11/25 "Set You Free 10th Anniversary Tour Vol.210 〜Snatcher復活LIVE!〜"@中野Moon Step / Day Break / No Reason / The Sea of Time / One Way Down / Navel / Snatcher

 日曜は中野でSnatcherの復活ライブを観てきましたよ。
 午前中からぼちぼち家で仕事をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまいまして、気がつけば15時半前。慌てて支度を整え、家を出る。一回こっきり*1の復活ライブっつーコトなので、気合を入れてパーカーの上からDag NastyのTシャツ*2を着込むという80'sUSHCスタイルで家を飛び出したのですが、何故か片手には「Comic Market 71」の文字も眩いキュートなデザインの紙袋が握られてたワケで。
 この紙袋には、諸般の事情により魔人が我が家に置いていかざるをえなかった荷物*3が詰め込まれておったのです。当時の魔人曰く「これを持って新幹線で帰るのはいろんな意味でキツいので、別の機会に上京した際に持って帰ります」とのコト。で、今回「別の機会」で上京したので、お持ち帰っていただこう、と。駄菓子菓子、ワタクシ、ふと気がついてしまいまして。魔人は中野に直接向かうワケで、いつものように我が家には寄らない。となると、ワタクシがこの猥褻物の詰まった紙袋を持って中野まで赴き、手渡さねばならぬ、と。 な ん と い う 罰 ゲ ー ム 。生憎、件の紙袋以外に適当なサイズの紙袋が見当たらなかったので、意を決して前述した紙袋片手に出かけた次第。
 新宿辺りまで出てしまえば人の多さ故目立ちにくくなりますが、問題は新宿に至るまでの道のり。駅までのルートは、若干遠回りになるものの人出の少ないルートをチョイス。近道となる駅前のビル内を抜けるルートも回避して、なんとか駅に到達。そのまま、やはり乗客の少ない鈍行に乗り込み、ほっと一息。あとは電車に揺られてるだけで新宿まで着くってな寸法。安心してシートに深く腰掛け、ふと足元に置いた紙袋に目をやった瞬間、血の気が引く。なんと紙袋のくちが「くぱぁ」と開いており、内部に鎮座ましましている卑猥なポスターのイラストが丸見えになってまして。慌てて開いていた足を閉じ、以降新宿までずっと内股姿勢を維持。ピザで坊主でヒゲでメガネのホモと揶揄されようと、この足を開くわけにはいかねぇ。
 ムダな心労に喘ぎつつもなんとか新宿まで辿り着きまして、わき目も振らず逃げるように中野へ。そこで魔人と連絡を取り、ブロードウェイ内で合流*4。本来ならそのままブロードウェイ内を散策するトコですが、時刻は既に17時を回っており開場時間間近*5だったので、夕食を優先。近場のステーキ屋で肉を頬張りながら近況やら年末の予定などについて語らう。意外とエロス話に流れないのが面白いw。
 食後、ブロードウェイ内で別行動してた面々と一旦合流し、荷物だけ受け渡してからワタクシと魔人は徒歩にてMoon Stepへ。所用を抱えてる魔人と一旦別れ、ワタクシは前売りチケットを預かっているN2さんの到着を外で待つ。その間、何故か九州在住のmzさんや、この手の企画では珍しいnmさんやyyさんなんかに遭遇しつつ、程なくして無事N2さんと邂逅。チケットを渡し、談笑しつつ中へ。結局、ライブは 15分押しで18時15分頃スタートしまして。
 トップは、Day Break。地味なれど適度にポップなテイストを内包した楽曲は正しくUKメロディックの影響下にあるのですが、そんな楽曲をジャイアニズム溢るる俺様voxで粉砕するという独特の自滅スタイルが持ち味。この日もそんな独特の個性は如何なく発揮されまして、フロアのDay Breakマニア*6たちは狂喜乱舞。サークル・モッシュやダイブまで飛び出す狂乱の宴が繰り広げられましたよ。なんだかんだで楽曲は悪くないんで、普通に歌う、或いは歌えるvoxを入れるだけで真っ当な評価を得られるようになると思うのですが、それをやる気なら遠の昔にやってるだろうから、もはや何も言うまい。つーか、慣れればジャイアン・ライクなvoxも味に思えてくるしねw。
 3番手は、The Sea of Time。女性vox&G、G、B、Dsの4人組。全然知らないバンドだったんですが、それもそのはず、この日が初ライブだとか*7。様子見気分で泰然と構えてたところ、シューゲイザー一歩手前の柔らかいギター・ノイズを基調とした素敵なギター・ロック・サウンドが飛び出してきたので、面くらいつつも一気に惹きこまれる。機材とかからある程度予想出来たサウンドの方向性でしたが、予想を遥かに上回る楽曲の完成度の高さに唖然呆然。3曲目からはベースの音量が上がり、サウンドの完成度の高さは益々上がりまして、蕩けるようなサウンドを堪能。ミッド・テンポのシューゲイズ風なテイストや、ちょっとDC周辺を思わせる凝った展開、果ては疾走感のあるナンバーなんかも飛び出す楽曲の幅広さ*8は、かなりのレベル。
 そんな楽曲を奏でるバンドの力量もなかなか。サウンドの中核を為すギターは言わずもがな、伸びやかに、そして楽しげに歌うvoxや、地味にうねってサウンドを彩るベース、過不足無いドラムの妙も効いており、バンドとしてのトータル・バランスも申し分なし。いくらベテラン組*9とはいえ、初ライブでこのクオリティは凄すぎ。次回ライブは未定らしいけど、絶対また観たいバンドです。本当に素晴らしかった。ちなみに、当日あっさりと完売してしまったデモCD-Rも頗る出来の良さですんで、見かけたら是非。Baseに卸すそうです。

 4番手は登戸のApplecoreバンドw、One Way Down。久しぶりに観ましたが、なんも変わってませんでした。哀愁のメロディをつんのめるような勢いでぶっ放すスタイルが身上で、ギリギリの疾走感が心地よいのです。この日はベースの人がかなり酔ってたので、時折ギリギリセーフならぬアウトになる瞬間も散見しましたがw、それもまた好し。相変わらず死にそうなテンションで力の限り叩きまくるドラムや、メンバー中唯一プレイ中に理性を感じさせるvox&Gの方の佇まいも健在で、そこいらに掃いて捨てるほどいるティピカルなUKメロディック系バンドとは一線も二線も画す存在感*10を見せつけてくれました。ちと長くやりすぎて若干gdgdになっちゃったのはご愛嬌。

 5番手はNavel。この週末は新潟、仙台とツアーで回っており、ここ東京が今回のツアーを締め括る地だったり。Navelを観るのは春以来だし、事前に初期の楽曲中心のセットにするという話を聞いてたので期待していたところ、なんとのっけから大好きな"Closed Man"のリフが鳴り響き、俄然テンションが・・・ッ!と思った次の瞬間、明らかに抑え気味なイトウさんのドラムが鳴り響いたので、

             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
             / /" `ヽ ヽ  \
         //, '/     ヽハ  、 ヽ
         〃 {_{       リ| l.│ i|  に
         レ!小lノ    `ヽ 从 |、i|  ょ
          ヽ|l 】     】  | .|ノ│  ろ
            |ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃j  | , |.  l
          | /⌒l,、 __, イァト |/ |  ん
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          | |  l ヾ∨:::/ ヒ::::彡, |

 しかも、抑えを効かせすぎて明らかに原曲よかピッチが落ちてしまっており、どうにも消化不良。大好きな曲とはいえ、この演奏ではしゃぐコトは出来ず、静観。だが、続く"Chaos Mind"の後半辺りからドラミングに明らかにエンジンがかかりだしたので、思わずにんまり。以降は文句なしの素晴らしい演奏を披露。とみさんの vox&Gの艶やかさは勿論のこと、ベースのトハタさんの成長っつーかバンドへの馴染みっぷりに目を見張る。春に観た時は、まだ間違えずに弾くことに意識がいってしまってた印象でしたが、今回は落ち着き払ったプレイを披露してくれまして、それが音にも反映されてたような。なんつーか、ようやく今の編成で落ち着くところに落ち着いたのかなぁ、と。
 そんな感慨に耽りながら観てるうちに、新曲の東京で初お披露目。Navel節が炸裂するミッドなナンバーも秀逸でしたが、ウワサに聞いていたファスト・チューンのキラーっぷりに愕然、一回聴いただけで覚えちゃえるくらいキャッチーなシンガロング・パートを織り込みつつも激しく展開しながら疾走し、あっという間*11に駆け抜けるこの新曲は、正式にリリースされたら新たなライブの定番チューンとなるのではないかと。とみさんの作曲能力に乾杯。終盤は"Viewpoint"〜"ATF"〜"No Change"〜"Smile"〜"Hate"という昇天必至なコンボで畳み掛けてフィニッシュ。現役バンドの矜持を見せ付けてくれやがりましたよ。文句無しにこの日最高のステージでございました。


 で、トリのSnatcher。金曜のライブでは図らずも「現在」のメンバーの嗜好が反映されたかのようなファストでドライブ感溢るる演奏を披露してくれまして、整合性云々といった問題点はあれどもSnatcherとしての新たな可能性の萌芽が感じられたので、この日どんな音を聴かせてくれるのか楽しみにしていたんですが、ド頭の"Last Yell , First Cry"を聴いた瞬間、全てを悟りまして。そこで聴けた音は、金曜とは比べ物にならないくらい安定した、往年のSnatcherサウンド。音源を基調とし、殆どアレンジらしいアレンジも加えないサウンドは、7年ぶりとは思えぬクオリティ。でも、そのサウンドからは金曜に感じられた「バンドの未来」は感じ取れませんでした。
 つまり、メンバーの面々はSnatcherとしての未来図は描かず、過去を丹念になぞり、それを再現することに限られた時間を費やしたワケで、それは即ちバンドの明日を封印するという暗喩なのではなかろうか、と。それを知ってか知らずか、フロアは予想以上に静かにバンドの演奏に耳を傾けていました。この瞬間を逃すまいと慈しむように。
 とは言え、別に湿っぽい空気など微塵も無く、ラスト・ライブは和気藹々と進行していき、お約束のアンコールなども経て、つつがなく終了。多分、もう二度とSnatcherを観る機会には恵まれないと思うけど、この真夏の夜の夢ならぬ初冬の夜の夢を幸いにも目の当たりに出来たので、未練は無いです。多少なりともSnatcherを聴いたコトがある人なら、誰もが期待を裏切られることのない、素晴らしいラスト・ライブだったと思います。お疲れ様でした。



 終演後は[N2さんやhtさん、魔人らと談笑した後、晩飯を食いに行った若人らと合流してから帰路に着きました。抜群に楽しかったものの、一抹のほろ苦さを禁じえない、なんともemoい週末を堪能した次第。

*1:厳密には二回なんだけどさw

*2:15〜6年前に購入したブツ

*3:90%以上が猥褻物

*4:まんだらけの同人館前で待ち合わせw

*5:開場17時半開演18時

*6:9割以上はバンド関係者。愛されてるなぁw

*7:でも、結成は1 年以上前だそうで

*8:勿論、漠然と多彩というワケではなく、どの楽曲にもThe Sea of Timeらしさは感じられます。念のため

*9:ex.Pigeon、Kill Me Like A Rockstar、Make Wonder

*10:良くも悪くもw

*11:音源だと90秒だそうで