8/23 "夜行性な恒星"@小岩eM SEVEN/ARROW/PESSIMISTIC/DRUNKEN BUTTERFLY/SCHOOL ZONE/THE AMBER JETS

THE AMBER JETS

 月曜のライブがすこぶる良かったので、ツアー・ファイナルとなった今日の小岩でのライブにも行ってまいりました。
 eM SEVENには18時過ぎに到着。とりあえずヤスさんに挨拶しようと思ってDISCOに寄ってみるも、姿が見えず・・・。なんでも、eM系列の店長会議だかなんだかにカキヌマさんと共に出席してたらしく、結局今日はお二方と会えずじまい。ちと残念でしたが、来週も来るから気にしない方向で。
 フロアに入ると、予想通りガラガラ・・・。平日だし致し方無いと言ってしまえばそれまでなんですが、やっぱ切ない。最近観た海外のバンドの中では、抜群にカッコ良いんだけどなぁ・・・。しかも、ざっと見た限り、知人らの姿も見当たらず、ますます凹む。頑張ってレポとか書いたんだけど、それも徒労に終わったか・・・。まさに「にょろーん」ってカンジでフロアに佇んでいると、不意に肩を叩かれまして。誰かと思い振り返ると・・・そこにはにこやかに佇むJohnの姿が(笑。なんか月曜に会ったのを覚えてたみたいで、「今日も良いTシャツ着てるじゃん」的なお言葉を賜ったので、「月曜のライブ、良かったよー。今日も来ちゃった♪」的な言葉を返す。うむ。今日のTシャツのチョイスも正解だったなw。その後は、フロア唯一の知り合いであるキクリンさんと談笑しつつ、時間を潰す。結局10分ほど押して、スタート。
 トップは、ARROWってバンド。vox&G、G、B、Dsという編成。Thrash Metalをベースにした、モダン・へヴィネス系。とりあえず、モダン・へヴィネス系にも関わらず、演奏力が今ひとつ。特にGは要練習。一応ヘヴィっぽいアプローチのサウンドを展開しているものの、サウンドから攻撃性が伝わってこないので、なんともかんとも。時折キラっと光るフレーズなんかも垣間見えましたが、総じて没個性。ヘヴィっぽい曲調よりも、終盤展開させたグランジっぽいロック的なアプローチのほうが向いてるような気がしましたが。
 二番手はPESSIMISTICというバンド。やはりvox&G、G、B、Dsという四人組。このバンドは、今日のフロント・アクトの中では、一番面白かった。ちょっとジャンクな風味も感じさせるギター・ロックなのですが、極めて鋭利で狂暴なギター・サウンドとアグレッシブなリズム隊とが交錯するサウンドの破壊力は、相当なレベル。ギター・ワークは、BIG BLACKやELEVATION辺りを彷彿とさせる、パーカッシヴなテイストを織り込んだ、刃物のような切れ味が魅力。さらにシューゲイザー一歩手前なノイジーなエッセンスなんかも取り込んでいて、実に刺激的。ベースは、繊細なギターの音と対峙するかの如き野太い音なんですが、音のエッジが立っているので、サウンドのバランスを損なわず(これでもっと分離の悪い音だったら、ギター・ノイズに埋没しちゃってると思う)ボトムを鮮明に表現しています。ドラムは、かなりアグレッシブ。つんのめるような性急さと情念剥き出しな姿勢が前面に押し出されていて、味があってナイス。voxは、かなり線が細く、ちょっとムーディっつーかナルシスティックなテイスト。客観的には悪くないマッチングだとは思います。AMBER JETSのJohnが、「声が細くて、ちょっとSHUDDER TO THINKっぽいかも」って言ってましたw。
 とにかく、バンドとしてのバランスとアンサンブルが絶妙。メンバーの力量の均整が高いレベルでとれているので、インストの充実っぷりはハンパじゃないです。テクニカルではあるのですが、あくまでも表現の一環として機能しているので、鼻につかないっつーか。楽曲のテクスチャーは、かなり複雑。stop & goとかは当たり前で、1曲の中で目まぐるしく展開していきますが、プログレッシブって印象は無かったかな。No Wave風味なテイストに現代的な攻撃性を加味したようなスタイルっつーか。また、ハーモニクスとかに代表される、細かい隠し味も随所に散りばめられており、実に聴き応えアリ。
 が、難点もチラホラ。例えば、ギターのトーンが似通っているので、今ひとつ効果的に作用してないとか、インストのキャッチーとすら思える展開に比べると、メロディがムーディすぎて華に欠けるとか。そこら辺について、終演後、ちょっと伺ったのですが、バンド側もそういった点は認識してまして、ギターのトーンに関しては、あくまで暫定的に似通ったサウンドにしてるそうで、もっと効果的な鳴りのバランスを模索中だとか。メロディに関しても、ポップさに欠けるきらいがあるコトは承知してらっしゃいました。こういう風に、自分たちのサウンドをきっちり分析出来てるバンドの将来は、明るいと思うのですよ。今日の客的には今一つフィットしなかったっぽいですが、個人的には、また観てみたいバンドです。sgt.とかstudent aとかと対バンしたら面白そうだなぁ。
 続くバンドは、DRUNKEN BUTTERFLY。vox&G、B、Dsという編成で、ベースが5弦だったりしたんで、ちと期待してたのですが、期待とは違うスタイルのサウンド*1でしょんぼり。疲れてきてたせいもあり、1曲目終了時に一旦フロアを出て、ロビーで休息。
 すると、そこにJohn "Apples" Telenko先生が登場。にこやかに歩み寄り、「キミ名前なんていうの?」と訊かれたので、片言以下の英語でなんとか会話を試みる。会話のきっかけはワタクシが着てたGOVERNMENT ISSUEのTシャツで、そこからJohnに「DCのHardcoreバンドだと、どんなのが好き?」とか訊かれたので、「MINOR THREATやDAG NASTY、TEEN IDOLES、FAITH、そして勿論GOVERNMENT ISSUE」と答えると、満面の笑みを浮かべ「僕はGOVERNMENT ISSUEが一番好きなんだ!」とのたまいまして。すかさず「"Make An Effort"とか良いですよねー」と返すと、アカペラで"Make An Effort"をちょっと歌ってくれちゃいましたよ!ワタクシ大興奮。なんでも、その昔John Stabbの家に泊まったコトがあって、大層良くしてもらったそうで、「John Stabbは最高に良い人だよ!」と力説してました。
 その後も、あれこれやりとりしまして、なんとかSLEEPER時代から好きだったコトや、月曜のライブの感動したことなんかを伝えてみたり。こういう時って、英語が出来ないのがもどかしくはあるのですが、無い知恵絞って、精一杯伝える努力はしました。なんとかニュアンスだけでも伝わってると良いなぁ・・・。そんなこんなで、思いがけず交流出来ちゃったりして、ちょっとニヤニヤしちゃったり。
 で、トリ前のバンド、SCHOOL ZONE。vox&G、B、Dsのスリー・ピース。なんつーか、典型的なGLASSEATERやGRADEタイプのscreamo。ここまでベタなscreamoをやってるバンドを観たのは初めてな気がする。ギターはテクニカルで、ライトハンドを多用。そういうスタイルは、ちょっとKEEPSAKEっぽいかも。あと、ドラムが見た目的&サウンド的にインパクト大*2でした。
 ベースがデス声系で、ギターが歌/叫び系という風に、声も使い分けてるし、楽曲のクオリティも悪くないレベル。個人的には好きなタイプなのですが、余りにも典型的過ぎて、どうにもフックを感じないっつーか。ただ、機材トラブルのせいで時間が短縮されてしまってたので、今回だけでは真価は問えないかも。
 ちと不運だったSCHOOL ZONEが終わり、いよいよAMBER JETSの日本ツアーの集大成のステージ。メンバーはリラックスした雰囲気で、疲れた様子を見せず、楽しそう。そんなステージの1発目は、DARIEN時代の曲でAMBER JETSでも再録音された"Repetition Compultion"。Johnの歌声は、短期集中ツアーだったにも関わらず瑞々しさをきっちり保っており、感心しきり。
 そして、"Spin Out of Control"〜"Walk Through"と連発。"Walk Through"の激しさの中にも物悲しさを感じさせるメロディは、SLEEPER/SERPICO時代を彷彿とさせますな。続く"This Town"はDARIEN時代の楽曲。リフの刻みっぷりが、やはりSERPICOを思い起こさせる。お次の"Bad Side"って曲は、もしかして新曲?そうでなければカヴァー。少なくとも、SLEEPER/SERPICO/DARIEN時代の曲じゃないはず。ちょっと短い、ポップな曲だったような。DARIEN時代の"Mag Wheels"を経て、超シンガロングな"Welcome to My Life"。こういう曲は、普通にギター・ポップのファンとかでもイケると思うのですが、どうか。
 ここでMCが入り、サプライズが。なんと、今回のツアーの招聘主がドラムで入り、SERPICO時代の大名曲"Double Negative"を披露。いかん、涙腺が緩む。しっかし、招聘主さんのドラミングが恐ろしく達者でビックリ。つーか、明らかにバンドやってるか、やってたかって方なんだろうなぁ。そんなサプライズの後は、DARIEN時代の"Spoiler of the Present"と"Wildcards"で〆。恒例のカバー曲は無しで、全て手持ちの曲で締めくくるという、バンドとしての矜持を魅せつける形で幕を閉じたのでした。
 正直、サウンドのバランスやまとまり、カバーのサプライズ性など、トータルで見ればWALLの方が良かったとは思うけど、今日見せてくれた、はしゃいじゃうJohnの姿に代表される等身大の姿や、サービス的なカヴァーを排した*3セットリストこそが、THE AMBER JETSアメリカで普通にライブしてるような、普段着の飾らない姿なんじゃなかろうか、とか思ったり。それを実感できただけでも、行った甲斐があったってモンです。
 終演後、再度Johnに握手を求め、「良かったよ!また来てね!」的なニュアンスを伝え、eM SEVENを後にしたのでした。AMBER JETS御一行は、金曜に帰国するそうです。今回の来日が良い思い出になるコトを、切に願います。願わくば、また日本で会えますように

*1:boris的なサウンドを期待してたんですが、サウンドから陰惨さを感じなかったし、なんかベースのアクションがKORNみたいだったんで・・・w

*2:ドラミング中の表情がヤバすぎw

*3:まぁSERPICOの曲は演ったケド