6/29 "SPIRAL BRIGADE VOL.1"@幡ヶ谷Heavy Sick / Grin / Sponge Boy / illya / Number Two / Lemmy / Bastard Fraction

 日曜は、幡ヶ谷でライブを観てきまして。


 本来なら29日恒例の苦肉祭に行くトコですが、友人らがやってるバンドのデビュー・ライブを優先すべく、断腸の思いで苦肉祭を蹴り、幡ヶ谷に馳せ参ずることにした次第。幡ヶ谷はウチからだと交通の便は良いのですが、足を運ぶのは初めてだったし、会場近くのカレー屋が結構盛るという話を小耳に挟んでいたので、そこで遅い昼食っつーか早い夕食を摂ってから会場に赴こうと目論み、ちと早めに家を出まして、一路幡ヶ谷へ。事前にネットで店の位置を確かめておいたので、迷うことなく件のカレー屋「スパイス」を発見、即入店。店内は町の洋食屋さんっつーか喫茶店的な佇まいで、良い雰囲気。店長さんと思しき御仁と常連さん1名のみが語らってる最中だったので微妙に気まずかったけど、気にせずに適当なテーブルに陣取り、これまたネットで事前に調べて気になっていたビーフカレーの大盛りをオーダー。店内がガラガラだったせいか、牛丼並みの速度でカレーが登場。「さぁ、鼻からカレーを噴出すくらい食うぜー!」と意気込んでおったのですが・・・なんか思ってたよりも量が多くないんですが。ワタクシ、こちらのブログの記事を見て惹かれたのですが、実際に目の当たりにすると、写真ほどのインパクトは無し。ゴーゴーカレーに近い、具とルーが溶け合うくらいにドロドロとなったカレーはまずまず美味しかったのですが、辛さを警戒してビーフ=中辛*1にしたんだけど、どうも辛さ控えめな味付けらしく、中辛は明らかにパンチ不足な感が否めず。結局10分もかからずに平らげてしまい、微妙に満たされぬ食欲を抱えたまま店を後に。値段を考えると優良店だとは思いますが*2、量には過度な幻想を抱かぬが吉。


 当初の予定では、カレーに苦戦し、時間を食ったところでHeavy Sick入りという青写真を描いておったのですが、のっけから予定が狂ってしまい、早々に進退窮まってしまったワケでw。しゃーないので、まだリハの時間だったけどHeavy Sickにお邪魔することにしまして。幸い、Lemmyはリハを終えていたし、illyaも程無くしてリハを終えたので、適当に談笑しつつ時間を潰し、開演時間間際に入場し、フロアへ。Heavy Sickのフロアはかなり小さく、Waverのフロアを正方形にしたくらいのサイズ。フロアをぼんやり眺めてるうちにトップにGrinがスタート。G、G、B、Dsという編成なんだけどメインvoxがDsというのがミソ。このバンド、リズム隊がLemmyのリズム隊でもあるのですが、その音楽性は似ても似つかぬ感じ。全体的にモダンな印象のHCで、まだ激情系だった頃のenvyを若干彷彿とさせるようなサウンド。結構曲も練られてるし演奏もソツが無くて総じて平均点高めなんですが、出音のチョイスに難ありか。このテのサウンドだと静と動の落差っつーかギャップが肝なんですが、Grinの場合は総じて音が「静」寄り。聴かせるパートでは如何なく持ち味を発揮しているんですが、激しいパートになった時の迫力が明らかに不足しており、ちと勿体無い気が。もうちょっとギターの音色に工夫が必要なんではないかと。もしくは、ベースを若干歪ませるとか。一本「核」となるトーンが欲しいかな、と。曲が良いだけに惜しい。


 Sponge Boyは昨年冬に結成されて、この日のライブを含めてもまだ5〜6回しかライブをやったことがないという、なんともフレッシュなスリー・ピースのメロコア・バンド。バッキバキに硬質なトーンでやたら手数の多いフレーズを紡ぐベースはいかにもAll〜Descendentsからの影響を感じさせるけど、楽曲のほうには反映されておらず、往年のHi-StandardやSherbetを彷彿とさせる爽やかなでストレートなメロコアサウンドを聴かせてくれました。音楽的には、演奏やコーラス・ワークを筆頭に拙い部分も多々あれど、きちんとフックのある楽曲を揃えてるし、前述したように特徴的なベース・ラインを有しているので、なかなか魅力的。少なくとも、あたしゃ素直に楽しめたしデモ音源も購入しました。


 てな具合にきちんとしたバンドだっただけに、やたら持ち時間を気にして無駄なMCで間延びさせるグダグダなステージ進行や、「物凄くヒマだったらMySpaceとかで聴いてみてください」といったMCに代表される無駄に自分らの音楽を卑下するようなMCなんかが気になってしゃーなかったです。つーか、デモ音源買うときに、ちょっと指摘してしまったけどw。ちゃんと良い音楽作ってるんだから、キャリアが無いからとかメロコアだからといった瑣末なことなど気にせず、胸を張って自分らの音楽をレペゼンしていただきたいものです。


 自分たちの音に対するこだわりや主張を伝えようとする姿勢、楽曲のクオリティ、「バンド」としての演奏力、といった全ての面において、illyaはこの日のメンツの中では別格でした。ただ、illyaが仲間であると共に未来の好敵手として認識しているLemmyのお披露目ライブということもあり、この日はいつにも増して情念を迸らせておりましたが、ところどころそれが仇となる瞬間も散見。所謂「入れ込みすぎ」ってヤツですか。持てる力を存分に発揮したとは言えなかったけど、それでも他者を圧倒するだけの力を見せ付けることが出来たっつーのは流石。個人的には、ワウを導入して色気が増したギター・ワークに惹かれました。ちょっとソロっつーかリフ以外のパートを意識しすぎちゃってた感は否めないけど、きちんと楽曲に組み込んでコントロールして活かすようになったら、相当面白いことになるんじゃなかろうか。ギターが本当の意味で機能してるHCバンドって意外と少ないので、そういう意味でも面白いバンドだと思う。


 Number Twoは、往年のRecessのバンドを思わせる圧倒的なクソガキ & ハナクソっぷりが眩いstreet punkバンド。vox、G、G、B、DS。なんつーか、The Casualties meets Screeching Weaselなカンジ?ドカドカ、バタバタと忙しない性急なビートをバックにギャンギャンやかましくギターは掻き鳴らされ、voxは一心に喚きまくるという緩急もへったくれもない直情径行丸出しなサウンドなんですが、なにげに楽曲がキャッチーなんで楽しめちゃうのよね。ただ、かなり悪ノリがすぎるステージ・アクションが多いので、そこで好き嫌いがはっきり分かれるかと。


 で、Lemmy。voxとGが本番前からガチガチに緊張してるのが丸分かりだったんですが、案の定のっけからそれで躓く。voxはツッコミだしたらキリがないくらいテンパってて気合がただただ空回り。声は出てないわ動きはムチャクチャだわバックの音は聴けてないわで如何ともし難い有様。一方のバックも、場馴れしてるリズム隊が辛うじて楽曲の屋台骨を支えるも、肝心のGがこれまたテンパっており、音からビタイチ自信が伝わってこず、楽曲の上っ面だけをなぞるようなプレイに終始し、なんつーかもう惨憺たる様相を呈しておりました。にも関わらず、身内の仲間たちが無理からテンションを上げて暴れるもんだから、ライブハウスでよく見かける「身内が盛り上がってるだけで他の客は全員シラけまくり」という典型的悪しきシチュに陥ってしまいまして・・・。正直、これが最後まで続くようならホント終演後は・・・と悲壮な決意を胸に秘めて見守っていたのですが、あからさまに状態の良くないステージングを目の当たりにし、それでもシンガロングを止めず、熱く拳を振り上げモッシュを続ける仲間たちの姿を意気に感じたのか、2曲目以降立ち直り始め、徐々にバンドとして機能しだし、遂には中盤の"Out of Step"で爆発。見違えるように気合が入りだしたGが輝きを取り戻し、序盤から必死に耐えていたリズム隊と共にサウンドを牽引。そこに終始テンパりまくりつつも自分なりの全力を尽くし続けていたvoxも融合。さらにはシンガロングとモッシュも相まって、一気にフロアは沸点を迎えたのです。以降は、勢いに乗じて最後まで突っ走り、フィニッシュ。果てはアンコールまで巻き起こり、OPで失敗したキラー・チューンたる"Dark Matter"を再演して終了。


  正直、フロアの仲間たちに救われたと言っても過言ではなかったけど、そんな仲間たちを得ることが出来たのは、Lemmyというバンドが今まで歩んできた道や取ってきた行動が間違ってなかったということの証なので、誇って良いと思う。期待を裏切らないライブを魅せてくれたけど、序盤の体たらくに代表されるように、まだまだ課題も山積してるという事実も忘れずに。共に行く仲間たちを失望させたりしないように、日々精進し続けていただきたい。まだまだ伸びしろがあるんだから、弛まぬ努力と創意工夫を欠かさぬようにして、メンバー同士切磋琢磨して欲しい。ともあれ、お疲れ様でした。また観に行くよ。

*1:ここは肉の種類によってカレーの辛さが固定されており、ポークは甘口、チキンは辛口、そしてビーフは中辛なのです

*2:カレー大盛りで¥710