• AIRHEAD "Boing!"CD.(WEA MUSIC/WMC5-478)

 発掘シリーズw。いやー、12,3年ぶりに聴いたぞw。このバンドは80年代末〜90年代初頭にかけて、マンチェスターを中心に隆盛を誇っていたUK Guitar Pop勢の有象無象の一つ。個人的に、当時UK Guitar Popにはかなりハマっていて(Guitar Popに限らず、HCやPunkとかも当時のUKは面白いバンドがたくさんいた。無論808 STATEやKLFなんかのTechno〜Dance Musicのシーンとかにも面白いグループが数限りなく存在していて、暇さえあれば西新宿レコ屋地帯や都内各所のタワレコに足しげく通い、マメにシングルとかをチェックしていた。丁度学生の時代だったんで、時間はたっぷりあったし。一番音楽を貪欲に聴いていた時代だったと思うし、楽しめる音楽のレンジが飛躍的に広がった時期でもあった。その代わり「J-POPや売れ線の音楽はクズだ」的な、極めてありがちな視野狭窄に陥っていた時期でもある。ま、若気の至りだーねw。今はオープン・マインドですよw?)知らないバンドの音源はとりあえず聴いてみるというスタンスだったので、このバンドの前身であるJEFFERSON AIRHEADの音源も買ってみたのねん(ヒドいジャケだったんで、躊躇したんだけどねーw)。これがなかなか良かった。
 ダンサブルで軽快なビート、ワウを効かせたライトなギター、芸の無い軽めのベースに、サビになると切り込んでくるキーボード、情念薄めでちょっとナルシスティックなvox。そんな軽薄風味なバンドが奏でるポップ・チューンには、適度にバブリーな、でも琴線をくすぐるキャッチーなメロディが満載。個性らしい個性もないんだけど(事実、アルバム一枚で解散してしまった)ティピカルであるが故の普遍性を持ちあわせているような気がする。今聴いても全く劣化してないポップ・ミュージックが刻み込まれています。間違いなく歴史に足跡を残すタイプのバンドじゃないし、同時代に評価されたバンドでもないんだけど、俺の記憶には残るバンド。3分間のポップ・ミュージックの、何が悪い?
 

  • MONSULA "Sanitized"CD.(LOOKOUT RECORDS/#55CD)

 懐かしいなぁw。90年代初頭のeast bay系の中ではかなり地味な存在だったが(でも、後にメンバーがPINHEAD GUNPOWDERに参加したりしてたせいで、名前ぐらいは知られてるかも)当時のeast bayシーンにあっては、FUEL同様かなりユニークなサウンドを展開していたバンドだった。何がユニークだったかっつーと、80年代後期以降のDISCHORD系のサウンドのテイストを持ちあわせていたコト。パっと聴きには初期JAWBREAKER系って印象を持っちゃいそうですが(実際、かなりまんまな部分もあるんだけどね)地味に初期FUGAZIっぽい展開(M-3なんてモロDCなノリ)なんかも飛び出してきちゃったりして、これがかなりカッコ良い!。多分、当時よか今の方が評価されちゃいそうな気がする。初期LOOKOUTな乾いたサウンド・プロダクション(ProducerはKevin Armyだしね)もハマってる、ナイスな一枚。
 ちなみに、このCDには1st "Structure"の音源も収録されてるんですが、こっちはもっとFUGAZIしてまして、なんか微笑ましいぞw。

  • THE FIENDZ "Wact"CD.(FOREFRONT RECORDS/BP9205CD)

 New JerseyのPop Punk Trioの1991年産2nd。結成は、なんと1986年。それもスゴいのですが、個人的にびっくりしたのが、まだこのバンドが活動中だったってコト。それだけでも尊敬に値するよ。バンド名を見てピンときた方もいらっしゃるでしょうが、由来はMISFITSのファンクラブ、"The Fiend Club"。でも、サウンドの方にはあんま影響を感じません。強いて言えば、voxが歌い上げるタイプってトコぐらいでしょうか。FIENDZのサウンドの魅力は、なんといってもそのメロディ。どことなく翳りを感じさせるメロディをしっかりと歌い上げており、ハーモニーなんかも駆使しちゃってまして、単純にGuitar Pop的に優れているかと。普通のPop Punkとかよか、明らかに練られた楽曲が心地良い。なんつーか、BIG DRILL CARとHANKSHAWを足して2で割ったようなカンジ。ミッド・テンポで疾走感もあるのですが、どこかしっとりとした上品な感覚があるのが面白い。昔から好きなんだけど、どうにも地味で存在自体あんま認識されてない気がするw。
 ちなみに、このアルバムはN.J.のMix-O-Lydian Studioってトコで録音されてるんですが、このStudioってMISFITSが"Walk Among Us"を録ったトコだったりするのねんw。そんなにMISFITSが好きなのかw。それはさておき、なんでこんなにPopでキャッチーなバンドがあんま知られてないんだろうか?ティピカルなPop Punkなんてメじゃないクオリティの高さなのになぁ。普通にGuitar Popとか好きな方にも、広くオススメしたい隠れた名盤です。でも、今回紹介したオリジナルの方は入手しにくいかも。代わりと言ってはアレですが、1996年に再レコーディングされた"Wact"がBLACK PUMPKIN RECORDSからリリースされてますんで、そちらなら入手は容易かと(つーか、そっちの盤も聴いてみたいなw)。探してでも聴く価値のあるアルバムです。

  • NURSERY CRIMES "Fun Hurts!"CD.(SURVIVAL/SUR 518 CD/469146.2)

 Australiaの5人組バンドの、1992年産のアルバム。90年代初頭、ちょっとしたAustralia(OZ)のバンドのムーヴメントが興りまして。一部のレコ屋ではコーナーなんかも作られたりして、局地的な盛り上がりをみせたりしてたのですよ(とにかくハンパない量のシングルがリリースされてたので、コレクター心がくすぐられたりしてたのも遠因)。代表格としては、来日も果たしたMEANIES(LOFTでのliveは最高に楽しかった!)やHARD-ONS(浅草常盤座でのSNUFFとの公演は、今でも脳裏に焼きついてます)が挙げられますが、このNURSERY CRIMESもそんなバンドの一つです。
 NURSERY CRIMESも、MEANIESやHARD-ONS同様Pop Punkのフィールドのバンドではあるのですが、他のバンドとは一味違う魅力があったのです。それは、あらゆる要素が全て過剰だったところ。Gなんかに如実に表れているのですが、もうハンパないぐらい弾きまくり(いわゆるテクニカルな弾き方じゃなくて)。明らかにやりすぎっつーぐらいノリノリで弾きまくるギター・ワークは、かなり異彩を放っております。それに輪をかけるように、voxがまた歌い上げる歌い上げるw。ちょっとクドめで微妙に粘っこい歌い方なトコが、暑苦しいことこの上なしw。しかも、この2ndではそんな過剰さが音の分離の良いプロダクションと相まって、ますますエスカレートw。なんかたまにベースはチョッパーとか入れてくるし、要所要所でピアノとかも挿入されたり、コーラス・ワークなんかも駆使しまくってて、もうやりたい放題ですよw?
 でも、これがやたらとカッコ良いんだ!とにかく楽曲のキャッチーさとドライヴ感のマッチングが素晴らしい。過剰でキャッチーでイケイケっつー濃厚テイスト。とにかく並みの疾走感じゃないのですよ。ミッドだろうがファストだろうが、徹頭徹尾突き抜けた爽快感を伴って爆走しまくってます。いわゆるメロコアとかの速さとかとは全く異なるスピード感を持ったサウンドは、ホントにコテコテなんだけど、一度ハマったら病み付きですよ。
 結局、バンド自体はこの後冴えないミニ・アルバムをリリースして解散。解散後に初期の音源をまとめた"What Do You Know(Anyway)?"というCDがリリースされてます(でも、一部シングルの曲とか入ってないんだよねー)。こっちもバッチリの内容ですんで、併せてどうぞ。ホント、良いバンドだったなぁ。

  • LUDICHRIST "Immaculate Deception"CD.(WE BITE RECORDS/WE BITE 3-034-2)

 NYHCの徒花、LUDICHRISTの1987年産1st。HardcoreとThrash Metalの邂逅が活性化した時代の象徴的バンドの一つであり、改めてHardcoreの奥深さを思い知らされた一枚。vox、G×2、B、Dsという5人編成なのだが、ここまでテクニシャンが結集してたHCバンドは、当時としては異例なんじゃないかな?。他ジャンルに比べ、Punk/HCっていうのはテクニックをそれほど重視しない土壌がある。それは、テクニック以外の部分で表現出来るレンジが広いせいであるからなのだが、それを曲解し、テクニカルなバンドを軽視する輩がいることも否定は出来ない。言うまでも無く、そんな視点は穿った見方であると言わざるをえないだろう。テクニカルであってもHardcore足りえる、という当たり前な事実を明快に見せ付けてくれたバンドの先鞭をつけたバンドの一つが、このLUDICHRISTである。
 冒頭の変拍子からBlastもかくやというFastな展開に雪崩れ込んでいく展開で、完全にヤられます。超絶テクニックで軽やかに、ときにユーモラスに演奏していく様は、圧巻の一語に尽きる。楽曲のテクスチャーもヒネり効きまくりで一筋縄ではいかない曲者っぷりをマスにアピール。当時としては圧倒的に速い要素を内包したバンドでありつつ、それすらもこのバンドの数多ある要素の一つにすぎないというある種のクールさはいかにもNYっぽい。だいたい、この時代にFastもJazzyなテイストも一つの楽曲に組み込んでたバンドなんていた?ロッキンだったりフラッシーな速弾きだったり、そうかと思えばStraight ForwardなHCだったりと万華鏡の如く表情の変わるサウンドは、聴いてて飽きません。そんでもって、結構強調しときたいのは、こんだけテクニカルでバカテクな集団であるにも関わらず、基本的にバカっぽいトコが素晴らしいw。タイトな演奏と複雑な楽曲に圧倒されるっつーよか「ナニやってんのかね、キミたち?」と思わずツっこんでしまいそうになりますw。こういうバランスのバンドって、ホントいないよねー。
 翌年リリースされる2nd & Lastアルバム "Powertrip"では若干Thrash Metalの比重が上がり、ハチャメチャ感が減退(その分整合性があって、聴き易くなってる)。結局解散してしまい、主要メンバーはSCATTERBRAINを結成。バンドのテクニカルな部分を前面に押し出しており、嫌いじゃなかったけど(ALTAのCISCOで買ったんだよなーw)すでにHCでもPunkでもなくなってました。PRIMUSとか好きなら楽しめるかも?
 蛇足ですが、前述したようにCrossoverを象徴してたのは、サウンドのみならずゲストにも言えまして、AGNOSTIC FRONTのRogerアニキを筆頭に、CRUMBSUCKERS、LEEWAY、NUCLEAR ASSAULTの面々が参戦。わりと納得のメンツってカンジw。