7/16 "Squashed to Pureness"@新大久保EARTHDOM / songs from thousand downfall / Extruders / Abraham Cross / Offseason / Teresa11 / Trikorona

 月曜は、久しぶりにearthdomに行ってきましたよ。
 特に買い物もなかったので、着の身着のまま出かけたところ、数分と経たぬ間に霧雨が降りだしてきまして、のっけから出鼻を挫かれまくり。本来にワタクシでしたら何の逡巡も無く踵を返して帰宅するところなのですが、既に前売りの取り置きをお願いしちゃってたり、NMさんとかに「観に行くよー」などと事前に言ってしまってた手前、退くに退けぬワケで・・・。つーコトで、容易に折れそうな心を奮い立たせ、新大久保目指して移動移動。
 幸い、都心は全く降っていなかったので、ゆるゆると新宿から新大久保まで散歩がてらに歩いてみたり。でも、結構ゆるりと歩いたつもりだったのですが、予想外に早くearthdomに着いてしまいまして。周囲に知った顔の姿も無く、しゃーないので沿道で暫し妄想に耽りながら時間を潰す。すると、鶏の面々が次々に外に出てきたので、ダラダラとくっちゃべって時間を潰してから開演時間の18時半頃に入場。幸い、開演は15分押しだったらしく、以前から周囲に薦められたんだけど観る機会に恵まれなかったsongs from thousand downfallを頭から観るコトが出来まして。
 本来はG×2、B、Ds、Keyの5人編成らしいのですが、この日はミキサーを使うノイズ担当者が臨時で加わっての*16人体制。どんな音かとセッティング時から興味津々で眺めていたのですが、メンバー全員着席して演奏するという形態だと知った途端、一気に興醒めしてしまいまして。
 初手から轟音で入ったのはちょっと意外でしたが、それでも「はいはいエモスエモス」ってなカンジで斜に構えて眺めていたのですが、数分と経たぬうちに己が間違いに気づき始める。ただの小洒落た激情系バンドでは到底醸し出せぬザラついたテイストが音の端々から感じられるような・・・?そして、気がつけば緩やかな反復フレーズに合わせ、自然と体と頭が揺れ始めてるワタクシ。事ここに至って、このバンドが只者ではないという事実を認識せざるを得なくなったワケで。それでも、当初抱いたマイナス・イメージが若干プラスに転じただけで、体を揺らし続けつつも「ふ、ふん。思ってたほど悪くは無いようね!」というツンデレ的心理状態を保ち続けていたのですが、lungfish的な反復フレーズの積み重ねを経て、再度shogaze的ギター・ノイズが炸裂した瞬間、完全に昇天してしまいまして、以降は延々と柵に掴まりながらヘッドバンギングをし倒すという「デレデレ」状態になってしまったワケでw。

 songsのサウンドは、sludge的なザラついたdarkさをmogwai的なshoegazeサウンドに取り込み、それを静〜動の狭間で振幅させるというスタイルなのですが、そこにlungfish的なリフの反復作業の積み重ねによるグルーヴを交えたり、アクセント的に美麗で静謐なメロディを差し込んだりすることにより、独自のサウンド・スケープを確立しています。特にsludgeとshoegazeのブレンドのバランスが絶妙でして、美麗さを際立たせつつも、その根っこの部分は完全に暗黒に堕している・・・と思わせるような耽美な感覚が秀逸。こういう「狭間」で揺らぐ音って、あんま思い当たる節が無いのよね。本当に素晴らしかったです。最高。
 三番手のabraham crossは、なんと観るのは20世紀以来w。以前よりもノイジーな要素が増してるんだけどある主の幽玄さを感じさせるギター・ノイズの洪水が空間を覆いつくす中、嵐の様なドラミングと地を這うベース・ラインが鳴り響き、そこにvoxの咆哮が木霊するというスタイルは、ある程度周囲から聞いていたので予想範囲内の進化っぷりだったのですが、そんなサウンドをfastcore一歩手前とでも言うべき速さで叩きつけてくるとは思ってもみなかったので、面食らうと同時に酔い痴れる。これはカッコ良いわ。往年の名曲"Feelings in Soil"も聴けたし、かなり満足度の高いステージングを披露してくれてたのですが、終盤機材トラブルが起こってしまい、そのまま終了となってしまったコトだけが悔やまれました・・・。
 四番手は、Optrumの伊東さん黒パイプの黒パイプスターダストさん、GauzeのヒコさんによるユニットOffseason。黒パイプスターダストさんがG、ヒコさんは勿論Dsまではいいとして、問題は伊東さん。この方が使用する楽器は、蛍光灯を改良してピックアップ等を搭載した自作楽器「optron」と言いまして、蛍光灯の発光に伴う放電を増幅し出力させるという奇天烈なシロモノな模様。まぁこんなカンジです。

 この楽器のポイントは、聴覚のみならず視覚にも訴えかけてくるところにありまして、激しく明滅する蛍光灯とそれに伴うノイズが交錯する様は、一見の価値あり。しかも、驚くべきことに、伊東さんはこの楽器を完璧にコントロールしてるのですよ。蛍光灯という出オチになりかねないシロモノをきっちり使いこなすことにより、蛍光灯を使用するコトに必然性を生じさせているトコに感服しきり。
 実際、offseasonのサウンドは即興性が高く、ギターもけしてメロディを紡ぐ楽器として使ってはいないので、広義的にはノイズともいえる音ではあるのですが、展開には緩急が織り込まれてるし、随所にポップと形容したくなるようなエッセンスが効かせてあって、ちゃんと「音楽」として成立してるトコが驚異的。しかも、ヒコさんの人間味溢るる芯のあるドラミングがサウンドの中核を為しているため、その味わい深さたるや筆舌に尽くし難し。特に、激烈パートが壮絶で、ヒコさんの鬼のようなブラスト・ビートの上で黒パイプ・スターダストさんと伊東さんの発するノイズが交錯し、そこに激しく明滅する蛍光灯の明かりがストロボ光線のようにステージを照らすってな惨状で、光過敏症患者ならずともクラクラするコト必至でございましたよw。



 思いのほか長いステージ*2になりましたが、最後まで楽しませていただきました。今度はoptrumも観てみたいなぁ。
 この時点で残り2バンドをのこしてるにも関わらず、22時前w。さすがにヘバってきたので、teresa11の時はダウンしてました・・・。
 で、トリはtrikorona。時間が押しまくってたせいか、良い意味で緊張感のあるステージングだった上に、体感速度で通常の1.1〜1.2倍速くらいのピッチで演奏されたので、なんかもう「怒涛」としか形容のしようがない爆裂っぷり。特にハットリさんのドラミングが壮絶でしたよ。

 結局、終演が23時近くになってしまったので、挨拶もそこそこにANTさんと共に帰路に着いた次第。非常にヴァラエティに富んだメンツが揃った、音楽的好奇心を存分に刺激してくれた好企画でございましたよ。楽しかった!

*1:正式なメンバーではなく、あくまでもスポット参戦だそうで

*2:40分くらい?