CAVITY "Laid Insignificant"CD.(BACTERIA SOUR/sour 25)
 Floridaの轢殺大王CAVITYが1997年にリリース(ちなみに2ndをリリースした後)したミニ・アルバム。CAVITYの音源の中では文句無しにこれが一番カッコ良いかと。2ndまではCAVITYのティピカルなイメージに近いSludge系なmid〜slowな楽曲が多く、3rd以降はもう少し泥臭いテイストに移行していってしまうのですが、この音源で聴けるサウンドはそんな両方のテイストを併せ持ち、なおかつ珍しく激烈なHCテイストなんかも注入されちゃってまして、無類の爆裂っぷりを披露。
 前述したようにCAVITYってSludgeなイメージが強いと思うんですが、実はティピカルなSludgeとは一線を画すサウンドなんですよ。EYEHATEGODとかDAMADとかみたく、Sludgeという名の如く泥濘をのたうちまわる様なサウンドではなく、もっとザラついた砂埃系なんですよね。サザン・ロックやデルタ・ブルーズの因子を有しているっつーか。だもんで、出音は徹底的にharshで粘っこさ皆無。それに加えてフィード・バック・ノイズを多用するもんだから、その音の鳴りの心地良さって言ったら、曰く形容し難いものがあります。ザラつきまくった暴音渦巻くノイズの嵐に、咆哮し喚き散らすvox(絶叫じゃないトコがミソ)がよく映える。そして、随所に挿し込まれる爆裂HCテイスト。この爆発力が凄まじく、小難しい理屈や思想などを完全粉砕するかの如き暴力性と野獣性を兼ね備えており、官能的なまでの衝動を喚起させられます。こんな衝動に回り逢えるから、Hardcoreを聴くのは止められないねぇ。
 無論、「押し」一辺倒ではなく、要所要所で間を活かした「引き」も考慮されており、そこら辺の細部の心遣いもにくい。全7曲30分弱というヴォリュームも過不足ないバランスで文句無し。基本的にHCが好きならマストなんですが、この音の鳴りっぷりはHYDRA HEADやRELAPSE系が好きな方にも充分堪能していただけるかと(実際、後にHYDRA HEADからもリリースしてるし)。近年のTODAY IS THE DAYとか、ああいうエクストリームっぷりが好きなら問題無し。こういった音にありがちな荘厳さや崇高さっぷりとは無縁なんで、安心してお楽しみいただけます。
 ちなみにリリースが、かのBACTERIA SOURであるコトからも容易に想像がつくと思いますが、この音源も様々な種類が出回っております。ジャケの色違いは言うに及ばず(知ってるだけでも9種類w)ツアー限定のCD2枚組とかもある模様。ま、通常verでもポスター・スリーヴ付だし凝ってる構造になってるんで(無論PUSHEADのイラスト)単純に「モノ」として持ってて嬉しい逸品。ただ、如何せんリリースが随分前なんで、今でも容易に入手可能かどうかは不明・・・そこだけは申し訳ないが、頑張ってくださいとしか言いようがありません。でも、探してでも入手する価値はありますよ(プラスチック・ケースじゃなくて、ペラいパッケージです)。超オススメ。

 VANILLA SKY "Waiting for Something"CD.(bullion/blln-35)
 イタリアの4人組Indie Rock Bandの1st。単純に言ってしまえば、emo以降のポップなギター・バンドといったところでしょうか。イタリアらしさの欠片もない、完璧なまでにアメリカンなサウンドは、YELLOWCARD辺りを彷彿とさせるものが。伸びやかで屈託の無いポップさを前面に押し出しており、単純に心地よく聴くことができます。全体的に曲が長めだったりするんで、案外一般層にも聴き易い気もしますが。ただ、良くも悪くも「聴き易い」サウンドなワケで、このバンドでなければならない、といった必然性は感じません。良く出来てるし楽曲もポップなんだけど、それ以上でもそれ以下でもないっつーか。曲や演奏、voxなど全てがどっかで聴いた様な印象なので、非常にコメントし辛いw。まぁポップ・ミュージックなんで、そんなコトに拘る必要はないんでしょうが。つーワケで、メジャー感溢るる良質なポップ・ミュージックだと思います。結構愛聴してたりw。