7/21 "Punk Rock Show #5"@鶯谷What's Up / Set Up Today / Blind Side / illya / Broken Mountain / Lemmy / Chippendale

 月曜は鶯谷でライブを観てきまして。


 前日に買い物の類を済ませていたし、なによりLimp Wrist@中野の疲れが抜けきってなかったので夕方頃まで粛々と仕事を進め、16時過ぎに出発。道中、同ライブに向かうbsちゃんから連絡が入ったので新宿で合流して、談笑しつつ鶯谷へ。会場に着くと、既にリハを済ませていたillyaLemmyの面々が外にいたので、メンバーをとっかえひっかえしつつ、あれこれやとくっちゃべる。そうこうしてるうちに、定時に開演。が、諸般の事情ですぐにメシを食いに行くコトになりまして。


 安くて美味くて雰囲気の良いメシ屋でまったりとした時間を堪能してから戻ると、ちょうどillyaの出順。ヨコヤマ君を筆頭に全員お世辞にも調子が良いようには見えなかったんだけど、あにはからんや、今まで観た中でも1、2を争う極上なライブを披露してくれました。まず、ヨコヤマ君のキレっぷりがヤバかった。基本、高値安定なタイプだと思うのですが、この日は狂気じみた何かが滲み出ておりまして、遂にワンランク上のvoxへと昇華し始めたかのような印象。エレ君も、アルコールの力を借りずとも自身の力のみで魅せる・聴かせるプレイをカマしてくれまして、完全復活どころか以前にも増して輝きを放っておりました。熱さの中にも温かみを感じさせてくれるエレ君の音があったからこそ、狭い空間で暴れまくる皆の表情が笑顔・笑顔だったのではないかと。フロアから期せずして「チェルシー!」っていう叫びが聞こえたけど、チェルシーさんの遺志はエレ君に継がれたんじゃないかしら。そう言っても過言ではないだけのモノをこの日のエレ君は魅せつけてくれました。リズム隊も勿論抜群。ユウキ君のベース・ラインはますますうねりを増していて、もの凄いドライブ感を醸し出してたし、アントン君のドラミングもキレキレ。昔はクールに、表情変えず淡々と叩いていたのに、今は顔面にディストーションがかかりまくりw。少なくともパンクやハードコアの世界においては、良いドラマーって演奏中にイイ顔してる人が圧倒的に多いと思うので、アントン君の変化は良い傾向だと思います。この日は、先月観たライブでは今ひとつ出音に反映されてなかったツイン・ペダルが存分に威力を発揮しておりまして、鬼のようなバスドラ連打をフロアに響かせておりました。


 事ほど左様にこの日のillyaは輝いてたんだけど、これは偶発的な出来事ではなくて必然的な出来事なんだよね。常日頃からメンバー各々が自分なりのスタイルで研鑽を積み、各地の仲間たちと切磋琢磨しあいながら常により良くあるように努め続けてるが故に、このような高みへと至ることが出来るワケで。そう遠くない将来にこの日のライブのクオリティがデフォになって、そしてまたそれを上回るライブを魅せつけてくれるでしょう。その頃には世界中の熱心なHCファンの間にillyaの名が知れ渡ってるのではないかと。そんな彼らの行く末をこれからも遠巻きながらに見守っていきたいと思います。本当に素晴らしいライブでした。


 で、Lemmy。illyaに触発された部分も少なからずあったろうけど、それを差っ引いても充分に見応えのあるライブを披露。ライブ前は結構緊張が隠せなかった剛が、スタート直前には自力でスイッチを入れ客を威嚇。そのふてぶてしい態度はなかなかのもの。初ライブの時はメンバー揃って初手から空回ってしまいましたが、この日の滑り出しは上々。中でもベースのノガミ君が初ライブ時とはうってかわって前へ前へ!っていう姿勢を前面に押し出していて、頼もしい限り。ガモウ君のドラミングも冴えており、疾走感溢るる演奏でサウンドを牽引。剛も3回目のライブという事もあってか、初ライブ時よりもテンションの制御が出来ていたのでアクションの焦点が絞られてまして、ちゃんと地に足の着いたステージングを魅せてくれました。無駄な動きが減った分、体力の消耗が抑えられてるせいか声の出も良く、バックの音も聴けてた印象。強いて言えばGのサトシ君にはもう少し前に出てきてもらいたかったかな、と。演奏面では問題無かったんだけどね。

 今回は新曲を入れてきたんですが、Lemmyの大きな武器の一つである楽曲の良さが如何なく発揮されており、モッシュ・パート的なテイストが織り込まれた極上のHCチューンで、曲を客が覚えたらライブのハイライトになること必至のカッコ良さ。Lemmyは何気にカテゴライズしにくいサウンドを展開してるんですが、HCの根源的なツボを心得た楽曲群は、どんな企画に出ようと、その先々で確実に客の心を掴んでいくと思う。


 序盤の飛ばしすぎが祟ったのか、中盤以降時折疲れを感じさせる瞬間も垣間見えましたが、そこはフロアの熱狂に引っ張られたり体力を温存していたサトシ君の奮闘などでフォローし、なんとか気力と体力を振り絞ってフィニッシュまで辿り着いてみせました。初ライブよりも総じて良かったんだけど、個人的に嬉しく思ったのが、メンバーが凄く良い表情を浮かべながらライブしてたこと。自分たちのやってることに対する手応えが感じられてるが故に自然とそういった表情が湧き上がってきたんじゃないかしら。そういう空気感っていうのはフロアにも伝わるので、皆イイ顔しながら暴れてたのよね。あの空気感は、Limp Wristに通ずるものがあった。HCのライブに緊張感は不可欠なんだけど、そこにhave funな姿勢を持ち込むのは全然アリだと思う。ただ単にfunなだけのバンドは掃いて捨てるほどいるけど、緊張感を保ちつつとなると途端に少なくなるので*1、Lemmyはそこを目指してみると面白いんじゃなかろうか。資質あると思うし。

 無論、まだまだ課題は山積してるけど、単純な経験値不足に由来する問題も多いので、そこは時間と経験が解決していくだろう。バンドが一丸となってる今は、脇目も振らず信ずる道を突き進むが吉。少なくとも俺は、今進んでる道が間違ってるとは思わないよ。良いライブを拝ませていただきました。


 トリは、この日の企画主のタケ君率いるChippendale。タケ君っつーとオーストラリアのイメージが強かったのでHard-Onsとか Meaniesとかのラインを想像してたのですが、燻し銀なUKメロディックサウンドが飛び出してきたのでビックリ。まだまだ経験値不足ではあるけど、シンプルだけどツボを心得た楽曲は悪くないし、なによりひたむきに演奏する姿に感ずる部分があったので、なかなか楽しめました。


 終演後は剛から剛Pに戻ったw剛Pと真面目な話や不真面目な話をしたりってなコトを筆頭にひとしきりトークを堪能してからアントン君とサトシ君と共に3時間前に寄ったメシ屋に再入店し、定食を食してから社長に送ってもらいましたとさ。体力的にはしんどかったけど、観に行って良かったよ。

*1:brutalさの中に感じられるfunっていうのも確実に存在するんだけど、それは特殊なケースっつーコトでw