muxtapeとか

 http://pigm.muxtape.com/
 twitter経由で知ったネット・サービスなんですが、「12曲」という縛りの中でミックステープっつーかお好みのコンピを作るってな内容でして、人が作ったのを聴いてて面白かったので自分もやってみようと思った次第。似たようなサービスは色々ありますが、muxtapeは自前の音源をアップして使うので、選曲の自由度が桁違いなのが魅力。ただ、言うまでもなくイリーガルな行為なんで、焼け石に水とは思いつつ、音質を下げてアップしました。


 こうやって、特定の個人に向けてではなく不特定多数に向けて選曲をしたりしてると、その昔コミュニティFM局でやってた音楽番組のことを思い出す。ラジオってとても身近な媒体なんだけど、そこで紹介されてる音楽って意外と幅が狭いよね*1。もっと自分が聴きたいような音楽をかけてくれる番組があれば・・・と思ってたところに、コミュニティFM局開設に伴うボランティアの募集の話を聞きつけ、早速応募。ボランティアってくらいだから応募すれば誰でもなれるかと思ってたんですが、意外と何度か面接とかがあったりしたので、ちと面食らう。しかし、そこは舌先三寸で潜り抜け、晴れてボランティア・スタッフに任命されまして。


 ボランティア・スタッフと言ってもワタクシの場合、応募時から具体的な番組のコンセプトを提示していたせいもあり、初手から隔週の土日の各1時間ずつの枠を貰いまして、喜々として選曲に取り掛かりまして。本当はガンガンUSHCとかをかけていきたいトコでしたが、スタッフにPunkやHCを理解してる人などいるはずもないし、ウチの番組の他にハードな音楽をかける番組が存在してなかったので、のっけから冒険するようなリスクは避け、先ずは番組を定着させることを念頭におき、Guitar PopやNew School系Hip Hopなどのソフトな楽曲を中心に選曲しつつ、その合間合間にDoughboysやBad Religionなんかを忍ばせる、という姑息な手法に打って出ましてw。


 でも、最初の頃はBad Religionをかけるのもドッキドキで、事前にディレクターさんに曲を聴いてもらい「このバンド、ちょっと速いかもしれないですけど、結構ポップですよね?これくらいならかけても大丈夫ですよね?」ってな調子で、必死こいて説得したものです。


 当初の番組のスタイルは、ワタクシが選曲を担当し、自前の音源をMDに収録。そのMDに局のアナウンサーがアーティスト名や曲名のアナウンスを入れて完パケ状態にするってな手法が採られてました。ところが、開始からひと月ほど経った頃、突然思いも寄らない事態が発生。なんと、アナウンスの部分も担当してくれ、とのお達しが。あたしゃ自分の好きな曲をかけるのが楽しいだけで、DJ的なコトに対する興味はからっきし無かったので固辞したのですが、局側からは「スタッフが知らない曲ばかりかけるので問い合わせがあっても答えられない」的なコトを言われてしまい、返す言葉も無かったっつーかw。とは言え、さすがに一人でやるのは心許ないにも程があったので、急遽友人をゲストに巻き込んで*2、なんとか急場を凌いだのでした。番組終了後、録音したテープを聴いて深く絶望したのは、言うまでも無い。抑揚に乏しい口調で早口にまくし立てており、そりゃあもう最悪でしたよw。「声優って凄い」と本気で思った瞬間でもありました。声だけで感情を表現するのって、ホントに大変なのね・・・。


 ともあれ、そんな辱めを受けつつも、幸か不幸か番組は順調に定着し、毎週1時間の枠に昇格。その後も番組改編の波を潜り抜け、いつしか定期的に2時間特番とかも組まれるようになり、番組の内容も完全にワタクシに一任されるようになったので、好き勝手絶頂にやらせてもらったものです。前にもネタにしましたが、年末の回で除夜の鐘にかけて、ショートカット・チューンを1時間に108曲かける、なんていう極北の企画もやっちゃいましたし。


 ま、108曲云々は完全にやりすぎだったけどw、当時としては、それなりに面白い音楽をかけたり、それなりに面白いコトを*3それなりの期間に渡って*4お届け出来たという自負はあります。ふとラジオをつけると、PunkやHCを筆頭とした、日常ではなかなか出会えない類の音楽がかかってるっていう環境は、けして悪くないと思う。そんな入り口があったって良いじゃない。


 で、muxtape。イリーガルかもしれないけど、これも音楽の出会いの一つの形だと思う。クリック一つで未知の音楽と出会えるのは刺激的。実際、ワタクシも人のmuxtapeを聴いて触発され、自分でもやるに至ったワケですんで、ワタクシのmuxtapeも誰かしらの好奇心を刺激出来れば・・・と願わずにはいられない。お手軽な出会いを善しとしない向きもあろうし、その言わんとするところも理解出来るのだけど、ワタクシはお手軽な出会いを否定したくない。


 ワタクシたちは、お手軽に満足しちゃうような人々に、さらなる歓びを説いていくという行為を怠ってはいないだろうか?打っても響かないからといって端から諦めてはいないだろうか?手取り足取り指導するようなモンじゃない、と突き放してはいないだろうか?


 本質を理解出来ない人に道理を説くのは困難だし、己が未熟さも相まって、思うような理解を得られないから、徒労に終わることも少なくない。でも、だからといって道理を説くのを止めてしまっては、現状は変わらない。ただ憂い、苛立つだけでは何も変わらない。自戒の念をこめて書くが、現状に不満があるなら、せめて自分に出来ることは、やろう。1と100は大差ないけど、0と1では天地どころじゃ済まない程の差があるのです。たとえ周囲が千や万だからといって、1である自分を卑下する必要は無い。0を1にするという行為そのものが貴いんだからね。


 多いに脱線しましたがw、要は聴いて興味を持った曲があれば、音源の現物を手にとってみるなりワタクシに訊くなりしてみてくださいっつーコトで、利用出来るうちに利用して、様々な音楽との出会いを楽しみましょう。

*1:特に昔は

*2:その友人にはその後も月1で手伝ってもらいました。自分と得意ジャンルが異なってたから、お届け出来る音楽の幅が広がり、一層面白くなったんじゃないかと

*3:バンドをゲストに呼んで、ナマの声を届けたりとか

*4:7年ちょいで400回以上放送したし