• おきらくゴクらく「かにタま。」「たまタま。」

 じゅにさんの個人サークル。未発達な上級生と感情を表すのが苦手な下級生という2人の少女のお話。ぱっと見、ちょっと羽田いかおさんっぽいなーとか思ったんだけど、当の羽田さんもしっかりこのサークルを捕捉していて、ちょっと笑った。一応4コマベースなんだけど、ストーリーものです。コメディ・メインでハート・ウォーミングなエッセンスなんかも注入するスタイルなんですが、セリフの多さのせいも相まって、ちょっと4コマだと読みずらいかも。あと、セリフなんかは手書きの方がより作品の方向性とマッチしてる気がします。まだまだ過剰な表現が多いですが、それらがこなれて削ぎ落とされていくと、もっと面白くなるかと。個人的にこういうオールド・スクールないなたい芸風は好きなんで、今後も頑張っていただきたいです。

 ましこひろみさんの個人サークル。今回が初参加だそうで。つーか、またしても知られざる上手い方の出現ですよ?オリジナルの吸血鬼モノで、そのメイン・キャラの紹介の様な作品。いわばイントロか。幻想的な雰囲気を醸し出す為に主線をぼかした様な手法を用いていて、それが上手く作品世界とマッチしています。どうやら某社で働かれている方の様で、その会社の作品なんかをを知ってわりと納得っつーか。惜しむらくは、絵や世界観にはかなり気が配られているのに、テキスト系にはあまり工夫が見られないところが気になりました。ちょっと言葉が多い気もしますし、フォントなんかにも一工夫欲しかったかな。とはいえ、そこらへんは経験の問題だと思うし、なんせこれが一発目なんだから十二分に及第点は超えてます。これぐらい魅力ある絵が描けるんだから、本編ではA4とかでも良いかも。順調に成長すれば、いずれ名のある作家さんになるであろうから、今のうちからチェックしとけ。要注目。

  • GetReady!!「プロジェクト中の人Vol.2β」

 櫻井善太さんのサークルの新刊・・・つーかほとんどvol.1.5と変わんないじゃんw。最初手にとったとき、一瞬vol.1.5かと思っちゃったし(しげしげ眺めてたんで、ちょっと不審人物気味だったよw)ところが、よくよく読めばすげー微妙に手が加えてあって、気分は間違い探しw風味。前作に4コマを4本加えた構成。前作の解説を削って、そこに新作を追加してます。旧作も、新たにルビがふられたりと親切設計w。巻末マンガもオチの部分だけ変更されてたりと、そういうちんまい変更点が個人的にはツボだったりw。相変わらずヴォリュームの少なさ以外は文句ないっス。きらら系好きは要チェックで。次回は2月のコミティアだそうなんで、是非一読あれ。オススメです。

  • Jet Dekopin Books「"hr"Honmachi Dayori Returns.」「"FH"Furimukeba Honmachi Dayori」

 かわにしゆうじさんのサークル。hrは持ってたんだけど、友人に強奪されてしまったwので、買い直し。FHが今回の新刊。どっちもデザイン重視の雑記ノリ。以前から書いている様に、こういった作者の趣味が前面に押し出された作品っていうのは大好きなんで、個人的には楽しく読みました。可愛い女のコの絵も魅力なんですが、それよかモノに対するテキストの方が興味深い。俺もモノ好きだけど、それはもっぱらソフトに対してなので、こういうハード系のモノ好きの方の嗜好っていうのは新鮮だったり。若干デザインが優先され過ぎて読みにくいきらいもあるのですが、まぁいたしかたなし、か。洗練された作品が好きな方にはオススメです。

  • しもやけ堂「シロクロ シロクロニ」

 逢魔刻壱さんの個人サークルの新刊は、過去にリリースしたオリジナル作品の再録本。逢魔さんの作品の魅力の一つであるharshテイスト溢るる作品。タイトルにも現れている様に、基本的なテーマは「対比」にあります。白と黒、天使と悪魔、美と醜など様々な相反する要素が作品のあちらこちらに散りばめられています。そして、そういった要素を際立たせる意味もあって残酷な描写も表現されていますが、それがメインではないので、ここでは敢えて言及しません。抽象的で内省的な作品ではありますが、商業誌ではなかなか味わえない逢魔さんの魅力の一端に触れることの出来る、興味深い一冊。続編の構想もある様なので、気長に待ちたいと思います。エロを求める方には不向きな内容かと(そういう要素も含まれてますが)。俺は好きです、こういうの。