• STUDIO FATALITY「ランニングフリー」「flozen fire」「Rabbit Don't Come Easy?」「growing on me.」「May it be!! 」

 9月のサンクリで巡回中に偶然見かけたサークル。なんか気に入ってしまったので、とりあえずその場で売ってた本をまとめて買ってみますたw。やなぎーさんという方の個人サークルのようです。「ランニング〜」は2002年の冬コミ・リリース。シスプリ本で、衛&咲耶とあにぃ(a.k.a.お兄様)の短編で、全年齢向け。思春期テイストでほんのりえちぃ風味も隠し味に効かせた甘酸っぱい作品(やぶうち優ノリとでも申しましょうかw)。今回購入した本の中では最も古くに発行された本であるため、まだまだ作画の拙さは目立つものの(恐らくは)意図的ではないとは思うのですが、モアレの具合が水彩画っぽい効果を生んでまして、これが拙い作画と妙にマッチして、独特の牧歌的な雰囲気を醸し出しています。
 「flozen〜」も2002年の冬コミ・リリースで、こちらも同じくシスプリ全年齢向けなんですが、咲耶とお兄様に焦点を絞ってます。キャラを絞ってる分、内容も明快に恋愛話になってまして、より直球で攻める力作。二人のけして報われぬ想いが交錯するのですが、それでもお互いに相手を想いつつ、改めてその絆の深さを再認識する、といったemotive全開ノリ。前・後編に分かれてはいるものの、若干展開を詰め込み過ぎたきらいは否めません。可能なら、もう少し尺をとって前編と後編の2冊リリースぐらいに膨らませても良かったかも(元はそれぐらいの尺があったそうで、それを削ぎ落としてこうなったそうです)。前述の「ランニング〜」と同時発刊にも関わらず、こちらの作画はすっきりとしたHi-Fiな仕上がり。「ランニング〜」はコピー誌をまとめたものだそうなので、こちらの原稿を描いてるときにはスキルが上がったというコトなのかな?拙さは同様ではあるのですが、現状で持てる力を発揮して描かれているコトは容易に窺えます。シリアスな絵柄と崩した絵柄の使い分け、様々な構図、空間の処理など、細かいトコまで気を配って描かれていて好印象。シスプリという作品に真摯に向き合っていて、その愛が読み手にもちゃんと伝わる良作です。
 「Rabbit〜」は今年6月リリースのガチャフォース本で、コウ×うさぎ。「frozen〜」の頃から一年半も後の本だけあって、従来の絵柄をよりキャッチーにした方向で着実に進化してます。でも、従来の丁寧な仕事っぷりもしっかり継承されてるのは嬉しいかぎり。内容の方もエロが導入され、炉でぺた好きなら要チェックな仕上がり。子供同士というところも、なにげに背徳的で良し。個人的には、お風呂上りで頭にタオル巻いたままコトに至っちゃうトコに萌えw。
 「growing〜」はシスプリ全年齢向けで、かなりオリジナルな四葉本の第一巻(続きモノのようです)。生き別れになった四葉と兄チャマの再会を描いているのですが、軽い人間不信でちょっと冷たい兄チャマと、けなげで前向きな四葉というティピカルな設定(兄チャマが音大に通ってるトコとかから、山田圭子さんの「[VS]バーサス」とか、みるつさんの「GOLDEN HARVEST」とかを彷彿とさせる)ではあるのですが、奇を衒わないド直球ならではの破壊力っていうのは確実にあります。ベタなんだけど、グっときちゃうのよねー。ちょっとちんくしゃ風味な四葉が凶悪に可愛いです。
 で、先日のサンクリの新刊が「May〜」。CLANNAD芽衣のコピー誌。岡崎×陽平×芽衣という3P。コピー誌とは言っても26Pもあるので、読み応えはあります。エロもハードになり、なにげに爛れたテイストも加味されてきて、こっち方面でも進化を遂げてますw。なお、この本はもしかしたら再販するかも、とのコト。
 コンスタントな活動を続け、着実に実力をつけている印象。作品に対する真摯な姿勢も良いし、今後もチェックしていきたい作家さんです。「frozen〜」や「growing〜」辺りから入るのがオススメかな。エロいのを所望なら、最近の作品の方が良いでしょうね。再販されるなら「May〜」がオススメ。
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