5/1早朝、父が他界しました。死んだシチュとかも物凄く因縁めいてるっつーか、筍掘りの最中に亡くなったんですよ。友人と部下と3人で掘りに行ったのですが、その最中に心臓の発作を起こし、転倒。すでに心停止状態だったそうで。同行の方が救急車を呼んでくれ、病院へ搬送中にも心臓マッサージ云々などの措置をとり、病院の方でも強い薬などを投薬して善処していただいたそうですが、AM7:25頃に死亡。
 普段は都内で別々に暮らしてるんですが、G.W.や年末年始などまとまった休みがあるときには、父はウチに泊まりに来てました。今回もご多分に漏れず、丁度俺が着替え始めた頃に(俺は徹夜明けでAM5:00に友人と待ち合わせしてました)父は出かけていきました。いつもの日常の光景で、別に「行ってらっしゃい」と言うでもなく、なにか言葉を交わすでもなく、その姿を見送るでもなく。
 そして、二度と言葉を交わす機会も失くしてしまいました。
 AM8:00過ぎ、帰宅してひとっ風呂浴びてくつろいでいたところに、電話がかかってきました。あぁ、どうせ「そろそろ帰るから風呂沸かしといてくれ」とかいう電話だろ、とか思っていたのですが、受話器の向こうからは聞き覚えのない女性の声が。どうやら、20数年前に会ったきりの、父方の親族のようで。「たしか町田に住んでたよな・・・」などと、かつての記憶を掘り起こしていたのですが、その口から伝えられたのは、とても意外な事実でした。
 「お父さんが亡くなったのよ」
 ・・・は?なに言ってんの、このひと。言ってるコトは全く理解出来てないんですが、とにかく病院にすぐ来い、と。呆然としつつも、病院の場所を確認し(以前俺が怪我して、足を縫ったコトのあるトコだったので、すぐ分かりました)支度を整えます。わりと他人事のような感じしかしなかったのですが、そう思おうとしてる頭とは裏腹に、未だかつて体験したコトの無い様な喉の渇きに襲われました。それはもう、砂漠を彷徨う旅人が如き渇きっぷり。ぐびぐび水を飲んでも、ちょっとたったらすぐに唾液も出ないほどに渇いてしまう。肉体は正直な様で。
 「保険証っているのかな?金とられんのかな?ハンコとかっている?」など、想定を遥かに凌駕する事態に脳死状態に陥ってしまってるんですが、何気に「あー、流石にレヴォで着てたCRO-MAGSのTシャツとか着ていくのはマズイよなぁ」などと、どうでもいいコトとか考えながら着替えていると、現場に居合わせた方々が迎えに来てくれまして、その方の車で病院へ。
 俺が同乗させていただいた方は若い方だったのですが、俺と違って現場に居合わせただけに、いささか憔悴してるご様子。状況を説明してくださっている途中、現場付近を通過しました。
 「あの藪の奥のほうで、倒れられたんです」
 ぼんやりと視界には入ってるんですが、覚えているのは、ラジオから聴こえる宇多田の曲だけ。道中、父の話などをしていたのですが、自分が何を言ってるのかは分かりませんでした。表面上は平静を装っていたと思いますが、やはり普段のテンションとは異なる、妙なテンションだったと思います(今も多少おかしいかも)。
 病院の救急病棟に到着後、地下の霊安室へ。そこには、近郊に住んでらっしゃる会社関係の方々が5〜6人ほどいらっしゃいました。重苦しい雰囲気の中、霊安室の中へ。
 殺風景な部屋の片隅には、遺品が入っていると思しき紙袋が。そして目の前には白い布に覆われた、父の亡骸が。顔を覆っている布の下には、まるで眠っているかのように穏やかな顔をした父の顔が。その光景はひどく現実離れしていて、安っぽいドラマのワン・シーンを鳥瞰しているかの如き錯覚に陥ります。そっと頬に触れてみましたが、その冷たさが現実を物語っていました。