• SISTER SCREAMING I DIE「Ruf-Neck Piano」

 商業誌でも活動されてる横山私刑さんの新刊は、絢爛舞踏祭本。横山さんといえば熟女系で知られる作風ですが(ついでにいえば、かつてはACID HAMLETというサークル名で活動してました)最近はそこにギャグのテイストを織り込んだ独自の芸風を模索してまして、今回の本もその延長線上に位置づけられる作品。全体的な流れとしては、ギャグ〜エロの振幅の反復といったスタイルで、小ネタを随所に織り込んだり(後藤達俊フィギュアてw)崩した絵で笑いを誘っておいてから、お得意の濃厚でマニアックなエロへと雪崩れ込んでいくといったパターンは、熟女系のジャンルにあってはかなり新鮮な手法です。
 そもそも、熟女系って意図的に笑いのエッセンスが盛り込まれる事(図らずも笑ってしまう事は多々あるが、それは作者の意図するところではないし)ってあんまないんで、横山さんが模索してる手法っていうのは良い着眼点だと思うのですが、それが従来の横山さんの作品を支持する層に受け入れられるかどうかという点では、若干の不安も残ります。「横山さんの作品」という観点から評価すれば、そのチャレンジャブルな姿勢は評価されて然るべきでしょうが、熟女系だから好き、というタイプの方にとっては、それは余計なコトとして否定的に受け取られかねないという懸念も考えられます。
 個人的には、ティピカルな熟女系の作品って良くも悪くも類型化し過ぎていて、あんま読んでて面白くないんで、こういう手法っていうのは歓迎したいんですけどね。惜しむらくは、これでちゃんと完成していれば、より評価もし易かったのですが・・・。今回の作品は32P(トータル40P)という尺の長さで横山さんの意欲が伺えるのですが、エロ・シーン以外はかなり白い仕上がりとなってしまっています(ペン入れまでの段階が多い)。ラフ画を前提とした作風ならそれでもアリなんですが(もっとも、横山さんの絵はラフ画で魅力を発揮するタイプではないが)、完成原稿を前提に描かれている作品ですんで、ちょっと勿体無いですね。それと、ペン入れだけという状態のせいもあるんでしょうが、全体的な絵のメリハリに欠けるきらいがあります。特に、せっかくのギャグのトコの崩した絵なんかは、もっと線とかにも緩さを感じさせたりすると、よりエロ・シーンとのギャップが激しくなり、効果的になるかと。遅いパートはより遅く、速雄パートはより速くっつーのがExtreme Musicの基本ですからw。
 なにげに絢爛舞踏祭のパロディとしてもよく出来てるし(ショウの不幸っぷりは輝いてるなーw)色んなイミで面白い作品。

  • 少女交錯「el」「エルという少女の物語第七話 乳濁色の間奏曲」

 eltoleさんの個人サークルの新刊は、お馴染み「エルという少女の物語」の新作。それと、持ってなかった第一話も入手。第一話はエロではなく、ちょっと切ないemoテイスト。やっぱり最初から読まないとねぇ(とはいえ、まだ第2話も読んでないんだよね)。娼館を舞台にしながらもほぼエロ・シーンなしという描き方は、まだエロを描く覚悟が決まってなかったとも受け取れる印象(どう考えてもストーリーの流れ上では必要だと思えた)で、初々しい(まだ体型も普通だしw)。
 で、新刊の方なんですが、こちらは乳辱とフェラ(イラマチオ系)だけで押しまくる展開。「間奏曲」と銘打つだけあって、全くもってストーリーは進展しません。主人公「ミルト」の爆乳とアンバランスな幼さの残る泣き顔や、テキストの気弱で諦念に満ちた独白が嗜虐心を煽ってて効果的。つーか、そろそろストーリーを進行させて、幸せになってほしい・・・。俺はMなんで、あんま嗜虐心では盛り上がらんのですよw?丹念に描かれているのですが、続き物である以上、若干ハイ・ピッチな発刊を希望っつーのは贅沢ですな。ともあれ、時間がかかってもいいんで、きっちり話を描き上げていただきたいです。
ex.>id:PIG-M:20030827、id:PIG-M:20040118