2/15 "Other Music #30"@新大久保Earthdom / Kirihito / Suspiria / younGSounds / CHICOHIGE & 灰野敬二

 2/15はEarthdomに行ってきまして。
 新宿で所用があったので、ちと早めに家を出まして、ゆらり揺られて新宿着。まず向かった先は、ヨドバシのゲーム館。前日発売になったキミキスの廉価版を買おうってな寸法。ところが、特典DVD-ROMが既に品切れており、ソフト本体のみの販売だったため、半べそをかきながら店を飛び出し、ソフマップに駆け込む。幸い、ソフマップには潤沢に特典DVD-ROMが残っていたため、えびす顔で購入。その足で2Fに赴き、以下の2タイトルを予約。

超昂閃忍ハルカ

超昂閃忍ハルカ

 発売日が両タイトルとも2/29なので、苦肉祭に行くついでに店頭で受け取ろうってな魂胆でございますよ。恋愛要素の強いエロゲって、えてしてエロシーンがなおざりで不要と思えるケースが大半なので、基本的にコンシューマーに移殖されたverをたしなみたいお年頃なのですが、TH2はちゃんとエロシーンがエロかったので、オーダーした次第。一方のハルカは、素晴らしくエロかった
超昂天使 エスカレイヤー 廉価版

超昂天使 エスカレイヤー 廉価版

の流れを汲むタイトルらしいので、そりゃあ買うしかないだろう、と。ちなみに、なんでソフマップで予約したのかというと、この抱き枕カバーが欲しかったからです。ワタクシは欲望に忠実な男。
 無事に目的を達成したので、開店したばっかの豚珍館で早めの夕食を摂り、腹ごなしも兼ねてゆるゆるとEarthdomまで徒歩にて移動。結局ちと早く着きすぎちゃったけど、ご無沙汰してた方々と会えたりしたので退屈せずに待てまして、無事開演を迎える。
 トップはKirihito。最後に観たのは90年代半ば頃だったので、どんな進化を遂げてるのか全く知らなかったんですが、予想を上回る進化を遂げててビックリ。基本編成はスタンディング・ドラム & G/vox/synってカンジで変わってなかったんですが、ドラムにシンセパッドを使用*1してたのが目新しい。ただ、途中のMCでシンセパッドの使用は怪我の影響による一時的な措置的なコトを仰ってました。
 そんなシンセパッドから放たれたビートで幕開け。のっけから極太でロッキンなんだけどやたらダンサブルなビートが炸裂したので面食らう。そんなビートをバックに、めがっさソリッドなんだけどきっちりと芯のある素敵な音色のギター・リフが切り込んでくるという衝撃のイントロを喰らった瞬間、無条件で全面降伏。思わず笑っちゃうぐらいのカッコ良さに濡れた。以前はもうちょっと実験的で混沌としたサウンドだったんだけど、よもやこんな方向に進化していようとは。
 最初はスティックを使ってパッドを叩いてたコブさんですが、途中からは手にチェンジ。巨体を揺らしながらパッドを小刻みに連打してるんですが、そのビートのダイナミズムたるや筆舌に尽くし難し。使う人が使えば、シンセパッドでも生ドラムばりの躍動感を醸し出せるんだなぁ・・・と、ちと感動。一方、Gのタケヒサさんはグルーヴィなリズムに時に寄り添い、時に従えつつ奔放なギター・ワークや緩急自在な歌を披露しつつ、足元ではシンセやエフェクター類を巧みに操りまくる*2という離れ技も魅せつけてくれたりして、唖然呆然。なんで長いことこのバンドを観たり聴いたりしようとしてこなかったのか・・・。素晴らしい音に打ち震えつつも、忸怩たる思いに苛まれてみたり。とりあえず、音源を地道に揃えるトコから始めよう。

 二番手はSuspiria。前回観たのがダモ鈴木 with Suspiria@eM SEVENだったのですが、この時のステージが素晴らしいまでに壮絶だったため、それ以降何度かSuspiriaを観る機会はあったのですが、敢えて我慢し続けて今に至るという独り焦らしプレイを絶賛敢行中だったのですが、Motsさんが加入して5人組になってからは観たコト無かったんで、そろそろ禁を破っても良い頃合かなー、と思ってたワケで。
 てなカンジで久々に観たSuspiriaでしたが、以前にも増して強烈でございました。指弾きと弓を使い分け、様々なトーンを奏でるコントラバスと、鋭利としか形容のしようのないキレキレなドラムとの強力かつしなやかなリズムは実に表情豊かで、艶やか。そんなリズム隊をバックに、キーボードとギターが時に明瞭な、またある時は幻想的かつ幽玄な旋律を紡ぎだす。かように頼もしき演奏陣を率いるヨシダさんは、さながら指揮者の如し。躍動しながら歌い、叫び、voxに専念する瞬間もあれば、メンバーの一挙手一投足に神経を集中させ、サウンドの流れを導くこともあったりして、観てる側からすればヨシダさんの動向から片時たりとも目が離せないっつーか。ちゃんと楽曲単位で演奏してるんだけど、ライブを観終わると全1曲ってな印象を持っちゃうのよね。それだけ曲の並びや間なんかが計算されてるってコトなんじゃないかな、と。でも、頭でっかち感は皆無なのよね。それが素晴らしい。後から考えれば実に精緻な計算に基づいてると分かるんだけど、ライブの最中はそんなコトなど微塵も感じさせない躍動感溢るるステージングを叩きつけてくれるんで、したり顔で観なくて済む。ホント、凄いバンドです。次からは禁欲せずに観に行こうw。

 三番手が、ウワサのyounGSounds。まだライブを2回しかやってないバンドなんですが、なんせメンバーがメンバーなんで期待せざるをえないっつーか。voxがidea of a joke等のモリカワさん、GがKirihitoのタケヒサさん、BがGod's Guts等のタニグチさん、DsがTialaカキヌマさんサンプラー&voxがやけのはら、そしてキーボード&voxがイルリメというスーパーバンドを通り越して「・・・メンバー集めすぎじゃね?」とツッコミの一つも入れたくなるような構成ですんで、開演前は期待と不安が入り混じる複雑な心境。力量も個性も人一倍な曲者が揃ってるだけに、船頭多くして・・・ってなコトにならなきゃいいんだけど・・・と余計な心配をしちゃうのが凡人の悲しい性。ですが、そんな心配は当然杞憂に終わったワケで。蓋を開けてみたら、「最高」以外の形容が思い浮かばないほどの圧巻のステージを魅せつけてくれやがりまして。

 一聴して驚かされたのが、意外なまでにシンプルでポップだったこと。もうちょっとカオスなサウンドかと思ってたんですが、奇を衒った真似はせず、ド直球な王道スタイルで勝負してたので、面食らう。パンク・ロックを基調としつつも、そこにヒップホップやハードコア、ダンス・ミュージックのエッセンスなどをを織りこみ、それらを有機的に結びつけ、驚くほど軽やかにジャンルの壁を飛び越えて行く音は、個々のメンバーの実力と経験、そしてセンスに裏打ちされた賜物か。そんなサウンドの中核を為しているのは、タニグチさんのベース。サウンド・チェックで聴いた音だと、God's Gutsやidea of a jokeなんかの時と変わらぬトーンだったので、「younGSoundsの音に合うのかしら?」と一瞬疑念も浮かんだりしたのですが、これがもう全く違和感無く溶け込んでまして、感心しきり。いつものように素敵な笑顔を浮かべながらグイグイとドライブするベース・ラインでサウンドを牽引しており、貫禄を魅せつけてくれました。そんなタニグチさんとコンビを組むカキヌマさんのドラミングも、流石。Tialaでの鬼の形相とは違い、こちらも終始笑みを浮かべてのプレイだったのですが、以前も書いたようにカキヌマさんのリズム感ってロックよかヒッポホップのそれに近いので、younGSoundsのような躍動感溢るるサウンドとの相性は抜群で、心地よいビートを聴かせてくれました。
 ギターのタケヒサさんはサウンドの隠し味ってカンジで、随所に味わい深いフレーズを効かせつつも、時折差し込まれるHCなパートでは一転してノイジーで攻撃的なリフで切り込んできたりして存在感をアピール。ちなみに、Kirihitoの時とはエフェクターの構成をガラっと変えてきてたのも印象的。やけのはらは、サンプラーにネタを仕込んでいて、それを随所で炸裂させたり、マイク片手にラップしたりと縦横無尽に活躍。ネタのチョイスが意外と大ネタだったのが意外。イルリメは勿論ラップがメイン・・・と思わせつつ、結構シンセの前に鎮座ましましてる時間が長めだったりして、奔放っぷりをマスにアピール。そしてモリカワさんは、いつもどおり。軽やかなステップを踏みながらソウルフルな歌声を披露。声も動きも表情も、その全てが味わい深いという稀有な存在感は、このスーパー・バンドの中にあっても健在。
 楽曲は、前述したように様々なエッセンスが込められているのですが、所謂ミクスチャーとは一線を画しており、さながら音のグラデーションの如し。最初から全ての要素を混ぜるのではなく、徐々に色んなエッセンスが織り込まれていき、気がつけば別の色へと変貌を遂げているかのようなテイスト。ハードコア然としたアグレッシヴな曲もあれば、サンプリング主体のヒップホップ的な曲もあり、さらにはオーセンティックな8ビートのパンク・ロック・マナーな曲ありってなカンジなんだけど、どれも一筋縄ではないyounGSounds色に染め上げられてるってな寸法。ただメンバーが豪華ってだけじゃなくて、このメンツでなければ表現出来ないであろう音を出せてるってトコが驚異的。現状でもメンバー間のリレーションに不安も不満も無いけれど、これで回数を重ねていった日には、何処まで行ってしまうのでしょうか・・・。末恐ろしいったらありゃしない。可能な限り観逃したくないバンドが増える喜びは、何物にも代えがたいものがあるなぁ・・・善哉善哉。
 なんだかんだで終演は22時過ぎ、Earthdomを出たのは23時前だったので、観に来てたyki君と駅で別れ、帰路に着いたのでした。

*1:Rolandハンドソニックとかいうヤツ

*2:シンセのスイッチングなんかも足でやってるのが凄かったw