FloridaはJacksonvilleの5人組の4th(企画盤除く)。洋楽のロックに多少なりとも興味のある人なら知らない人はいないであろう、良くも悪くも著名なバンドである。前作「Chocolate Starfish And The Hot Dog Flavored Water」(2000年リリース)は世界で1200万枚という脅威的なセールスを記録し、"Rollin'"などのヒット・チューンを世に放った(多分、誰でも1度は耳にしたことがあるだろう)。しかし悪名高きFred Durstと共にバンドの中核を担っていたWes Borland(G)が脱退。しばしバンドは停滞を余儀なくされ、後任探しの為にここ日本でもオーディションが催されたりもした。結局ex.SNOTのMike Smithを迎え、今回のアルバムのリリースとなったのでした。
 ある程度音楽好きな方がうちのreviewとか読んでたら分かると思うのですが、ぶっちゃけlimpにはたいして興味なかったのですよ。個人的な認識としては「ex.HOSUE OF PAINのDJ LETHALのニュー・バンド」ってなカンジでしたし。一応前作はなんとなく買ってみたのですが、数曲を除いてはほぼ用の無い楽曲ばかりで即、寝かせに入ったのでした。じゃあなんで今回買ったのか、と問われれば「・・・なんとなく」としか答えようもないんですがw。たまたまレコ屋に行ったらあんま欲しいものがなくて、limpの新作がリリースされてて、初回盤にはDVDも付いてる、といった偶然が幾重にも重なった結果購入に至ったワケで。ところが、いざ聴いてみたら随分と印象が違う。Fredのウザいwラップまがいの歌唱法が大幅に改善されていて、ちゃんとメロディ歌ってますよ?楽曲も従来のどアッパー路線は影を潜め、ともすれば地味ですらあるしっとり系のギター・ロックがメインで、えっれーいいカンジになってるんですが。なんぼメンバー・チェンジがあったとはいえ、この変わり様は一体・・・?
 地味でメロディ重視にシフトしてるだけでも好感が持てるのですが、それ以上に結構気に入ってしまったのが同梱されてるDVD。一応字幕はついてるものの、基本的にはツアー日記みたいなグダグダな映像の切り張りなんですが、なんつーか普通のアホなバンド野郎じゃん。俺のダチの海外のバンドのやつらなんかと、なんも変わりがないっつーか。バカで下品な気の良いあんちゃん、といった風情はなんとも和みます。酒かっくらって便器に顔つっこんでゲロってダウンしてたり、犬がウンコするとこヴィデオでシューティングして大喜びしてたり、意味もなくケツだしてたり。俺の周りにもうようよしてる、スカムな愛すべき野郎共。Fredの言葉の端々に垣間見える俺節には少々辟易しますが、それをさっぴいても見方はちょっと変わったかな。96年頃のliveの映像なんかもちょっとあって、その頃のliveはちょっと観たいなぁ、とかも思ったり。観客のリアクションなんかは往年のLAメタルの頃のそれに近いのですが(bitchどもは乳見せ過ぎ。エロくもなんともねぇよ!)、本人たちはいたってアタマ悪い(無論褒め言葉ですよ)ままっていうのがなんか良いね。真面目に音楽の話とかされてもひくし(そんなのこのバンドには求めてないしね)。
 と、まぁDVDはイメージどおりなんですが、このアルバムは前述したように極めてまっとうなギター・ロックです(無論limpっぽいテイストは効いてますが)。いままで、「limpなんて無理」って感じてた人にこそ聴いてみて欲しい仕上がりです。とりあえずM-5からM-8辺りの数曲を試聴していただきたい。M-8のSnoopのラップはヒップホップ好きな方も要チェック。やっぱカッコえぇのう。ボーナス・トラックは従来路線で、このアルバムだと映えるので国内盤推奨。地味だけどなかなかイケる佳作。