NO FOR AN ANSWER "You Laugh E.P."CD.(REVELATION RECORDS/REVELATION:6)
 80年代のStraight Edgeシーンは常に東海岸勢がリードしてきたのだが、第二次SxExムーヴメントの際、UNIFORM CHOICEやINSTEDらと共に西海岸SxExシーンを牽引したバンドの一つ。
 とにかく、一発目の"Just Say No"を初めて聴いたときのインパクトは凄まじかった。Dan O'Mahonyの塩辛いvoxの"Noooooooooo!!!!"というシャウトにゴリゴリと磨り潰すリフが切り込んできて、一気にトップ・スピードまで加速。当時のPosicore(当時はYouth Crewなんて洒落た呼称は使われてなかった)の常識を逸脱した加速感にド肝を抜かれたものです。その加速感っていうのはSxEx系のものではなく、個人的にはDEEP WOUNDやSIEGEに近いものを感じた。楽曲やリフなんかは紛れもなくSxExテイストなんだけど、それをFastcore一歩手前なまでに加速して吐き出しちゃってるっていうスタイルはとても新鮮で、大袈裟でもなんでもなく、INFESTの雛形になったと言っても過言ではないだろう(INFESTは、このスタイルのムダな展開を極限まで削ぎ落とした産物ではなかろうか)。
 NO FOR AN ANSWERは、カリスマ的voxであるDan O'Mahonyを中心に1987年に結成された(South California)。この音源時のメンバーは、GがGavin Oglesby、BがJohn Mastropaolo、DsがCasey Jones。GのGavinはUSHC好きな方ならご存知でしょうが、ミュージシャンとしてよかアート・ワークの仕事の方が有名でしょう。古くはUNITYやUNIFORM CHOICEのジャケのイラスト、有名どころではPENNYWISEの1stのジャケ(epitaphリリースの方ね)とかSENSE FIELDの"Building"のジャケなんかも手がけてたりします。BのJohnは1988年に脱退。UNIFORM CHOICEに加入しました。ちなみに、その代わりに加入したのがex.REASON TO BELIEVE(pre SENSE FIELD)のSterling Wilson。彼は後にあのZack de la Rochaと共にINSIDE OUTを結成。DsのCaseyはこの音源リリース後に脱退。後にIGNITEに加入。で、その代わりに入ったのがex.CHAIN OF STRENGTHのChris Bratton。
 それにしても、なんでこの音源だけこんなサウンドになったんだろう?(あんま速い速い言うと誤解を招く恐れがあるんで言及しておくが、徹頭徹尾速いわけではない)この点に関しては、ホント不思議。何故なら、1989年にリリースされた1st "A Thought Crusade"では、ここで聴けたFastな要素はスポイルされ、Danのマッチョ・イメージまんまな典型的SxExHCサウンドが展開されていたからだ(それはそれで悪くはなかったが)。この音源のProducerだったex.FINAL CONFLICTのRon Martinezの影響?そこら辺の真相を知ってらっしゃる方は、是非ご教授願いたいです。
 憶測で考えるならば、Caseyがその鍵を握っていたのかもしれない。この音源にも収録されてる代表曲"Without A Reason"は1stにも新録されてるのだが、そのverはまっとうなSxEx系の仕様になっており、ここで聴けるはっちゃけた爆裂ノリは皆無。脱退したのもCaseyが一番早かったし、とか思ったんですが。
 で、前述のような度重なるメンバー・チェンジ(一時は5人編成の時期もあった)を経て、解散。voxのDanはINSTEDのメンバーとサイド・プロジェクトとしてCARRY NATIONをやったり(再発盤の1stのCDに収録されてます。ちなみに、この頃はまだN.F.A.A.もやってました)した後、隠れた名盤を残したメロディック・バンド、411を結成(Gは後にFARSIDEに加入するKevin Murphy、DsのMario Rubalcabaは知る人ぞ知るプロ・スケーターで、後にFINAL CONFLICTのメンバーと共に伝説のヒスパニックHCプロジェクト、CHICANO CHRISTに参加。90年代初頭のUSでヒスパニックHC(勿論歌詞もラテンです)っていうのは斬新だった(BRUJERIAはいたけどね)。LOS CRUDOSよかアホでガラ悪くて、でも超タイトでカッコ良いThrashを聴かせてくれますた。7"1枚しかリリースしてないけど、買いの一枚。で、BのJosh Stantonは、INSIDE OUTやINSTEDなんかの写真を撮ってた人w。Danの塩辛いvoxは相変わらずなんですが、それ故にメロディなんかが入っても甘くならず、結果としてなかなかのナイスなメロディックサウンドを披露してくれたのでした。唯一のアルバム "This Isn't Me"は今でもよく聴くナイスな一枚(他にシングルも出てます))。数年前まではSPEAK 714(aka SPEAK)で活動してたのですが、今もやってるのだろうか・・・(ちなみに、SPEAK 714の音源はかなり厳しめなんで、注意)。
 俺はこういう塩辛いvox(SLAPSHOTのChoke先生直系wっつーか、INFESTとか97aとかSTRONG INTENTIONとか、ああいう風味)が大好きなんでDanのvoxもイケるのですが、人によってはちょっとクドすぎるかもw。でも、この暑苦しさが良いのですよ?ちなみに、今回reviewした音源はREVELATIONから再発されてますんで、入手は楽です(オリジナルは長いことレア盤だったからなぁ)。前述の1stも1996年にCARGOから再発されましたが、その1〜2年前に限りなくbootくさい仕様のCDがリリースされてまして、そのCDにはCARRY NATIONの音源は入ってないんで、中古で掘るときは注意するが吉。CARGO盤はちゃんとCARRY NATIONのクレジットもジャケとかに入ってるんで、キチンと確認しましょうw。他にも隠れた名コンピ "Free for All"にも参加してますが、これは何故かCD化されてないレア盤なんで、等価交換の原則に従う必要がありますw。