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 今回の冬コミで最も楽しみにしていたサークルの本を、とりあえず売ってた分全部購入w。ところが、これが新作以外ことごとくシリーズものでして、しかもかなりバラバラ。シリーズものの途中の話だけをreviewするのは微妙なので、今回は「Mr.キッドマンをさがせ」と「STRONG FAIRY FLY AWAY」についてのみreviewしようと思います。
 まず「Mr.キッドマンをさがせ」はりリースが2003年の春レヴォ。今の絵に比べると、随分ラフで粗削りな印象。ただし、作風はすでに確立されており、一筋縄ではいかない世界観が展開されています。「昭和75年」という舞台設定、「東側」という対立国家*1、「Mr.キッドマン」とかつて呼ばれていた水死体が持っていた「東側」の機密情報、「東側」に潜伏中の工作員から送られてきた「キッドマン・フィルム:と呼ばれるフィルム・・・こういったキー・ワードが今作の中に散りばめられており、否が応にも物語に対する期待が膨らみます。
 この中の幾つかは今回明かされておりまして、とりわけ重要なのが「キッドマン・フィルム」の中身。そこには子供と大人が仲睦まじく戯れている牧歌的な光景と、異常極まる幼児性愛の映像とが収録されており、その映像の最後にはそんな爛れた世界を築き上げたとされるMr.キッドマンの後ろ姿と、何者かによる現場の襲撃映像*2が・・・。
 そんな映像をみせられた工作員の中から、一人が選ばれる。その人物は冷静に常識を踏まえた観点から映像を分析し、「Mr.キッドマン」や「キッドマン・フィルム」を「東側」が意図的に漏らした偽情報と断ずる。その答えに満足した上層部は、真偽の程を確認するため、彼を「東側」へと送り込む決定を下したー。
 そんなカンジの重厚な導入部から始まる物語。後書きを読むと「となりのユートピア」と同じ舞台設定だそうなのですが、物語の構造は全く異なるので興味深いです。「となりのユートピア」は「常識に囚われない発想」や「個性重視」という観点で構築されてるそうですが、この話はそんな世界観を「常識」の視点から構築いていくそうで、そういう視点の変換っていう発想は面白いな。
 エロソングさんは常に現状に疑問を抱いている方のようで、ロリコンとして開き直るのではなく、常に後ろめたさを感じ葛藤も抱えている、そんな心境を作品に反映させようと思ったそうで、その視点というのはとても重要なファクターだと思います。屈託ないのもいいけど、たまには自分を省みるコトも必要じゃなくって?
 ともあれ、色んなイミで続きが気になる・・・。
ex.>id:PIG-M:20041207

*1:或いは地域か

*2:そこにも伏線が張られている