2008年度の愛聴盤の2

 どうも同人音楽というとメタル・アレンジに代表されるような過剰な音、というイメージが強くて今ひとつ興味が持てずにいたのですが、この岸田教団というバンド*1は、そういった同人音楽とは完全に一線を画す音を鳴らしていて、初めて聴いた時の衝撃はなかなかのものがありました。なんせ、ビックリするくらい真っ当なギター・ロックを披露しれくれてまして、そのクオリティたるや、そこいらのemoやメロディックを気取ってるインディ・ロック・バンドが裸足で逃げ出すレベル。ドラムを筆頭に演奏レベルも押し並べて高く、楽曲のクオリティも文句なしだし、録音状態も極めて良好。emoだったりASIAN KUNG-FU GENERATIONだったりといったバックボーンは透けて見えてるけど、きちんと岸田教団というフィルターを通した音に仕上げてるので、「〜風」という括りだけでは語れない。つーか、大手インディに所属しててもおかしくないレベルだよね。ただ、演奏と楽曲面だけなら普通のロック・ファンにも諸手を挙げて薦められるんだけど、voxを加味するとなると、ちょっと話が変わってくる。ヘタではないんだけど、演奏陣に比べると見劣りすると言わざるを得ない。個人的には充分楽しめるレベルだけど、バンドのポテンシャルを考えると、ちと惜しい気もしますが・・・はてさて。


 この音源は、内容もさることながらパッケージとしても興味深い。プレスCD、キャラメル包装という通常のメジャーな音楽CDと同じパッケージなんだけど、イベント会場価格¥1000。ショップでも¥1300というお手ごろ価格。本人たちからすれば「同人音楽だから」っていう意識しかないんだろうけど、DIYだなんだというアンダーグラウンドのムーブメントを見てきた身としては、そういったムーブメントとは無縁なはずなのに、ナチュラルにこういったコトを実践してるバンドの存在に驚きを禁じえないんだけど、このバンドの主なリスナー層は多分そんなコト全く気にしてないんだろうな。所変われば・・・とは、よく言ったもんだ。


 てなカンジで、いろんな意味でインパクトのある音源でした。

*1:サークル?