• V.A. "Case Closed,? An International Compilation of HUSKER DU Cover-Songs"(SNOOP RECORDS/SR#C19)

 言わずと知れたMinneapolisの伝説のバンド、HUSKER DUのTributeアルバム。70年代末には結成されていたが、音源をリリースしたのは1981年。初期はラフでザラついた粗暴なハードコア・サウンドを展開していたのだが、徐々にメロディを基調としたハードコア・サウンドへとシフトしていき(実はHUSKER DUのポップな曲ってGrant Hartが作曲してるのが多いのよ)、最終的にはギター・ポップもかくや、というような稀代のギター・バンドへと進化していった。
 メンバーはvox&GのBob Mould(解散後にソロへ転向、そしてこれまた伝説的名バンドSUGARで活動(1992年リリースの1st"Copper Blue"は全ロック・ファン必携のマスト・アイテム。泣ける名曲てんこ盛り!)同バンド解散後は、またソロで活動)BのGrant Hart(解散後はNOVA MOBで活動。俺は1991年リリースの"The Last Days of Pompeii"しか持ってないんだけど、結構微妙だった印象がw。今聴いたら印象違うかもしんないケド。1999年にソロを出して以降はどうしてるのやら)DsはGreg Norton。解散後はコックさんだってw。
 一般的にHUSKER DU=Bob Mouldのイメージが強いんだけど、結構良い曲はGrant Hartがかいてるんだよね。俺の大好きなアルバム"Candy Apple Grey"収録の超名曲"Sorry Somehow"もGrantの曲だし。LIFETIMEがカヴァーしたコトでも知られる"It's Not Funny Anymore"もGrantの曲だったり。でも、解散後は比較にならないほどBobの曲の方がポップなんだよね。不思議不思議。
 で、このアルバム。「やっぱHUSKER DUって良いよね」ってカンジなんですがw、幾つか印象的なカヴァーもあったり。まずはダッチ・メロディック・ハードコア・シーンの看板、NRA。7" "In A Free Land"と2nd"Everything Falls Apart"収録の"In A Free Land"のカヴァー。NRAの3rd"Access Only"収録のヴァージョンですが、やっぱハマってるなー。SICK OF IT ALLもやはり"Everything〜」収録の"Target"をカヴァー。Craig加入後の初録音かな?激熱でゴリゴリ。Louのテンションも沸点を迎えてます。最高!盟友Vic Bondi(Bobとex.ARTICLES OF FAITH、JONES VERYのVic、MOVING TARGETSのKen Chambersは交流が深かった。どのバンドも最高なんで、チェックしてね)のALLOYは名盤"Metal Circus"から"Out on A Limb"をチョイス。Vicの激情迸るvoxとGワークに震える。ドイツのポップ・パンク・バンドRICHIESのまっとうなポップ・パンク然としたカヴァーも新鮮だったり("Candy Apple Grey"収録の"Don't Want to Know If You Are Lonely"。シングルも出てます)。かなりBob入ってる歌(意外だ)と微妙にヒネた展開でらしさをアピールしてるBIG DRILL CARは、選曲でもマニアっぷりを披露12"(7"×2のフォーマットもあり)"Sorry Somoehow"のB面収録の隠れた名曲"Celebrated Summer"をチョイス。イロモノ・カヴァーwで知られるドイツのポップ・パンク・バンドGIGANTORは珍しく真面目に"Flip Your Wig"収録の"Green Eyes"をカヴァー。ポップさの際立つアレンジで良し。
 HUSKER DUのオススメっていうと、昔だったら"New Day Rising"とかが挙げられてたケド、個人的にはHUSKER DUらしさを求めるなら"Metal Circus"。ポップさを求めるなら"Candy Apple Grey"辺りを推したいのだが、どうか。"Metal Circus"はHARDCORE PUNKとしてのHUSKER DUの魅力が凝縮された一枚。ポップでラウドでノイジーで破壊力満点。鋭利な刃物の様な切れ味と、それでいてどこか翳りがよぎるサウンドは比類なき強度としなやかさを誇っていて、今に至るまで連綿と語り継がれているのも納得なカッコ良さ。メジャー移籍後初のアルバム"Candy Apple Grey"は、問答無用のポップ・チューンを搭載。もはやHARDCOREとは言えませんが、それまでの活動の軌跡を辿れば納得の進化というか。何度も挙げてるケド、emo〜メロディック系が好きなら"Sorry Somehow"だけでも聴いていただきたい。マジ死ねるって。
 今から20年も前のバンドなんだけど、今聴いても全く古さは感じないですな。つーか、Bobのささくれだったギター・ワークなんて今のバンドよか全然凶暴だし。全ての音源が最高とは言いませんが、それでもやっぱ色褪せない魅力を持ったバンドなのですよ。SUGAR共々(実はSUGARの1stが一番好きなんですがw)一度は聴いてみていただきたい、素晴らしいバンドです。
 ・・・あ、このカヴァー・アルバムはお好みでどうぞw。原曲知ってて、好みのバンドが幾つか収録されてるんならアリかな。