1/14 "前衛?後衛?ピクニック!"@小岩eM SEVEN / TRIKORONA / SHOUT MOSKVA / 撲殺チェーンソーロボトミー / bossston cruizing mania

 日曜は、二日連続での小岩行きと相成りまして。
 土曜のダメージがデカかったので、土曜の就寝時には日曜の小岩行きは諦めて床に就いたのですが、朝目が覚めてみると、鼻の痛みも残ってるし、全身隈なく軋んでいたりはしたものの、何故か頗る気力が漲っておりまして。が、ここは無理せず、一日休養に充てよう・・・と思い、午前中はゆるりと羽を伸ばしていたのですが、小岩に行きたいという欲求は止まるところを知らず、結局その欲求に従い、三日連続でライブハウスへ向かうコトに。
 土曜同様、乗り換え減らして着席重視というスタイルに則り、ちと時間をかけつつも終始着席したまま小岩に到着。時刻は18時過ぎで、ちと早めではありましたが*1、誰かしらいるだろうと思い、とっととeM SEVENに向かうと、案の定HTさんとDJN2さんが談笑してまして。ちょろっと挨拶したところ、のっけから驚愕のニュースを聞かされまして、目が点に。
 なんと、この日ディストロで参加予定だったKZさんが車に撥ねられた、と。一応、自身の口からKDさんに直接連絡を入れたそうなので、命に関わるような大事には至ってなかったそうですが、頭部から出血してるので救急病院に搬送されそう、とのコト。重傷には違いないですが、とりあえず大事無いというコトで、ほっと胸を撫で下ろす。さらに、DJ予定の某氏も前日に事故ったらしく、この日の登場がキャンセルになったそうで、初手から暗雲立ち込める展開。
 そんな話を聞いて、ちょみっとテンションが下がってしまったので、景気付けにフロアに行ってみたところ、そこには奇天烈な異空間が広がってまして。音源を売ってるディストロの傍らではたこ焼きが焼かれ、フロアに香ばしい香りがたちこめており、その対面では古着とかが売られてまして、もはや何が何やら。そんなフロアを彩るBGMは、DJ PIKA PIKA PIKA-MACHIさん謹製の半自動生成によるelectronicaサウンドという、曰く形容し難い世界が展開。あぁ・・・老体にムチ打って来た甲斐があったよw。
 DJ PIKA PIKA PIKA-MACHIさんに、件の自動生成のレクチャーを受けているトコに、electronica から四つ打ちへと変化したサウンドに呼応して現れたNMさんが、年末サバトで披露してくれたMax/MSP & Wiiリモコンという必殺装備で応戦。四つ打ちを基調とした変態ノイズ合戦へと早変わりしたDJブースの周りには、いつしか人だかりが出来始め、既に酩酊状態にあったNMさんは、それに気を良くしたのか、初めは細かい動きでリモコンを操作していたのに、徐々にアクションがデカくなり始め、最終的にはHAPPY MONDAYSのBezばりにWiiリモコンを振り回しながらフロアを徘徊するという奇行に走り出す始末。それを周囲の興味が離れてからも延々繰り返していたものだから、徐々に皆にウザがられていくというw。
 そんなダメ人間を擁するTRIKORONAが、この日のトップ。なんだかんだで暫くライブを観てなかったのですが、この日の鶏は良かった。コレエダさんとノモトさんが双方2台ずつアンプを使用するというスタイルだったのですが、双方の轟音が上手く共存していて、爆音なんだけど、ちゃんと曲も聴き取れるという、理想的なサウンドを構築。しかも、この日はハットリさんがやたら調子が良く、いつもどおりのタイトさに加えていつも以上にパワフルで、さながらITさんの触手が移植されたかの如き怒濤のドラミングを披露。
 それと、個人的に印象的だったのがノモトさん。バンド的には褒められた出来ではなかったそうですが、そういう次元とは別の意味で、凄く変わったように見えまして。なんつーか、プレイしてて堂々としてるっつーか、ある種のふてぶてしさを体得したかの如き佇まいが、非常にカッコ良い。それは音にも現れていて、一本スジが通った「芯」を感じさせる音になったような。コレエダさん曰く「ベーシストになってきた」と仰ってましたが、言いえて妙かも。いろいろツッコミどころもありましたが、今のTRIKORONAの「形」がハッキリと見るコトが出来たのが、個人的には大きな収穫でした。カッコ良かったです。
 二番手は、SHOUT MOSKVA。シンセ×2、G、B、Dsという変則的な編成のディスコーダントHC。音源だと結構端整というかディスコーダント色が強めなのですが、ライブだとなかなかハチャメチャでして、この日のライブでもそんなセンスが大爆発。まず、シンセのキクリンさんと、Bのマスダさんの出で立ちからしておかしい。マスダさんはカニの被り物風味なマスク着用だし、キクリンさんに至ってはLOCUST風味っつーか昆虫ライクなマスク&ペンライト×2を装着し、スタート前から天井の張りにぶら下がったりするという奇行に走りまくり。
 でも、そんな出で立ちとは裏腹に、いざ演奏が始まると度肝を抜かれる。以前観た時よりも格段にテクニカル且つハードになっており、音源とは全く異なる感触。そのプログレッシブなインスト・パートは、一瞬MARS VOLTAを彷彿とさせられたり。それでいて楽曲のテイスト自体は従来どおりのダンサブルなディスコーダント・テイストをきっちり残していて、実にカッコ良い。
 キクリンさ、ヤスさん、マスダさんの3人は激しく動きまわっているにも関わらず、全く演奏がブレるコトが無いのが驚き。普段寡黙の優しげなキクリンさんやマスダさんの豹変っぷりも凄いですが、個人的にはヤスさんのプレイに目が奪われる。以前はちょっと線の細さも感じられ、キレ味が先に立ってた印象でしたが、今はキレ味はそのままに、しかし地に足の着いた凄味も感じられるようになってきて、実にカッコ良い。
 そんなバンドに呼応してフロアも熱を帯びてきたのですが、そんなフロアよりも先にバンド側が沸点に達してしまい、フロント陣が大暴れした結果、キクリンさんのシンセが倒れてしまいまして。演奏中は、そのまま床で弾き続けていたのですが、曲が終わってからシンセを立て直したところ、なんと一部鍵盤が破損*2してしまい、演奏不能に。目に見えてテンションの下がるキクリンさんの後姿に全米が泣いたとか泣かなかったとか。
 窮余の策として、残ったシンセで連弾風味に弾くというスタイルをチョイスし、演奏を再開。なんとか無事にステージを乗り切ったのでした。そんなトラブルもありましたが、実に惹きつけられるカッコ良いステージでございました。
 SHOUT MOSKVA終了後は、我らがDJ[N2]がフロアを揺らす。「今日は90年代で攻めるから」とHELMETのTシャツ着用のイケメンDJが事前に高らかに宣言していたように、前回の@EARTHDOMの時とは全然異なるテイストのセットが用意していたようですが、気が付けばNMさんが例のエフェクト音とかを巻き散らかしていたので、なんかよく分からんかったw。NMさんは酒さえ呑まなければシャイなナイスガイなんですが、酔いが進むとHTさん並みにタチが悪くなるよなぁw。似たもの夫婦め。
  三番手は、撲殺チェーンソーロボトミー。事前にKDさんから数々のステキ伝説を聞いていたので、興味津々で出番を待っていたのですが、vox&Gの方*3の姿を拝んだ時に、思わず「お兄さん!」と叫びそうになったとかならなかったとか。坊主で髭でメガネでデブという出で立ちは、鏡に映ったワタクシを見ているかの如き錯覚に陥らせてくれました。他人とは思えないw。実際、YYさんやCHUさんらからは「後ろから見たらPIG-Mさんと区別がつかない」とまで言われる始末。さもありなん。
 以前は全裸パフォーマンスを武器としてたようですが、この日は着衣状態でスタート。ちょっと残念・・・とか思ったのも束の間、出てきた音のカッコ良さにビックリ。ザラつきつつも乾いたトーンの音色でザックリとリフを刻むギター、終始親指を使ってスラップ風味な奏法で滑らかなフレーズを奏でまくるテクニカルなベース*4、荒々しくパワフルに躍動しまくるドラム。そんな土台の上を、喜三郎氏がディープ歌謡ばりに猥雑で品性下劣な歌詞の歌を歌い上げるという、筆舌に尽くし難い奇天烈ワールドを展開。確かなテクニックをバックにナチュラルなド変態っぷりを発揮してくれるので、始末が悪いこのこの上なしw。
 てな具合に、思いもよらぬ洗礼を受けて、すっかり撲殺チェーンソーロボトミーの世界に引きずり込まれたところで、喜三郎氏の「やりまっせー!」という叫びがフロアに木霊し、一部事情を知ってる有志から歓声が沸き起こる。そんな歓声に気をよくしたのか、喜三郎氏はフロアに背を向け、いそいそと脱ぎ始める。丸出しになったケツは剥き卵の如き輝きを放っており、ほんのりと上気した肌は艶やかですらある。そんな珠の肌を、ダボダボのスウェットのパンツで隠し、往年のブッチャーもかくやってなカンジの出で立ちになって、演奏再開。
 またしても放たれた埃っぽいサウンドに上機嫌で身体を揺らしていたのですが、件の喜三郎氏も明らかに意図的に腰を振り始めまして。「いよいよ脱衣の始まりか!?」と俄かにフロアの一部が色めきたったのですが、なかなか上手くパンツがずり落ちていかない。そんなパンツに苛立ちを隠せなかったのか、ついには間奏の合間に自らの手でパンツをずり降ろし始めるという暴挙に打って出てきまして。本人的にはさりげなさを装ったつもりだったのでしょうが、悲しいかなモロバレでございました・・・w。
 そんな隠れた努力の甲斐もあり、やがてパンツはずり落ち始め、着替えの時に魅せてくれた魅惑の巨尻や、禁断のVゾーンが見え隠れ。その華麗な姿を前にフロアからは嬌声が沸き起こり、それに呼応して喜三郎氏はキメポーズを連発しながら眩い笑顔を振りまきまくり。最低だけど最高w。
 その後も、脱ぐかと思いきやパンツをたくし上げたりといった焦らしプレイなんかも織り込みつつ、貫禄のステージを披露し続け、ラストはやっぱりおにんにんをほぼ露出した状態で、笑顔でキメ☆。余りの素晴らしさに、終演後に握手を求めたいトコだったのですが、終盤、頻繁に自らの指を嘗め回してたアクションを思い出し、握手断念w。いやはや愉快痛快なステージでございました。
 トリに登場したのは、bossston cruizing mania。vox、G、G、B、Dsという編成。かなりのベテランだそうですが、未見&未聴。Gの片割れがDAMNEDばりに紙袋を被ってたり、ベースの方が見慣れない形状のヘッドのベースを使ってたりといった具合に、一癖ありそうな雰囲気を醸し出していたのですが、そんなバンドが奏でる音は、ある種の懐かしさを感じさせる90年代初頭〜中期頃のミクスチャー経由ジャンク行きなオルタナサウンド。ラップとまでは言わないけれど、歌うというよりは喋るに近い調子で言葉をまくしたてるvoxと、跳ねるようなビートと変拍子を器用にこなすDsはミクスチャーの影響を感じさせ、乾いたトーンで不協和音を重ね合わせたり、クセのあるリフを切り刻むギターは、ちょみっとJANE'S ADDICTION辺りを彷彿。ヒネた調子でうねりまくるベースは、言わずもがなのPRIMUS以降なテイスト。
 そんな各パートから受ける印象を裏切らないサウンドからは微塵も今風な影響が感じられず、最初は昔の曲ばかりやってるのか?といぶかしんでしまいましたが、新曲とアナウンスして演奏された曲も、物の見事に今風なエッセンス皆無なテイストだったので、現在進行形でこういうサウンドをクリエイトし続けているというコトを確信し、その、己がサウンドに対する「強度」の一端を垣間見た気が。
 長いことバンドをやっていれば、大なり小なり現行シーンの影響を受けそうなもので、特に、自分達がやってるサウンドが、けして時代に即していないものだと否応無しに認識させられ続けてるなら*5、尚更何がしかの打開策を採ろうと今風なエッセンス*6の導入に踏み切ってもおかしくないのですが、頑なまでに自分達の音楽を信じ続け、それに殉ずるも辞さず、という断固たる覚悟を持った*7姿勢に深い感銘を受けた。実際、彼らのステージングは退屈とは無縁の気合の入ったものだったし、個人的には大いに楽しめた次第。今、こういう音楽を奏でてくれるバンドは稀少だと思うので、懐かしさと共に新鮮さも感じられたり。
 時代は彼らには優しくないだろうし、今後も雌伏の時が続くと思うのですが、このまま邁進していただきたい。良いステージを拝ませていただきました。
 終演後は、DJ[N2]&CRUSADEのDJプレイをバックに談笑タイム。途中、N2さんの隠し球であるSL2の"On A Ragga Tip"がかかり、HTさんと二人で盛り上がる。つーか、多分フロアでこれが分かった人は、ウチら含めて5人もいなかったんじゃなかろうかw。その昔、Jungle以前にRagga Technoなんてジャンルがあった時代があってね・・・(ry。
 その後もサバト・クルーと何故かRANCID話で盛り上がったりしてから、名残惜しくはあったけど、ANTさんと共に帰路に着いたのでした。
 さすがにライブ3連荘は堪えたし、かなりのダメージも被ったけど*8、すこぶる楽しい週末を堪能いたしましたよ。

*1:開場18時半

*2:鍵盤が折れちゃったのねんw

*3:以下、喜三郎氏と表記

*4:使ってたベースも、ヘッドの形状を筆頭に、改造しまくりだそうで

*5:実際、この日のフロアのリアクションは、けして芳しく無かったし、そもそも観てた人数も減っていた

*6:てっとりばやくニュー・メタルっぽいテイストを導入しちゃうとか、screamoっぽく激情テイストを加味するとか

*7:少なくとも、ワタクシにはそう思えたワケで

*8:まだ鼻痛いしなw