• KILARA "Southern Fried Metal"CD.(Hi-FIDELITY/SLAVE/CRIMETH Inc.)

 VirginaはRichmondの悪夢、KILARAの1st 7"やデモ等をコンパイルした音源*1。90年代後半に活動していたバンドで、なんといってもRichmondシーンの重要人物であるErik Larson*2が活動していたことで知られているバンドである。日本ではHELLCHILDとsplitをリリースしたりもしたんで、結構知ってる方も多いのでは?
 俺は1st 7"から聴いていた*3のですが、その当時は狂気の絶叫voxとフィードバック・ノイズが交錯する激harsh thrash tuneの"Snufflupugus"にブっ飛ばされてたんですが、何度か聴いていくうちにsludgeテイストな曲のほうにもズブズブハマっていき、気がつけばすっかりお気に入りのバンドとなっていたのでした。ただ、この音源を聴いて再認識させられたのですが、"Snuff〜"みたいなtuneの方が異色だったのね。アルバム・タイトルでもある"Southern Fried Metal"っていうのはこのバンドのstatement*4でして、まさに看板に偽り無しっつーか。基本は陰惨かつ残虐なsludgeサウンド。厳密に言えば、sludgeの要素を有したstonerって感じかな。
 俺の解釈では、sludgeはHCの派生系で、暗く重く遅く、そしてザラついたサウンドが特徴で、どんなに遅くともヒリヒリとした緊張感が漲っていて、けしてダレたりしないというカンジ。一方のstonerはsouthern rock〜delta blues〜HRの派生系であり、sludge同様遅くはあるんだけど、そのサウンドはゆるゆるで弛緩した印象。
 KILARAの場合、楽曲のテイストとしてはやはりsouthern rockの要素が濃いとは思うんだけど、演奏の緊張感やvoxのテンションとかがどうしようもなくHCなんだよね。だから、長い曲とかでもダレないし*5ね。むしろティピカルなstonerとは一味違った風味を醸し出してます。例えばM-5の"Succubus"なんてオーセンティックなsludgeテイストなのに、そこにブルージィなハーモニカが絡んできて、もうなにがなんだかw。他にも、しれっと普通のカントリーみたいな曲とかも演ったりしてたかと*6思ったら、へヴィな残虐チューンへと急転直下。なんつーか、狂ってますなw。あるイミ、BAD BRAINSとかの手法に近いモノがあるよね。BRAINSみたくスピリチュアルじゃないけどさw。とにかく、下世話で下品で暴力的で残虐で陰惨な音を聴きたければ、コレを聴け。AC/DC*7やBilly Squire*8のカヴァーもあるでよ。
 結構特異な存在だったんでイマイチ評価されてない気がしますが、今聴いても全然カッコ良いんで、是非一度お試しあれ*9。ちなみに、RHETORICからリリースされた1st "The Funeral Fix"*10もナイスな仕上がりなんで、併せてどうぞ。

*1:当時から使っていたお約束のボケなんですが、唯登詩樹の作品のサントラじゃないのよw。あれは「KIRALA」

*2:ex.AVAILのDsであり、このバンドではDsと一部Gを担当。そしてStonerシーンの顔的存在であるALABAMA THUNDERPUSSYのG。

*3:それに封入されてたステッカーは、俺のベースに貼ってあるw

*4:Tシャツにもこのセンテンスが載ってるのねん

*5:ちょっと誤解を招く言い回しかもしれないけど、ダレるのが悪いワケじゃないのよ。stonerとかの魅力って、そのゆるゆるでダルなトコにあるワケだし

*6:マンドリンバンジョーを交えてw

*7:"Dirty Deeds Done Dirt Cheap"をカヴァー。超下品でロッキンでカッコ良い!

*8:"Everybody Wants You"。こちらはsludge風味なアレンジで、4トラックで録られた劣化音質とのマッチングが絶妙w。Billy Squireファンは聴かぬが吉w

*9:もう廃盤かも・・・ちなみに、パッケージはプラケーじゃなくてショボい簡易デジパックみたいな紙のジャケなんで、中古盤屋で探すときは注意

*10:こちらは通常のプラケー仕様