• 「それゆけ!てんぷくドサ回り」           

 予備知識無しで購入した一冊。コミックGUMで連載されていた模様。GUMの作品の単行本ってかなり買うんですが、実は雑誌を手に取ったコトは一度もなかったりするw。
 それはさておきこの作品、少々異色な構成となっておりまして、前半13話がストーリーもの、後半14話がレポートもの、といった具合。一応メイン・キャラは共通なのですが、後半の実録モノからは作者と編集が加わる、というかなり強引な展開をみせてくれます。
 で、前半はファンタジー系(というか異世界モノというか)のギャグ漫画。とはいえ、後に実録モノへとシフトしていく布石は打たれていた(意図的かどうかはさておき)し、そういったエピソードの方が面白かったのも事実なので、実録モノへと移行したのは正解だったろう。実際、実録モノへ移行してからの方が、間違いなく面白かったし。
 ただ、この漫画でどうしてもひっかかってしまうのが、肝心のメイン・キャラたち(てんぷく&カンパチ)の存在だ。後半に登場する作者&編集の作画的な扱いは極めてぞんざいなのだが、しかしその投げっぱなし気味なテイストに魅力があった。ところが本来メイン・キャラであったハズの二人には、このやりっぱなしテイストがうまく作用しなかったのだ。結果的に、本来のメイン・キャラは完全に道中のお連れとなってしまい、その存在意義も薄れてしまった。いうまでもなく、思い入れの深さがなせる業だったのだろうが、その想いは作品に上手く作用しなかった様に思われる。
 作者の作品は、この1冊しか読んだコトがないのだが(大都社からもう1冊単行本が出てるそうな)、これを読む限りでは、カチっと描き込んだ絵よりも、オマケで収録されているあとがきや、登場人物紹介漫画などに代表される、シンプルでちょっと投げっぱなし気味な絵柄に魅力を感じる。そして中身の方も、後半で見せてくれた毒舌風味がとても痛快だった。こういった要素を、もっとオリジナルの世界観に嵌め込んでいけば、よりパワフルな作品が出来るのではなかろうか。
 ともあれ、実録ネタが好きな人なら、一度は目を通しておいても損は無いです。蛇足だが、GUM恒例のアンケートの景品が、テレカではなく小冊子なのは高ポイント。俺も応募しますw。

  • 「HOSOUDE(壱)」

 千葉秀作、久々の単行本はかなり直球なスラップスティック色の濃いラヴコメ。なんかもう怒涛のオールド・スクール・テイスト満載ですな。冒頭から強引&お約束な展開で爆走。そこに、従来の「表」千葉作品では意識的にスポイルさせていたお色気テイストも加味して、もうやりたい放題。こう書くと、「ラブひな」に代表される、近代萌え漫画に近い印象を受けるかもしれないが、決定的に異なるのは、全篇に渡って漂うバタくささ。絵柄やノリが、どうにも80'sくさい。なんというか、20代末〜30代の人なら分かってもらえるニュアンスではなかろうか。若い人の目には、どの様に映るのかね?でも、俺はこういう作品が大好きだ。このなんとも言えない居心地の良さ。あーだこーだとツっこみながらも、口元がニヤけてしまう。掲載誌がGUMというのも納得な作品。俺みたいなジジィは読んどけw。ちなみに、単行本の細かいディテールも好印象(カバーを・・・)です。

  • 「まじかる☆こみっくHeart」

 迷作「ももえサイズ」でお馴染みの結城心一の新刊は、Leaf/AQUAPLUSの作品のアンソロジーものをまとめた作品集。俺はアンソロジーものは全くチェックしないタイプなので、結城氏がこんな仕事をやってたなんて全然知らなかった。最初に本屋でこの本を見かけたときも、すぐには結城氏の絵とは認識出来なかったし。
 「ももえサイズ」では、微妙な間とマニアックなネタ、そしてそこはかとない悪意の絶妙なブレンドが魅力だったのだが、そんなテイストはこの作品集にも活かされている(ただし、微妙にアッパーで分かり易くなってはいるが)。個人的には、To Heartものがかなりやり放題なノリで、面白かった。この作品集に未収録となった作品も多そうなので、続刊を希望したいところ。ジャケの愛らしさに騙されないで!w。