• NUCLEAR ASSAULT "Alive Again"(STEAMHAMMER/SPV/SCREAMING FERRET WRECKORDS)

 よもやの再結成を経て、来年には新譜のリリースも予定されているNUCLEAR ASSAULT。この復活の狼煙となるlive盤は、2002年5月のMassachusettsでのliveをベースに、同年7月のManchesterでの模様も踏まえた構成。
 NUCLEAR ASSAULTといえば、MEATALLICA、SLAYER、MEGADETHANTHRAXの四天王に続く新世代バンド。中心人物がex.ANTHRAXのDan Lilkerだった事もあり、一連のTHRASH METAL勢の中にあっていち早くHARDCOREのエッセンスを取り入れたバンドであった(言うまでもなく先鞭をつけたのはS.O.D.だったワケだが、パーマネントなバンドとしてはNUKESがその魁の一つ)。特に初期においては、オーセンティックなHEAVY METALなテイストと"Hang The Pope"に代表されるショート・カット・チューンとが混在しており、一種独特な雰囲気を醸し出していた。後にはその融合が進行していくのだが、その結果として最も顕著に現れているのが楽曲のコンパクト化だろう。大概のバンドがキャリアを積むにつれ楽曲は複雑化、大作化していくのが常であるMETALの世界にあって、NUKESの作品はどんどん濃縮されていった(末期は除く)。これは紛れもなくHARDCOREの方法論であったのだが、楽曲自体はコンパクトになってもしっかりギター・ソロ等のMETALのお約束は踏襲しており、そこがまた面白かったりしたのでした。
 活動としては、3rdの"Handle with Care"までは順風満帆だったのだが、これ以降メンバーのソロ活動なんかを機に失速していく(Glenn EvansのC.I.A.、John Connelly Theory、DanのEXTRA HOT SAUCE(これは時期がもう少し前だが)など)コトに。結局、live盤を挟んでリリースされた"Out of Order"発表後Danが脱退してしまい(言うまでもなく、BRUTAL TRUTHで活動)事実上終焉を迎える(知らなかったが、この後もう一枚アルバムをリリースしていた)。今回の再結成は、何回かリ・ユニオン・ショウを演るだけの予定だったのが、思いのほか感触が良かったのに気を良くしての再始動の様子w。
 ここで聴けるサウンドは往年の、とまではいかないものの、想像以上の出来であると言っても過言ではない。まず、Johnのvoxが衰えていないのに感心した。元々伸びのある声が魅力だったのだが、高音でもきっちりと歌っており、過去のイメージを裏切らない。演奏も相変わらずで、濁った音で穢れた重低音を撒き散らすDanのB、微妙にひっかかりのあるGlennのDs、ワン・パターン気味なフレーズ満載のAnthonyのギター・ワークなど、全くもって大人になっていないあたりが微笑ましいw。改めて聴くと、メタルっぽいフレーズがバンバン出てくるくせにどうにもメタルくささが希少なトコは、やっぱ特異な存在だよなぁ、とか思ったり。意外にNUKESっぽいバンドっていないしね。
 ちなみに、現在はAnthonyが脱退してErik Burke(ex,KALIBAS、LETHARGY、SULACOって全部知らねーw)が加入。来年には日本にも行くとか言ってますよ?俺、過去3度の来日公演全部行ってるんですけどw。一番印象に残ってるのは、やっぱ初来日@MZA有明(懐かしーw)。海外のTHRASH METALのバンドとしては、当時まだ珍しかったオール・スタンディング形式でのliveとあって、若干緊張気味だったのですが、会場前で何故か寝転がってるヤツがいたり(倒れてたんだろうか?w)、ビール呷って早くも泥酔気味なヤツがいたりと、着くやいなや不穏な空気に支配されている場の雰囲気を目の当たりにしたら、否応無しに暴力的な気分に(HARDCOREとは一味違った空気なんだよね、やっぱ)。MZA(エムザ)は大雑把に括ればチッタみたいなハコだったんですが、フロアが2ブロックに分かれていて、俺は前のブロックだったのです。前の方にはHARDCORE系と思しきファンなんかが多く、メタルのliveにしては珍しくモッシュ・ピット紛いのスペースが出来たりしていて、俺的には気分良く暴れていられたのですが、流石に途中で苦しくなったので一端奥の方に退避。一息ついて、さぁもう一暴れ!というときに、何気なく後ろを振り向いたのですよ。すると、そこには・・・!
 前と後ろのブロックの間は、柵のようなもので区切られていたのですが、その柵を握り締め、一心不乱にヘッド・バンギングし倒す無数の頭が!その表情は長髪にかき消されて伺い知るコトは出来ませんでしたが、きっと恍惚の表情を浮かべていたに違いない。あたかも養鶏場の如きその光景は、未だに脳裏に焼きついてますw。マーチャンダイズのTシャツがしょぼかったとか、NUKESのキャップのサイズがちっちゃかったとか、どうでもいい思い出が満載w。そんなバンドがまた来たら・・・やっぱ逝っちゃうのかなw。選曲的には3rdまでの美味しいトコをチョイスしてるので、ベスト盤として試してみるのもアリかと。40分に満たないコンパクトな仕上がりも嬉しい、個人的に感慨深い一枚。