に乏しく、磯部さんの歌声と比べると生々しさに欠ける点が悔やまれるところ。そこら辺のプロダクションの差異に関しては、シングルやSPICE OF LIFEからリリースされてた一連のコンピ・シリーズを筆頭とした音源を聴いてもらえば早いだろう。拙さは残るものの、より生々しいHUSKING BEEの姿が鮮明に浮かび上がっており、個人的にはそういったヴァージョンの方が好きだなぁ。
 "8.6"、"Walk"、Go It Alone"、"My Own Course"辺りが初期HUSKING BEEの真骨頂だろう。喪失感や感傷、そしてそれでも進んで行こうとする意思を感じさせる歌詞の世界観も青いといってしまえばそれまでなのだが、それ故に沁みるものがある。後の日本語詞と熟成された楽曲とで構築されたサウンドも嫌いじゃないが、あそこまで成熟したものよりは、ここで聴ける直截的な表現のほうが少なくとも俺の心には訴えかけるものがある。
 メジャーに移籍以降liveを観たコトは無いが、ツアー・ファイナルは観に行きたいな。久々にじっくり聴いたケド、やっぱ好きだわ。

*1:海外でも、今は亡きナイスなレーベルALLIED RECORDINGSより"Peace and Love"というタイトルでリリースされました。国内盤と収録バンドが一部異なり、国内盤にはNAPPY GIGOLOが、海外盤にはその代わりにMIDDISHADEが収録されてるのですが、海外盤はクレジット・ミスがあり、SPROCKET WHEELとMIDDISHADEの収録順がテレコになってたりしました

*2:磯部さんは広島出身

*3:ex.CAPTAIN HEDGEHOG。当時はC・A・P'N HEDGE HOGって表記だったケド

*4:旧店舗時代。現BASEの入ってるトコは、かつてはJUSTICE LEAGUEが入ってたのですよ。その当時はSPROCKET WHEELのマルさん(現CRADLE TO GRAVE)が働いてまして、俺は番組のフライヤーを置かせてもらってたので、ちょくちょく出入りしてたのです。当時はマルさんの趣味が繁栄された品揃えで、俺が今だに愛用してるFIFTEENのTシャツもココで買ったのでした

*5:本人たちも納得いってなかった模様。ちなみにジャケの男のコはレオナさんの弟で、Hi-STANDARDのP.V.なんかにも出演してました

*6:そのM-8 "Question"の女性コーラスの正体が一色紗英っつーのは今となっては有名な話だけど、当時はオフレコだったんで番組でも言えなかったのねんw。Mr.T EXPERIENCEのメンバーと一緒に映ってる写真とかも見せてもらって、当時かなりのけぞった覚えがw