• THE ATARIS "So Long,Astoria" CD.(COLUMBIA)

 カリフォルニアの4人組の新譜。過去聴いた音源では、可もなし不可もなし、といった印象で、あまり興味がもてなかったのだが、これは良い。今回のアルバムでは、SAMIAMやJAWBREAKERを彷彿とさせる、ギター・パンク・スタイルにサウンドがシフト。これがかなりハマってる。エモやインディ・ロックほど甘くならず、正統派のギター・ロックを聴かせてくれていて、嬉しい限り。さらに、俺がプロデューサー買い出来る数少ない一人、Lou Giordano(80年代のボストン・ハードコア好きなら知らない人はいない、USHC界を代表する名プロデューサー)が手がけてるとあっては、文句のつけようもありません。持ち前のポップさは健在で、安易に速さに逃げなくなった分、曲の良さも映える出来映えで、大変宜しいですな。俺も含めて、なんとなくミーハーっぽいイメージを持ってる方もいらっしゃるでしょうが、これは一聴の価値ありです。オススメ。

 いまだに愛聴している名盤「Micromaximum」のリリースから3年半ちょい。間にシングルやREMIXアルバムのリリースがあったとはいえ、久々のリリースとなった2nd。冒頭からいきなりドラムの鳴りが良いなぁ、とか思ったらD.O.I.(ex.INDOPE PSYCHICS)が手がけてて納得(全篇に渡って手がけてる訳じゃない)。2001年にリリースされた「2254 Universal EP」で聴けた、複雑極まりない変態楽曲路線をもっと推し進めてくるかと思ってたのだが、意外にシンプルな造り(いや、普通のバンドと比較したら十分複雑なんですが)。独特のメロディ・ラインは相変わらずというか、威力が増していて、ある種トランシーですらある。以前と比べて、間違いなく分かりにくい印象だが、よりオリジナルなサウンドへとシフトしていて、曲者っぷりをマスにアピール。もうこのままイっちゃってください。ちなみに、初回盤はライヴ・トラック収録のボーナスCD付2枚組仕様。内容も良いんで、お早めに。

  • BLINK-182 "Take Off Your Pants and Jacket" CD.(MCA)

 秋には新譜のリリースも予定されているBLINKの、目下の最新作。しっかし、このバンドがこんなにデカくなるなんて思わなかったけどなぁ。初めて買ったアルバムは94年リリースの「Cheshire Cat」CD.(CARGO/GRILLED CHEESE)だった(この頃は「BLINK」ってバンド名。「182」はついてなかった)んだけど、よくあるB級ポップ・パンクで、結構気に入ってはいたものの、十把一絡げの一つに過ぎなかったのにね。いまや押しも押されぬビッグ・バンドですよ。ブレイクしてからのサウンドは、かつての強引な展開が弱くなって、いまひとつフィットしなかったんですが、このアルバムでは方向性が修正され、より楽曲を聴かせるサウンドへ。おかげで過去のバンドのイメージとの差別化が図れ、違和感なく楽しめました。素直なポップ・チューンが多く、単純に心地よい仕上がり。これはこれで宜しいのではないかと。新譜もこの路線でいってほしいですな。

 想像以上に早いピッチでリリースされた4枚目(企画盤除く)。しっかし2000年以降のRIPの快進撃には驚かされるばかりですな。「白日/真昼に見た夢」あたりから聴いてる俺にとっては、とても同じグループとは思えんですよw。印象もずいぶん変わったしね。「Talkin' Cheap」の頃のやるせなさや気だるさ、ダウナーさなんかがたまに懐かしくなったりもしますが、今のRIPには似合わないし、現状に不満があるわけでもないので無問題。
 で、新譜なんですが、OPからRYO the SKYWALKERをフィーチャリングでアゲまくり。M-3ではヒューマン・ビート・ボックスまで飛び出して、序盤はシブいヒップホップ・テイスト。この流れからの"Joint"はキクなぁ。ここからM-8までのラインは世間的に馴染み深いここ数年来のRIPサウンドなんですが、そこからちょっと興味深いM-9へ。ここで聴けるトラックが面白い。個人的にはちょっとDAEDELUSなんかを彷彿とさせられた(雰囲気的に、ね)。それ以降は、やりたい放題。ヒップホップを通過した高性能ポップ・チューン満載。しかも変態性やバカっぽさといったヒップホップの根源的な魅力も忘れずに搭載されていて、ホントレヴェル高ぇよなぁ。マイク・リレーは相変わらず文句ないし、トラックの多彩さもケチのつけようもありません。今回もお手上げですよ。名盤とまでは言いませんが、聴いて損の無い、ハイ・レヴェルな一枚。