• HARLEY'S WAR "Cro-Mag"(LOUD FAST RECORDINGS)

 USHC界でも1,2を争うチンピラw、Harley Flanaganの新バンド。たしかEQUAL VISIONから出るって話だったけど、何故か自主でリリースw。まぁHarleyは言わずと知れたCRO-MAGSのベースだったワケですが、とにかくCRO-MAGSはややこしい。メタルの世界やヒップホップの世界だとメンバー間の諍いはさして珍しくもないのですが、そのアティテュード故に短命なバンドが多いハードコアの世界にあって、これだけ長く活動しながらいがみあい続けてるバンドは皆無に近いのですよ(ぱっと思いつくのはMISFITSとDEAD KENNEDYSぐらいか)。
 最初は音楽性の違いとか、ワリと真っ当な理由が多かったのですが次第に感情的な憎しみあいに発展し、最初のピークはHarleyとParris(G)が警察にvoxのJohnが脱走兵だった過去を暴露したことによって訪れる。その結果Johnは刑務所送りになり、出所後のインタビューで「奴らは俺を売った」「ヤツの事は一生赦さない」など数々の名言を残している。それが原因で袂を分かったバンドはJohnのBOTH WORLDとHarley、ParrisのWHITE DEVILに二分することに。しかしどっちのバンドもパッとせず、なんだかんだで元の鞘に戻ることになるのだが、ここで今度は宗教その他の事情からJohn、Harley組(Johnは有名なハレ・クリシュナの信者。詳しくはSHELTERの"Attaining The Supreme"のラストに収録されてる説法を聴こうw)がParrisをクビに(ParrisはHP上に大人な抗議文を掲載。妙な善人アピールがいかがわしかったw)。それで安定かと思いきや、なんでもHarleyがバンドの資金をギったとかでJohnがHarleyを追い出すという、もう三文小説以下の醜聞を披露。こういった事態が起きるたびにCRO-MAGS名義の権利問題その他に発展したりして、来日した際のCRO-MAGSはCRO-MAGS NYC名義だった。ご丁寧にT-shirtのロゴも全部その名義に変えていたのだが、俺が買ったシャツの裏のイラストがHarleyの作品であるコトはヒミツw。
 まぁCRO-MAGSに関してはとにかく両者の言い分があまりにも食い違い過ぎているので真相は藪の中ではあるが、今回の音源の豪華なゲスト陣などを見る限りHarleyもけしてこのシーンでプロップスを失っている訳ではないようなので、清廉潔白を装っているjohnのインタビューも結構眉唾っぽいが。
 で、このHARLEY'S WARなんですが、その構成はツギハギだらけでして新曲7曲、pre-CRO-MAGSと言えるHarleyのソロ音源4曲、そしてHarleyが小学生の頃にそのキャリアをスタートさせることとなったバンド、THE STIMULATORSのlive(81年だからHarley13歳wちなみにDs)が1曲というとっちらかった内容。HARLEY'S WARは現在でも活動してるけど結構メンバーが流動的で、今回の音源ではHarley(vox,B,RhythmG),Rocky George(G.言わずと知れたex.SUICIDAL TENDENCIES。2月の来日公演にも同行と複雑な立場w),Crazy Jay Skin(Rhythm G.ex.WARZONE)というメンツ(Dはスタジオ・ミュージシャン)。ゲストには盟友Vinnie Stigma(ex.AGNOSTIC FRONT),Mickey Fitz(ex.THE BUSINESS)が参加。がっつりハードコアな曲もあるけど、基本は5th"Revenge"のキャッチー路線に近い、聴き易いナンバーが多い。この路線は評判が悪いのだけど、俺は大好きだったりするので問題無し(実はMISFITSのファンとかにオススメ)。だいたいどんな曲演ったってHarleyがそこにいれば問題無いんだよ。あの凶悪な存在そのものがハードコアを体現してるんだから。Johnのアクションも悪くなかったし頑張ってたとは思うけど、俺が求めていたCRO-MAGSとはほど遠いステージだった。誰もヘルシーで演奏の上手いCRO-MAGSなんて求めてないんだよ。暴力的でやさぐれた地下臭を放ちまくるえげつないCRO-MAGSが欲しかったんだ。やっぱり俺にはHarley分が足りなかった・・・暦ちゃんのシュークリーム分ばりにw。
 early demoはHarleyの初々しいvoxが嬉しい。でもBはブンブン唸ってて、なんだかんだでカッコ良い。STIMULATORSはパンク。ドタバタしてるHarleyのDが笑える。総じて寄せ集め感は否めないんですが、俺は充分楽しめました。あんま音源の紹介にはなってないのはご愛嬌ってコトでw。