ATW "The Lipstick Murders"CD.(SOUND POLLUTION/Pollute 067)
 Ohioで活動していたALLERGIC TO WHORESの2nd。1st "Shadows in The Killing Field"ではオーセンティックなThrashサウンドを聴かせていたのだが、この2ndでは一部の楽曲でピアノを導入するなど、大胆にメロディの要素を取り入れている。前作譲りのThrashな要素も健在で、いわゆる叙情派Dark Thrash系とも一味違う独自のテイストを醸し出している。このアルバム以降はメロディの比重が高まっていき、結果的に解散〜新バンド(NIGHTBREED)へと移行してしまい、ルックスともどもMISFITS風味が濃くなっていってしまう。そのコトの是非を云々するつもりはないが、俺はこのアルバムで聴けるThrashとメロディの要素との折衷感が気に入っています。
 折衷感と言ったが、実際にこの二つの要素が絡み合ってる楽曲はそんなに多くないし、ついでに言えばアルバム自体もトータルでオススメとは言いがたい(単純に1stの方が焦点が絞れててカッコ良いし)。でも、そんなバラつきを補って余りあるほど、その要素が絡み合った楽曲はカッコ良い。Thrashって言ったってTRAGEDYとかFROM ASHES RISEみたいなcrust要素が強いタイプじゃなくて、NINE SHOCKS TERRORとかDEAD NATIONみたいなチンピラやさぐれ風味wなスタイルなんで、メロディが乗っかっても微妙に下品なトコがまたイカすっつーかw。
 このバンド、良くも悪くもvox&GのRay Terryのワンマン・バンドだったんで(ちなみに、楽曲も全部手がけてるし、このアルバムではBも弾いてる)彼の趣味がそのままバンドのサウンドの方向性を決定づけてしまった(前述したように、彼はメロディ重視の方向に行ってしまったので、Thrash要素は減衰していった)。個人的にはThrashテイストという緩急の急の要素があってこそ、このバンドのメロディに面白みを感じていたので、その両輪の片方が欠けてしまっている現在のNIGHTBREEDに関しては・・・(MISFITSっつーかSAMHAINやDANZIG好きならイケるかも?)。ともあれ、少なくてもSOUND POLLUTIONからリリースされてる初期の2枚はカッコ良いです。
 ちなみにボーナス・トラックとしてliveトラック(TOC無しw)が収録されてます。