• HARUM-SCARUM "The Last Light"(PARTNERS IN CRIME/016)

 PortlandのFemale Political Hardcore Punksの3rd。以前から素晴らしいという話は知っていたし、MRRのラジオとかでも何度か曲を耳にしていたのだが、今までなんとなく購入してなかったのでした。で、今回なんとなく買ってみたのだが、やはりウワサに違わぬカッコ良さ。つーか、なんか微妙に以前聴いた印象と異なるのだが、どうもvoxが抜けてトリオ編成になった模様。それが影響してるかどうかは定かではないが、LyricのPolitical性は相変わらずだが、楽曲は以前よかシンプルで、より突き抜けた感が強い。
 サウンドは、まさにHardcore Punkとしか言いようのない、疾走感溢るる直情テイスト。緩急を巧みに使い分け、旨みたっぷり。女性vox系にありがちなヒステリック風味が無いのも個人的には高ポイント。そのvoxは、基本的に合唱風味。コーラス・ワークなんかも織り交ぜ、焦燥感を感じさせつつもメロディもフォローしており、良くも悪くも過度にならない情感のバランスが、このサウンドにマッチしているかと(これ以上情感がこもると、Too Much感は否めなくなる恐れが)。で、やっぱこのバンドのキモはG。ソリッドにリフを刻みつつ、哀愁のフレーズをキメまくり。近年流行りの叙情派Dark Thrash系が好きならイチコロですな(ex.SLEATER KINNEYなんで、納得っちゃ納得ですが)。
 でも、サウンド・プロダクションや楽曲のテクスチャーがHardcore Punkなので(not Hardcore。ここポイント)Thrash系にありがちなToo Much感とは無縁なので、嫌味なく聴けました。前述したvox云々の話もここら辺に通じてくるのですが。ま、単純に嗜好の問題という気もしますが、これでvoxも情感たっぷりだと、ちょっとお腹いっぱいだよね。とにかくシンプルでソリッドでメロディアスな"Hardcore Punk"満載のナイスな一枚。女性vox系が苦手な方も、是非。

  • HELLSISTER "Freedom,Desecrate & Hellraiser"(TRIBAL WAR ASIA/TWA SIS-001)

 Malaysiaの4人組バンドの1st。女性メンバーを複数擁してるが、全員そうかは不明(Dsの名前は男っぽいが)。東南アジアが近年密かに熱いとは聞いていたが、こりゃスゲェ。こちらも前述のHARUM-SCARUM同様、Hardcore Punk丸出しな直球サウンド。でも、先進国(というと語弊があるが、ニュアンスとして解釈して)系のバンドみたく洗練されてない、剥き出しのサウンド・プロダクション(荒々しくてプリミティヴで、個人的に大好き!)に彩られた直情径行な熱さがたまらない。しかも、荒々しいといってもEarly Italian系や南米ポンコツ系などの爆裂瓦解サウンドではなく、グイグイとドライヴするサウンドが超魅力的。
 楽曲はちょみっとJapcore(DEATHSIDEとかLIP CREAMとかのオーセンティックなテイストではなく、なんつーか90年代初頭の味わいとでも申しましょうか。ブリブリ鳴ってるベースと、ドラムの加速感とかがそれっぽいかなぁ、と。分かりにくくてすまぬ)やCrustっぽさも感じさせるが、あんま暗さや翳りは感じられない(かといって、USHCっぽいとかいうコトでは無い)。そんな印象を決定づけているのは、voxのCollen姐さんのパワフルな歌声によるところが大かと。いやもうこの姐さんカッコ良いっス。特別ドスが効いてるとかじゃないんですが、きっちりメロディを踏まえながら突き抜けた勢いとパワーで曲を牽引する様は、実にアグレッシヴでカッコ良い。
 うーん、東南アジア侮りがたし。このカッコ良さは並じゃないです。つーか、ハードコア好きだったら絶対琴線に触れるって。リリースがTRIBAL WAR ASIAなんで、ABC PARTISANで呼んでくれないかなぁ。すっげーlive観てー!Malaysiaだからとかって敬遠せず(だってMalaysiaを感じさせるトコなんてイッコも無いしw)、是非是非一度聴いていただきたい素晴らしい逸品。超燃え必至ですよ?あーテンション上がるわー。