• 凹凸「Anytime with My Heart」「月じゃない星じゃない輝くのは」「月じゃない星じゃない輝くのは 2」「花の記憶」「ぱんこみゅにけーしょん 5」

今回初めてチェックしたサークル、凹凸(おうとつ)。ぱんこさんの個人サークルだそうです。絵柄がちょっと気になったからチェックしたのですが、実際購入して読んでみれば絵柄もさることながら、ストーリーのテイストが心地よくて、なかなかの好感触でした。「花の〜」は久遠の絆本の再録集。話の方向性は変わってませんが、絵柄といいテイストといい、ラポート(つーかファンロード)系の薫りがします(とくに4コマとかのノリがかなり)。「Anything〜」は不確定世界の探偵紳士本。ここでもまだそういうテイストは感じられるのですが、次の水月本「月じゃない〜」でかなり変化があります。一見して分かるのは、まず絵柄。全体的に頭身が若干下がり、丸みを帯びた造形になりました。そして話も以前からあったハート・ウォーミングなテイストはそのままなんですが、ビター成分を控えて甘さを強めにした印象が。「Anything〜」から4ヶ月しか経過してないのですが、何があったのだろう。続く「ぱん〜」は落描き本。ここでさらに絵柄の変化が進み、かなり丸っこいキャッチーな絵柄になってます。コメントを読むと、どうも元々こういうタッチの絵柄だったようです。そして夏の新刊「月じゃない〜2」。タイトルどおりの水月本(雪さん)第二弾。ちょっぴり切なくエモなテイスト満載で、優しい作品。とても良心を感じさせるサークルさんです。たまにはこういのもいいものです。

 菊田高次さんの個人サークル、キングリボルバーの新刊はお馴染みTo Heartの綾香センパイもの。このサークルは昨年の冬コミで知ったのですが、それ以来新刊が楽しみなサークルさんの一つとなりました。かなりラフな絵なんですが、それが映えるタイプの作家さんです。なんでこんなにラフなのにエロいのか、と。基本的には抑制の効いた作風なんですが、ちょっとした会話のやり取りなんかにフックが感じられて、なかなかの曲者っぷり。もう一つ面白いのが、今回は発揮されてませんが、かなりのやりっぱなしテイストも併せ持っていたりするところ。妙にリアルな某猫型ロボットとかw。そういった懐の深さが作品全体に独特のクセを醸し出しています。あと、間が良いんですよね。会話云々もそうですが、この間が効いてるなぁ。ちょっと寡作気味なのが珠に傷なんで、もっといろいろ描いて欲しい作家さんです。好事家は要チェック。

  • 希有馬屋「絵にっきマンガとか」「TANE」

 個人的には、希有馬屋の本に期待するものってテキストだったりしてた。漫画のレヴェルが低いとかいうことは無かったのだが、如何せんエロ漫画としての機能は低かった。ストーリーは面白いのだが、絵的にエロくない。結果的に、どうにも破壊力に欠ける作品が目立ってしまっていた。その一方、評論に代表されるテキスト系の面白さ、興味深さは格別で、正直それ目当てで買い続けてきたサークルだった。しかし、希有馬さん(敢えてこの名義で記述)がエロゲを手掛けたあたりから、明らかに絵的なエロさを獲得して、なおかつ直球な作風が目に付くようになった。元々頭でこねくり回した様なストーリーが目立つ作家さんだったのだが、そういった人が本気で直球なエロに手を染めると、天然系の直球エロの人とは一味違うド直球エロ漫画が出来上がる事は多々ある。砂さんなんかがその典型だろう。希有馬さんも例外ではなく、元来評論などで発揮される分析力や論理性を、ド直球エロを描く為だけに注ぎ込んだ結果、文句なしのエロエロ漫画を披露してくれた。
 冬コミでのマブラヴ本に続き、夏の新刊「TANE」でも破壊力満点のエロ漫画をがっつり描いてくれました。いやもうごっついエロいっすよー。個人的には冒頭、キラがいみじくも放った「寝取り主人公なのさ」というセリフで完全KO。激しく納得。あとはこのセリフに順じたストーリーが展開されていくのですが、色んなイミでヤられるよなー。とりあえず、ジャケ見てピンときたら即買いでしょ。いまんとこ夏コミ収穫物ランキング3位内確定。大推薦。
 で、「絵にっき〜」はこの作品に至る過程の、いつもの日記漫画。「TANE」のNo Intro爆走クラスティ・スタイルと対になる作品。こっちでは脱力風味でいつもの評論まんががのってます。相変わらずのキレのよさで、今回も得心のいく分析が。種ガンの「みんな見てる凡作」っていうのは言い得て妙ですな。ともあれ2冊とも大満足な仕上がりです。ナタルたんハァハァ<最低です。