「ラブひな」で一世を風靡した赤松健の最新作が2ヶ月連続でリリース。「ラブひな」終了から今作まで結構間が空いた上に、今ひとつ今作の話題なんかも聞こえてこないので、正直盛り上がってるのかどうかの判断が下しにくかったのですが、夏コミの新刊の動向なんかを見てると意外にネギま本なんかもリリースされたりしていて、赤松人気が未だ健在なのを実感させられました。で、肝心の本編なんですが、正直のめりこむにまでは至ってないのが実情です。相変わらずのドタバタラヴコメ風味の微熱漫画なワケですが、やっぱキャラが多過ぎて散漫な感は否めないですよね。もっとも全キャラのエピソードも出揃ってない内にそういった判断を下してはいけないんですが。
 元々理詰めで描いてる印象の強い作家なんで、「ラブひな」くらいのキャラ数のうちはまだいいんですが、今作くらい増えてしまうと、キャラ毎の設定を忠実に再現させることにプライオリティが置かれてしまって、どうにもキャラ毎の魅力を掘り下げる作業が薄れてしまってる印象があります。登場回数の多いキャラはどうしても「ラブひな」のキャラと被ってる性質のキャラが多くて、新鮮味に欠けるし。クラス名簿を作ったりしてることからも、事前の設定はかなり入念に練りこんである様だったから、実はギャルゲーを最初に作って、それのコミカライズ、という手段を採った方が作品そのもののインパクトが強くなったのでは。
 ともあれ、こういう夢見がちなダメヲタに優しい漫画は好きなんで、せいぜい楽しませてもらいますが。相変わらずサンプリング・ソースとしての機能も高いし、二次創作の大ネタとしての需要は事欠かんでしょ。

  • CLAMP「ツバサ(1)」

 さて、「xxxHOLiC」との連動や週刊連載を2本もかかえるなど、相変わらずそのプロデュース手腕には唸らされるCLAMPですが、肝心の中身の方はどうかにゃ〜。「xxxHOLiC」はこのサイトを始める前のリリースだったのですが、結構面白かったです。身近なスケールでのダークサイドの描写がなかなか。よって、「ツバサ」にも期待してたのですよ。なんつったってさくらタン復活ですよ?折れの気持ちも「はにゃ〜ん」ってなモンですよ<_| ̄|○<スマン・・・。
 で、件の「ツバサ」なんですが・・・。激しく地雷な予感が・・・。とりあえず1巻はイントロみたいな内容で、まだストーリーが転がり始めたばっかなんでなんともいえないんですが、CLAMPのダメな(俺的に)作品のテイストと似たモノを感じる。ちなみに俺がダメだった作品は「聖伝」と「X」。なんかねー無駄に壮大で大仰なだけっていうか。過去のCLAMP作品とのリンクもウリなんだけど、いまさら手塚手法を持ち出されてもなぁ。第一、さくらタンはあんな守ってもらうだけの女の子じゃねぇだろ!<ツッコミどころが間違ってます。小狼にしても、あまりにもまっすぐでソツが無さ過ぎなところが、どうにも主人公としての魅力に欠けるなぁ。やっぱ女sy=ー( ゜∀゜)・∵. ターン・・・まぁまだまだ時期尚早ですがちょっと先行き不安気味。

  • むっく「ころころころもちゃん」

 とらのあなの広告から一気にスターダムへとのしあがったむっくさんの初単行本。持ち前のポップさと元気さ、そしてはじけんばかりの勢いで疾走するショート・チューン満載。キャッチーなんだけど媚びたところがなく、健康的なノリが魅力的で、気持ちよく読み通せる。この健全で明るいテイストは、実は小学生とかにもウケるのではないかと。小学○年生とかで連載したら面白いんじゃないかなぁ。結構やりっぱなし風味も感じるし、処女単行本としては上々の立ち上がり。お気に入りのポップ・パンクを聴いてる様な心地よさです。

 大好きな作家さんの一人、山本雲居さんの初単行本。ポップなんだけどエロいテイストと、ダークで救いようの無い作風の振幅が面白い印象だったのですが、改めて読んでみるとかなりダーク風味の作品が多いな。とにかく印象的な作品だったのがショート・チューン「Pitiful lamb diary」。この救いの無さっぷりと閉塞感はハンパないです。全体的に淡々とした描写が多く、そのクールでシニカルな作風と濃度の濃いエロとのバランスが絶妙です。個人的なベストは「グータラロボメイド」。コマやセリフの行間を読むと色々と想起させられて、表面上の軽妙洒脱なイメージとは一味違う印象。こういう行間を読むのを好む人にはうってつけの作品です。まだまだ世間の評価が足りない作家さんですんで、是非一読のほどを。オススメです。