「ピースマークをおくるぜ!」のNAL=ASKさんが音頭を取った合同誌で、月姫本です。参加メンバーは、前述のNAL=ASKさん、CHRONO the unlimitedのtakitoさん、萩野屋の萩野仁さん、以前reviewしたキングリボルバーの菊田高次さん、そしてイケメンZのMAGYラーさんの5人。菊田さん以外の方の作品は初見だったのですが、おしなべて個性的で楽しく読めました。NALさんの作品は可愛いキャラ(表情がいい)と軽快なテンポで飛ばすギャグもの。takitoさんの作品は無声映画スタイル。動きが大きいんだけど、無音効果のおかげでちょっと面白い雰囲気を出してます。萩野さんの作品は絵的には一番フックを感じました。セリフ回しや緊迫感、オチの情けなさなど荒いながらも魅力的な作風です。菊田さんは珍しく(失礼)完成原稿風味。独特の間を効かせつつも最後は微妙にラヴコメ風味、というニクい仕上がり。トリを務めるMAGYラーさんは、やりっぱなし系なんだけど、微妙にちんまりしたノリがナイス。やっぱりこういうコンピ系の本にはこういった作品は欠かせないでしょう。
 なんというかとても明るくて健全な一冊です。辺に内輪っぽくなってないけど、間違いなく楽しそうにやってるのが伝わってくる内容で、とても好感が持てます。来る冬コミにむけて、早くもFUJI HEART FESTIVAL〜青春時代〜なるTo Heart本企画も進行中。こちらも楽しみです。 

  • Forbidden-Lips「Poison Attack」「めがてん」「Ragged People」

 今回が初チェックのサークル、Forbidden-Lipsはりょうさんの個人サークル。「Ragged〜」は昨年の夏コミリリースのラグナ本。「Poison〜」は昨年冬コミリリースの、これまたラグナ本。「めがてん」が新刊でTo Heart本です。絵柄を見た限りではポップで軽いカンジの内容かと思ってたんですが、いざ読んでみたらあらびっくり。かなりダークでグルーミーな内容ですよ?とくに「Poison〜」のムナク漫画の陰惨さは絵柄とのギャップも相まって、なかなかのインパクト。「めがてん」の委員長マンガの鬱な展開といい、結構キッつい内容が多いです。イメージどおりのキャッチーなテイストもあるんですが、いかんせん前述のイメージが強いもんで。いろんなイミで興味深いです。

 猫(ミケ)さん、オノメシンさん、oyzさんの3人サークルの新刊はDQ本。某エロゲからその存在を知ったサークルさんなんですが、同人の方もなかなかの充実ぶり。マンガに小説、ゲスト原稿などヴァラエティに富んだ内容。エロ的には意外にねちっこい描写が多くて、結構気合入ってるな、と。全体的にまとまってるんだけど、もう一味足りない気も。オノメシンさんの作品なんかはもう少し長めで展開させたら、よりエロくなる様な。旧刊もちょっと探してみるかね。

 お気に入りのサークル、ボストーク通信社は速水螺旋人さんの個人サークル。今回の新刊はタイトルこそド直球ですが(本体のカラーリングも黒&黄の阪神カラー)、中身は毎度お馴染みの世界観&設定集。速水さんの魅力は、なんといってもイメージが豊かなこと。ただ単に細かい設定を羅列するのではなくて、そこに描かれる生き生きとしたキャラクターや世界には、鮮烈な生命の息吹を感じるのですよ。そしてそれらのキャラなどに対する熱い想い。一つのイラストに細々と解説や、そのイラストにまつわるインスピレーションなどが記述されていて、愛溢るるテイスト。それらの要素が渾然一体となって、読み手のイメージをも刺激する訳で。敢えて苦言を呈すなら、マンガも読みたいなってコトぐらいですか。ともあれ、是非一度このめくるめく万華鏡ワールドに触れていただきたい。オススメでございます。