数年前に町田の丸井内のゲーム・ショップの閉店セールで購入したまま積みっぱなしになってた「アルゴスの戦士」をプレイしまして。

アルゴスの戦士

アルゴスの戦士

 アーケードの往年の名作「アルゴスの戦士」をモチーフとした3Dアクション・ゲームなのですが、あまり評判は芳しくなく、それを裏付けるかのように中古価格も数百円台という体たらくだったので、そのクソゲーっぷりに黒い期待を膨らませながらプレイしてみたのですが・・・意外と普通。
 とりあえず、操作性に問題が無い時点でアクション・ゲームとしては及第点をあげても良いんじゃないでしょうか。それすらままならないゲームなんて掃いて捨てるほどあるんだし。飛んだり跳ねたりするピョンゲーの要素も内包されてるんですが、そこには余り重きをおいてないようで、ジャンプ中の空中制御を楽しむような感覚は無し。そういう意味では「魔剣X」とかに近い感覚。
 その代わり、このゲームでは「ディスカーマー」という独自のアイテムを駆使することにより、様々なアクションが出来るようになってます。このアイテムは攻防兼ね備えたゲーム中唯一の武装でして、まぁ分かりやすく言うと超電磁ヨーヨー風味っつーか(笑。巨大なヨーヨー風味なアイテムをぶん回して攻撃したり、それを盾代わりに使ったり、はたまたそれをフック代わりに引っ掛けて地形を移動したりと、まさに八面六臂の大活躍。
 ただし、この汎用性の高さは初手から発揮されるワケではなく、徐々に用途が追加されていくという仕様になってまして、それがこのゲームの最大の敗因かと。
 初手から「あれも出来るこれも出来る!」という自由度の高さを謳歌出来るようなシステムだと、その汎用性の高さ故にとっつきが悪くなる危険性があるとは思いますが、それを考慮したとしても、全6面しかないのに、それの終盤でようやく全てのアクション動作を使えるようになるっていうのは、如何なものかと。
 しかも、そのアクション動作自体も使用シチュエーションが限定されており、基本的に創意工夫のしようがないという・・・。わりと致命的なのが移動に関するアクションで、そこいらの崖とか木とかにフックを引っ掛け道無き道を踏破する、なんて洒落た使い方は出来ず、フックを引っ掛けられるのは、そのアクションに応じたマーカーが光ってるトコだけなのねん・・・。故に、フック移動出来る箇所もルートも限定されており、ただ単にタイミングを間違えないようにボタンを押していく以外の楽しみが全く無いという、ときめかないにも程がある仕様。てっきり、「トップシークレット」〜「海腹川背」ラインのアクション性を3Dに持ち込んだとばかり思っていたので、この体たらくには泣けた。
 基本的に新たなアクションを学習する=そのアクションが無いと先に進めない、という仕様になってるのですが、全6面しかないのにアクションを小出しにしていく意味がよく分からない。「新たなアクションを覚えないと進めない」というコトは、そのステージで新たに覚えたアクションを使う頻度が高まるというコトなので、そうやってステージ毎に色づけをしてるんでしょうが、プレイした実感としては、それはあんま成功してない気が。特にアクション難度が高い仕掛けとかも無いし。それよか、序盤から全てのアクションを駆使するステージ構成にしてアクションの習熟度を上げさせ、高次面でアクションの難易度を上げていったほうが歯応えが出たんじゃないかしら。
 アクション性のもう一つの側面である戦闘についてですが、これまた微妙。主人公の武器は前述したように「ディスカーマー」という武器一種類なのですが、直線攻撃、広範攻撃、近接攻撃の3通りのヴァリエーションがありまして*1それなりに多彩な攻撃が楽しめます。これで移動とかにも特性があれば最高なのですが、無論、そんなコトは望むべくもなく。が、そんな武器のヴァリエーションを活かす機会は、それほど多くないのが実情だったり。なんせ道中の敵の種類が少ないし、どんな種類でも適当にぶん回してればなんとでもなってしまので、個別の攻略法など編み出す余地が無いっつーか。良く言えば全て使えるし、悪く言えば特性を設ける必然性は無いとも言えます*2
 でも、ボス戦は結構楽しめます。ちゃんと攻略法を練らないと勝てないし。ここでようやく多少なりとも歯応えが出てくるというかw。別段理不尽な仕掛けも無いし、ボス戦だけなら良いバランスなんじゃないかしら。ちなみに、ボス戦全般に通ずる攻略の鍵は、スライディングだったり。スライディングは攻防移動と全てにおいて使えるので、習熟度を上げておくが吉。自在に動かせるようになると楽しいです。
 このゲーム、基本的なアイディアは秀逸だったんだけど、それを活かしきれなかったのが悔やまれますな。マニアックなシステムをマイルドに調整しようとして、過度にエッジを削り過ぎてしまい、結果的にライトユーザーにとってもマニアにとっても中途半端な仕上がりになってしまったのではないかと。なんつーか、総じて煮え切らないっつーか。
 とは言え、けして「クソゲー」ではなく普通に楽しめる仕上がりではあるので、アクション・ゲームが好きで販売価格が数百円程度だったなら、十分買いなんじゃないかと。ちなみにワタクシの場合、難易度normalで5時間ちょっとのプレイ時間でした。

*1:これも順次入手しいくシステム

*2:まぁシナリオの都合上は3種類必要なんですが