7/18 "Bring Out Your Dead"@初台WALL / X Trash / Without System / illya / Bring Arrow / Bugzarts

  昨日は、友人らが集ってるバンド、illyaのライブを観にwallに入って来まして。
 京王線に揺られながら初台で下車・・・するはずもなく、新線の新宿駅から「とら」に直行し、ハヤテの限定版やら乙ひよりの単行本やらをきっちり買い込み、精神の安寧を取り戻した後、ゆるゆるとwallまで徒歩にて移動。18時ちょい前にwallに辿り着くもillyaの面々が見当たらなかったので、開場と共にフロアに入ってみたものの、やはり姿は見当たらず。一瞬外で待ってみようかとも思いましたが、フロア内の心地よい冷房の魅力に抗えるはずもなく、フロアの片隅で妄想に耽りながら時間を潰してみたり。
 そうこうしてる間に、ライブ開幕。件のillyaは3番手に登場。ジャム・セッション的なインストから入り、そこから加速してジャップコアな展開に雪崩込むという流れには意表を突かれた。とは言え、1曲目に関しては「手堅い」という印象が先に立ち、まぁ様子見モード。1曲目終了後も、区切りをつけずにそのままインスト・パートへ以降するという手法を選択してきまして、バンド側の明確な意思をそこに感じ取る。アイディア自体は、この手のサウンドとしては珍しい手法だと思うし、実際聴いてて面白いので大正解だと思うんだけど、たまにインスト・パートで聴けるフレーズとかがillyaの楽曲と乖離し過ぎて、ちと浮いてしまったりしてたのは気になった。そういった趣味的なフレーズをきっちり咀嚼し、illya的に再解釈出来るようになってくると格段に面白さが増してくると思うので、奮起を促したいトコロ。
 ちと脱線しましたが、そんなインスト・パートから2曲目に雪崩込んだところでようやくバンド全体のエンジンがかかる。まず、如実に変わったのが192さんのドラミング。それまでは可も無し不可も無しなドラミングだったんだけど、いきなり烈火の如き熱いドラミングを繰り広げ始め、俄然盛り上がる。でも、それが全編に渡って維持できないっていうのは、マイナス。通常のプレイも悪いわけではないんだけど、もっとやれるコなんだから頑張りましょうw。
 Bは、ちょっと歯切れが悪かったような。それがプレイに起因するのか音作りに起因するのかは判別がつかない。typhusさんのvoxやelectricさんのGはザラついた同系統のトーンなので、現状ではそれに合わせた音作りをしてるっぽいんだけど、仮に今回の音色がイメージどおりの音だったとしても、まだまだ試行錯誤の余地があるように思えます。
 electricさんのGは、この手のサウンドにしては珍しくファズを使用してるのがポイントで、ジャップコアをベースにしたサウンドを展開してるにも関わらず、ファズ特有の乾いた殺伐としたトーンがサウンドを支配しているので、攻撃性が増す仕上がりとなっております。electricさんのプレイ・スタイルも叙情性を前面に押し出すそれではないので、この音作りによるマイナス要因は殆ど無いから大正解。この組み合わせを導入してる時点で、illyaの個性の礎も確立されていると言っても過言ではないかと。この音作りの妙は、かなり興味深いものがあります。

 voxのtyphusさんは、マイクにリヴァーブをかけているので、かなり絶叫がharsh風味になっておりまして、それがファズを効かせたGサウンドと絡みあうことにより、独特の焦燥感を醸し出しております。声もよく出てるし、フロントマンとしての存在感もあるしで、上々。ただ、良くも悪くもvoxが一本調子なので、もうちょっと曲数が増えてくると、現状のスタイルのままではちと厳しくなってくるかも。とは言え、「これしか出来ない」んじゃなくて「敢えてこうしてる」と思うから、杞憂に過ぎないとは思うんだけどね。

 まだ若干ライブ慣れしてない感があったり、バンド全体での「うねり」のようなものが持続出来なかったりといった経験不測も否めませんが、そういう「時」が解決する問題以外には大きな問題は見当たらず、むしろ「伸びしろ」の多さが散見出来た、将来性を感じさせるライブでございましたよ。順調に場数を踏んでいくだけで、結構凄いことになりそうな予感。
 予想以上のステージングで大いに楽しませてくれたillyaでしたが、トリに控えしバンドのせいで、ちょっと印象が薄くなってしまいました(笑。そのバンドは、bugsarts。今年の3月に対バンした時に観たのですが、その時には熱いジャップコア・サウンドで大いに楽しませてくれたので今回も期待していたのですが、良い意味で予想を裏切るライブを披露してくれました。
 まず、何がビックリってvoxの方が良いカンジに出来上がってしまってて、妙に陽気だったコトw。3月とは別人のようなノリに面くらいまくり。スタート前から空回りまくりなテンションでフロアを煽りまくってまして、微妙に苦笑い風味なカンジで眺めていたのですが、その執拗なまでの煽りに知らず知らずのうちに惹かれ始めてしまいまして、スタートと同時に持っていかれる。ご陽気なノリとは裏腹に、いざ始まってしまうと、以前観たとき以上のテンションで叫ぶように歌いながら隙あらば煽りまくるという恐るべき豪腕っぷりを見せつけてくれまして、もう根こそぎでございますよ。

 そんな暴走しまくるvoxを楽器隊がきっちりフォロー。テンション高く、しかしドライブ感満点かつ隙の無いタイトさでvoxと拮抗。そんなバンドが叩き出す楽曲の数々は、まさに「ジャパニーズ・ハードコア・パンク」以外の何物でもないワケで。基本はジャップコア・マナーに則っているのですが、ナチュラルにキャッチーでシンガロングしたくなるようなコーラスが織り込まれてたり、ちょっとVan Halenとかを思い起こさせるようなフレーズがリフに隠し味のように忍ばせてあったり、思わずサークル・モッシュしたくなるような展開もあったりってな具合に、一々琴線に触れまくるようなテイストが満載。それでいて、ご陽気なノリもきっちり保っているんだから、最高にも程があります。「明るく楽しく激しい」という往年の全日本の精神がここにも継承されてました(違。


 ワタクシも終始満面の笑みを浮かべながら歌い踊りましたよ。いやもうホント最高。全然ジャンルは違うけど、この楽しさは、初来日&二度目の来日時のsnuffのライブとかに通ずるものがあるよ。あの屈託無く楽しめた感覚をもう一度味わいたい方は、是非w。
 平日にも関わらず、実に楽しいひと時を満喫した次第。