10/29 "苦肉祭46〜不毛地帯で二毛作〜"@中野ハルコロホール

 19時に開場となったので入場すると、フロアの椅子の配置は前回同様中央通路を挟んで2列ずつの並びのままで、フロアのスカスカ感は否めず。別に通路を駆使したネタが展開されるワケでもないし、芸人サイドから「目の前に客がいなくてやりにくい」的な発言なんかも飛び出すくらいだから総じて不評だと思うんだけど・・・はてさて。椅子の確保が難しいとか予算削減とか、何がしか理由があるんでしょうが、可能なら改善を求めたいトコロ。
 それはさておき、月曜にも関わらず開演時間の19時半前には全席埋まるくらいに人が集まりまして、その好事家の多さに感心してるうちに開演。序盤で輝きを放ってたのは、うかれ小島。今回もネタは2本立てだったのですが、どちらも強烈。最初のネタは客を催眠術にかけて、あるあるネタのコール &レスポンスを強要するってな趣向だったのですが、幸か不幸か客サイドが一切そのフリに乗ってこなかったので、当然のようにダダすべり。が、もとよりそれを見越していたのか、うかれ小島は自嘲めいて笑みを浮かべながらネタ〜ブリッジというシークエンスを継続。その際、いちいちネタの意味を独り言風味にボソボソと呟くのが妙に面白くて、基本引いてる客を尻目にワタクシを含めた一部好事家のハートを鷲掴み。
 続くネタは「詩の朗読」シリーズ*1。以前は、詩を朗読しながら、その詩が書かれたスケブを舐め回すという強烈な奇行っぷりを披露したらしいのですが、今回は別の展開が待っていまして。某みつをとかいう人の詩を見ながら「これを見てると興奮してくる」的な発言をしたかと思いきや、やにわに股間に手を突っ込んでナニを扱きだすという想像の遥か斜め上をいく展開を披露。さらに、フロアに設置されている長机に横たわり、客にケツを向けながら某みつを*2の顔をコラージュした水着ギャルの肢体をオカズに扱き続けるという暴挙を繰り広げ、フロアは一気に沸点を迎えまして。まさにド変態極まれり。素晴らしい。chu×3チューブの愛知万太郎と共に、アングラ芸人の中で気になる存在です。もっと観たいなぁ。

 他には、久々に拝んだ見た目が邦彦のピンネタがアヴァンギャルドすぎて噴いた。Caroliner Rainbowも真っ青な虚脱した激lo-fiな自作の曲*3にネタという名の歌詞を載せ、延々同一メロディを反復させながら歌い踊るだけという暗黒舞踏もかくやってなカンジの壮絶さ。そして、唖然とするフロアの反応を尻目に、最後は志村けんよろしく股間の白鳥を披露して去っていきました。難易度が高いにも程がある。

 ヘブリスギョン岩月は、珍しく長時間登場。相も変らぬ落ち着きのないトークを展開した後、客にトークのお題の書かれた紙をひかせ、そのお題に沿ったトークを披露していくってなカンジのちと珍しい手法を取ったのですが、10人近くに紙をひかせた挙句、残る紙も自分で開いて全ネタを消化させるという荒業を披露。間違いなく面白いんだけど、基本的に話に整合性が無いから長時間ネタをやられるとトリップしますな。終演後、ネタで使っていた使用期限が切れたレアなコンドームを入り口付近で配ってたので、勿論頂戴した次第w。

 後半戦は、相も変らぬブチ切れテンションで歌って暴れた大本営八俵や、イタコにG馬場が憑依した体のネタで、いつにも増してボソボソ声で危険なネタを撒き散らした殿方充も素晴らしかったんですが、サプライズで登場したマキタスポーツが秀逸すぎで最高でした。マキタスポーツといえば漫才バカ一代のEDで、短時間なれど切れ味鋭い観察眼と歌心溢るるポップな楽曲を披露してるのは何度も拝んでるとはいえ、ちゃんとしたネタを観るのは初めてだったので興味津々だったのですが、いやもう想像を上回る「芸」を拝ませていただきましたよ。
 特筆すべきは、モノマネや替え歌ではない「楽曲模写」とも言うべき芸。アーティストの楽曲や歌詞の傾向を分析し、それをマキタスポーツ流に味付けして、「限りなく本人っぽい」テイストの楽曲に仕立て、歌い上げるってな寸法。毒とユーモアで彩りつつも正鵠を射た分析を、抑えを効かせた巧みな話芸で淡々と説く様は味わい深く、その末に紡がれる楽曲も、アーティスト特有の節回しや演奏のクセ等をきっちり踏まえつつ、きっちりと「笑い」へと昇華させており、「芸」と呼ぶに相応しい完成度を誇っていました。ここまでレベルが高いとは思わなかったので、ビックリ。他の芸人との差異も甚だしくて違和感ありまくりだったのも面白かった(笑。その違和感を分かりやすく例えるなら、Atom & His PackageJud Jud、Vilently Illなんかが出てる企画にTragedyが出ちゃったカンジっつーか、愚直屋イケメンZ酸欠集とかが参加してるオンリー・イベントにCut A Dash!!も参加してたカンジっつーかw。

 ともあれ、久しぶりに「芸」の凄みをまざまざと目の当たりに出来まして、実に満ち足りたひと時を堪能させていただいた次第。

忘れてたw

 今回の画像はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/pig-m/e/2e5b802b2cb312a2a608ea17dab4f257

*1:正式なタイトルじゃないです。念のため

*2:と思しき

*3:というか1フレーズ