• 酔月工房「うさうさ☆セイバー電波戦争①」「うさうさ☆セイバー電波戦争②」

 profおおつきさんと酔月さんの二人サークルを初チェック。web comicはよく見ていたのですが、同人誌は買ったコトなかったのですよ。酔月工房といえばトロクェイドなワケですが、そのトロクェイドの対抗馬wとして新たに爆誕したのが今回のシリーズの主役、うさセイバー。うさ耳装備で二頭身という凶悪に愛くるしい造型。語尾に「〜うさ」とつけるなど、萌え対策も万全だw。作品のノリとしては、意外なほど密度の濃い作画*1と、グイグイ押しまくるドライヴ感のある展開が魅力。もう少しスカスカで間を活かした方向性かと思ってたんで、ちょっと意外。とくに作画面での書き込みっぷりが良い味だしてます。個人的にはうさセイバー登場の見開きページで完全に持っていかれました。背景の細か〜い楽描きの数々から、ホントマンガ描くのが好きなんだな〜っていう思いが伝わってきて、好印象*2。細かいテキストとかでもぼそっと面白いコト言ってたりして、読む度に発見があります。ただ、画面の密度が濃すぎて若干読み辛いかも。良くも悪くも目一杯描きたいコトを詰め込んでるんで、しゃーないっちゃしゃーないんですがね。それと、対談風味な後書きは手書きにして欲しかった・・・。せっかくの楽しい世界観が、そこだけ味気なくなっちゃうんだよねー。ともあれ、funな要素がみっちり詰まったナイスな仕上がりで、楽しく読めます。オススメ。
HP>http://suigetu.vis.ne.jp/

  • 千本ノック座談会「ナッ・ツィ・オ」

 こ れ は ス ゲ ェ ぜ ! エロソングさんの個人サークルの本で、これが初チェックなのですが*3、久しぶりに完膚なきまでに打ちのめされた極上の一冊。非エロなおジャ魔女本なんですが、まずジャケで卒倒。ラフなんだけどキュートな絵柄でどれみらが描かれてるんですが、ふとジャケの上部に目を向けると・・・あれ?なんかありえない面々が描かれてますよ?○ルカイダのエライ人とか将軍サマとか○泉とか再選した大統領とか○連事務総長とか・・・えーっとゴメン、これってMOTORHATEからのリリースだっけw?そんなカンジでジャケ買い必至だったワケですが、中身は輪をかけて苛烈極まるEmo Crust風味。
 9.11以降の世界情勢とどれみたちの成長とをリンクさせたイントロから、DROPDEADばりの痛烈な視点から末期的世界情勢を形成*4。そこから始まる物語は、おジャ魔女のキャラたち*5が、末期的な状況下にある日本(美空町)*6で敢然と立ち向かう、という凄まじい内容。舞台は美空町から国会議事堂、果てはホワイトハウスにまで及んで米軍と一戦交えるという、壮大なスケール。でも、そんなスケールに全くひけをとらない、地に足の着いた極上のおジャ魔女のパロディとしてもしっかり機能しているトコが素晴らしい。
 どれみを筆頭に各キャラならきっとこうする、といった「分かってらっしゃる」行動をきっちり踏まえており、ともすれば破天荒すぎる設定に依存してしまいそうになるであろうところなのに、最終的に心に残るのはどれみたちであるところは見事としか言いようがない。例えばあいこのエピソードの号泣emoテイストは、原作ファンならずともジンとくるハート・ウォーミングっぷりを披露。そう、この作品はおジャ魔女のパロディを装ったPoliticalな作品ではなく、politicalな要素を巧みに盛り込んだおジャ魔女の秀逸なパロディなのだ。これは非常に重要なポイントであって、確かに「要素を盛り込む」というレヴェルでは済まないシニカルで辛辣、且つ綿密なpoliticalな視点が作品のキモではあるのだが、それを作者のpoliticalなstatementとして利用せずに、あくまでもentertainmentの一環として魅せてくれているところに、作者の心意気が伺える。本来ならもっと独りよがりな方向に流れても不思議ではないのに。
 ちなみに、この作品は複雑な設定のため、独特のフォーマットで描かれています。基本は手書きのテキストで、そこに挿絵風味なイラストとかを挿し込んでいくスタイル。無論マンガ風味なコマ割もあるし、絵だけのページなんかもあります。そして、忘れてはならないのが、絵の魅力。前述したようにラフなんだけどキュートでキャッチーな魅力を持っていて、とくに表情の描写が素晴らしい!ホントにイキイキとした表情を描かれていて、それが、ともすれば暗くなってしまいそうな作品世界を照らす光となっているかと。
 とにかく、これは読んでみないと分からない!けして今風な絵柄やノリではないけど、間違いなく抜群に面白く、かつ同人誌でしか表現出来ない作品であります。生半で凡庸なPCHC*7やcrustバンドの作品よか、よっぽど示唆に富んでいて考えさせられる内容だよ。文句なく大絶賛&大推薦。俺的に、今年買った全てのマンガの中でトップ3に入る面白さ。ちょっと読み手を選ぶかもしれないけど、ウチの日記を楽しんで読める方ならきっと気に入ってくれると思います。過去本も色々あるみたいなんで、地道に探さないとなぁ・・・。

*1:絵も手がこんでるし、仕上げもトーンを筆頭にかなり余白を埋める傾向

*2:作品のロゴもキュートでナイス

*3:どっかで見たコトある絵柄だと思ったら、以前VIRGIN VIRUSの本に描いてた方なのね

*4:コミカルさと若干の飛躍はあるものの、一笑に付せない

*5:どれみたちだけではなく、島倉や玉木、小竹らクラスメイトも登場

*6:先の設定の結果、日本に流入した○朝鮮難民に紛れた工作員らが武装蜂起して破壊工作を展開中

*7:Politically Correct Hard Core