• 海底温泉「九月病 総集編①」

 シギサワカヤさんの個人サークル。とらのあなを巡回中にたまたま目に留まり、サンプルを見たら面白そうだったので店頭にあった本をまとめて買ってきたのですが、これが大正解。sadでharshな号泣emo系で、読み応え満点。とりあえず総集編の①から紹介。この本には表題作の「九月病」のシリーズ①と②、それと番外編の「フラジャイル」「空*1の名前」+描きおろしが収録。兄妹の近親相姦を軸に、その友人らも含めたそれぞれの人物の愛憎や葛藤、友情、恋愛模様なんかをきめ細かく丹念に描いておりまして、普通に商業誌で連載してたら売れるんじゃねぇの?ってぐらいの面白さ。基本的に仄暗くザラついた痛みが全編を支配しているのですが、明るめのキャラなんかも配してちょくちょくコメディ風味なテイストを織り込むことにより、ただの鬱漫画とは一線を画しています。話によって細かくテーマやテイストも微調整されており、こうしてまとめて読んだときのバランスの良さも高ポイント。前述したように主役の兄妹以外の各キャラにもメインの話なんかが用意されているので、キャラへの理解なんかも深まり、それが主役らの理解にも波及していくというニクい構成もナイス。敢えて難をあげれば、全体的にボールがストライク・ゾーンにまとまりすぎているというか、ちょっと小奇麗に収まりすぎちゃってる気がしなくもないです。無論平均点が高いという言い方も出来るんですが、どこか突出した部分が欲しい気も。ま、2002〜2003年の作品ですし、その辺は総集編の②とかに期待っつーコトで。とりあえず、榎本ナリコ二宮ひかるきづきあきら、うにへえ辺りの作品に反応しちゃう方は絶対チェックすべし。つーか、普通に男女問わず超オススメでございます。面白いですよ。
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*1:「から」