• 千本ノック座談会「世界に一つだけの穴」

 2003年夏コミ・リリースの本。容姿端麗で才媛な女のコといじめられっこで冴えない男のコとの奇妙な共存関係を描いてます。周囲から品行方正な優等生や自慢の娘を期待されるプレッシャーを自慰行為によって吐き出していた女のコの行為を偶然男のコが目撃し、誘われるように行為に至るトコから始まるのですが*1とでグイグイと作品世界に引き込まれていきます。悲痛なれど美しい世界観はenvy的とでも申しましょうか。意味深で細かいシーンも多く*2とにかく読んでくれ、と言いたい。そこら辺に転がってるハンパなお涙頂戴恋愛モノとかなんて足元にも及ばない、深い想いが刻み込まれてる作品です。超オススメ!
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 珍譜堂といえば、常に寸止め描写で魅せるエロコメが魅力だったワケですが、遂に今作では禁断の18禁領域に突入。つーワケで、このスクラン本は珍譜堂初の成人向け作品となったのですが・・・正直微妙。今まで描けなかったdarkでgloomyなテイストに挑戦するのは良いと思うのですが、如何せん様々な要素を詰め込みすぎてまして、結果として微妙な仕上がりに。とりあえず、思わせぶりな雰囲気を盛り込んでストーリー性を持ち込んだはいいのですが、ストーリーの肝心な部分が全く触れられてないので、なんだかよく分からないコトに。せっかくの18禁初作品なんだから、もっとシンプルに「エロ」を前面に押し出せばよかったんじゃないかなぁ?肝心のエロ・シーンに関しては、まずまずかと思いますが、初手から完全に触手オンリー・シチュっていうのも濃いよなぁw。ただ、シチュの濃さのわりには案外さっぱりとした描写になっちゃってまして、そこら辺にまだ照れが感じられるっつーか、要精進っつーか。現時点では、エロコメ時代のほうがエロいと言わざるを得ないかと。でも、前述したシチュの濃さとかには今後を期待させるモノがありますんで、要は「慣れ」でしょうね。ちょっと全体的に消化不良気味ですが、珍譜堂の力はこんなモンじゃないだろ?っつーコトで、次回作に期待してます。
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*1:男のコが脅すのではなく、誘い受けとヘタレ攻めな力関係っつーか。ちなみに、季節は春です。季節は、この作品のポイントでもある)奇妙な逢瀬を繰り返していくうちに、女のコは男のコの純情や優しさに気づいていき、少しずつ自分の心情を吐露していき、男のコは救いの手を差し伸べてくれた女のコの要求に応えようと、ひたすら自分の気持ちを押し殺して「関係」を壊さないように自分に与えられた「役」をこなしていく。そんな二人の行為は、お互いへの秘めたる想いの強さを反映させるがの如くエスカレートしていき、やがて終焉を迎える・・・。  余りにも幼く、残酷なまでに純粋な想いの行き着く先は「自殺」。絶望の淵に居た男のコの唯一の心の支えであった女のコを、やがて自分の狂気が暴発して殺めてしまうのではないかという脅迫観念に苛まれるようになった男のコは、自分の秘めたる想いをしたためた手紙を遺し、自らの命を絶った。その手紙を読んだ女のコは、男のコの身勝手な結論に憤りつつも、やがて自分が男のコに恋していた事に気づくのでした。  幼いが故に上手く表現出来ない想いが交錯し、互いに相手を必要と思いながらも、その「一言」が言えない。そんな想いの機微を丹念に描きつつ、しっかりとエロもフォローしていく。ハードなエロ・パートとemoいパートの振幅と、凝った構成の展開((本編は基本的に男のコの最期の手紙を読んでいる女のコの回想シーン

*2:ジャケもそうだね