90年代初頭〜中期にかけてUKで活動していた5人組Guitar Pop Bandの、1991年産1st。当時のUK Guitar Popのサウンドはハウスの影響を強く受けていたので、ダンサブルなビートを取り入れているバンドは多かったのだが、このEMFはJESUS JONESと並んでその最右翼と言っても過言ではなかった(この1stに関しては、だが)。実際、JESUS JONESの弟分的なスタンスで紹介されたりもしていたものです。ルックスがこざっぱりとしていた分、若干アイドル的な要素も有してはいましたが、そんな表層的なイメージとは裏腹に、その音は間違いなくオリジナリティのある本格派だったかと。
 サウンドの特徴は、ダンサブルなビートとギター・ワークにあります。ビートに関しては、非常に歯切れの良いハネ気味なリズムが実に軽快で、単純にドラムだけではなく、ギターの刻みやイタロ・ピアノ風味なキーボードの挿し込みかたなど、細かい部分でのアンサンブルが光っており、洗練された印象を醸し出しています。無論、ProducerのRalph Jezzard(当時のUKのProducerの中では、ダントツに俺好みな音作りをしてくれてた人。とにかくソリッドで分離が良く、ちょっと人工的なサウンドを作らせたら、未だにこの人の右に出る者はいないと思う。Ralph Jezzardが手がけてたバンドは、曲がつまんなくても「音」だけで楽しめたしね)とPascal Gabriel(DEPECHE MODEのremix workなんかでお馴染み)の手腕も貢献度大。メロディ・センスも非凡なものがあり、適度な下世話さを含みつつもどこか爽やかな印象で、センス良く小奇麗にまとまっており、ポップ・ミュージックとしての完成度は高い。
 そして、あんま評価されるコトはなかったですが、ギター・ワークがかなりカッコ良いです。小技を随所に効かせたりっていうのも勿論なんですが、なによりソロのフレーズがやたらカッコ良い!この要素は、2nd前にリリースされた名盤"Unexplained EP"以降顕著になっていくんですが(そして2nd"Stigma"では、1stとはかなりヴェクトルの違うサウンドへと変貌します。で、それがまたカッコ良かったりするんで、今度reviewする予定)この1stでもその片鱗は十二分に感じさせてくれてます。ソロの弾き方もemo的な単音弾き系なんで、いいカンジ。その単音弾きっていうトコにも繋がってるんですが、EMFって意外と音数が多いようでいて実はしっかりと間を意識して音を鳴らしてるんですよね。そこら辺の音の足し引きがしっかりしてるんで、今聴いてもほとんど劣化してないんですよね。
 どうにもミーハー的なイメージがつきまとってますが、ちゃんと聴いてみれば、誰もミーハーなアイドル・ロックだとは思わないだろうに。ちょっと人工的ではありますが、そこら辺が気にならなければ一聴の価値あるバンドです。
 ちなみに、バンド名の「EMF(イー・エム・エフ。念のためw)」ですが、"Epsom Mad Funkers"、"Extacy Mother Fuckers"、"Extacy Mind Fuckers"など、その起源は諸説紛々。名曲"EMF(live at the bilson)"で"Extacy Motherfuckers"を連呼してたりするんですが、冒頭では客が"Epsom"コールしてるしなぁ・・・(Epsomはイギリスの地方都市。別にEMFの出身地じゃないんですが。EMFはCinderford出身)。謎だ。