10/21 "I'll Shoot The Icons vol.10"@国立LEVEL-3 STUDIO / ENCROACHED / UNARM / GORDON IVY & THE JAYBIRDS / NOMARES / ASPIRIN / SHORT FUSE

 前日、Dさんから「国立で行われるスタジオライブにご一緒しませんか?」とのお誘いを受けまして。元より行くつもりだったので、二つ返事で了承。車でウチまで迎えに来てくださるとのコトでしたので、それならってんで、ちと早く来ていただき、ウチでまったりしてから行きましょうっつーコトになりまして。
 明けて翌日。昼過ぎにDさんが到着し、あれこれ音楽を聴いたり、ステキwな本とかを読んだりしながら談笑。ちなみに、会話の内容とか読んでた本のタイトルとかはヒミツw。15時頃までダラダラしてから、ちと早いですが国立に向けて移動開始。道中、道すがらのハードオフとかに寄り道しつつも、無事に国立に到着。ワタクシもDさんもLEVEL-3には行ったコトが無かったので、場所の確認や駐車場の有無の確認がてら、とりあえずLEVEL-3に行ってみるコトに。ところが、LEVEL-3の場所が碁盤目状の住宅街の中だったり、前の通りが一通だったせいもあり、かなり到着までに手こずりまして、国立駅周辺を巡回しまくり。苦労の末なんとか辿り着くも、人影は無し。スタジオ前の駐車スペースに空きはあったものの、機材持込のバンドが停める可能性も考えられたので、彷徨ってる最中に発見したコインパーキングに車を停め、開場時間頃まで適当に時間を潰しまして、18時過ぎに再度LEVEL-3に舞い戻る。
 微妙にくたびれたスタジオ内をうろつき、なんとか会場となるフロアを発見。Dさんと一緒にバンドをやってるYGさんやENCROACHEDの面々に挨拶し、スタジオ内に移動し、トップのENCROACHEDを待つ。この日のENCROACHEDは、序盤、voxのマエダさんがちとテンション低め。そんな己に苛立つかのように、若干いつもよかジャンプしたりするアクションが多めで、無理からテンションを搾り出そうとしてる様にも見えたり。そんな甲斐あってか、数曲後にはいつものテンションに戻り、以降は安定したパフォーマンスを披露。途中、Dsのハセガワさんがスティックを落としまくったりするハプニングもありましたが、総じてまずまずのステージング。でも、ちょっと物足らなかったかな*1
 二番手は、UNARM。女性vox、G、B、Dsの4人組で、Bのヤギサワさんはヘルプで、本業はANYTHING OKやCOSMIC NEUROSEのBだったり。ステージ後方に飾られたバックドロップの「非暴力抵抗」という文字から察するに、ポリティカルなcrustの模様。しかしてその音は、そんなイメージどおりの音だったのですが、そのクオリティは予想を遥かに超えるもので、度肝を抜かれる。まず目立つのが、充実のリズム隊。高速なD-Beatをタイトかつパワフルに叩きまくり、安定しつつも躍動感溢るるDsと、事実上サウンドを牽引した、ドライブ感満点でうねりまくるB。Gは、典型的なcrustらしく、蝉の鳴き声のようなトーンでノイズを撒き散らしつつも、要所要所で印象的なフレーズなんかも織り込んできて、単なる雑音に止まらな懐の深さを垣間見せる。そんなバックを従え、良い意味で性別を感じさせない、力強く気迫満点なvoxが乗るサウンドは、ベタな例えですが、DISRUPT〜STATE OF FEAR辺りのUS Crustを彷彿とさせる、抜群のクオリティ。
 ファストコア一歩手前な速度まで加速する楽曲を矢継ぎ早に畳み掛けてくる構成も素晴らしく、まさに「怒濤」としか言いようの無い圧巻のステージを見せつけてくれました。最近観たり聴いたりしたcrust系の中では、群を抜いて素晴らしかったですねー。ベースがティピカルなcrustの音色やスタイルでは無かったのが、好印象。ガチなクラスティーズの方々にどう聴こえたのかが、ちと気になります。
 終演後、ヤギサワさんにお話を伺ったところ、一応デモ音源はあるものの、現在とはメンバーが違うし*2、現在は演奏してない楽曲ばかりだそうなので*3、購入はスルー。つーか、現在の編成&楽曲で、早く音源をリリースしていただきたいですねー。
 続く3番手は、大阪からやってきたGORDON IVY & THE JAYBIRDSだったのですが、なんかスタートがちょっと遅れるとのコトだったので、一旦フロアを後にし、1Fのロビーでエンクロのモチヅキさんやz1さんと談笑してからフロアに舞い戻ると、すでにライブが再開していたという・・・。GORDON〜は、vox、G、G、B、Dsという編成。昨今のメロディック路線なYouth Crewリヴァイヴァル・バンドとは完全に一線を画した塩辛いストロングなUSHCスタイルで、かなり新鮮。バンド全体の音も、ノイジーなエッジを一切排し、意図的に角のとれた弾力性のある柔らかい音色で統一していて、細部にまで神経の行き届いた印象。voxのテンションもなかなか高く、楽曲もUP FRONTとかNATIONS ON FIRE辺りを思い起こさせるテイストが感じられて好みではあるのですが、如何せん演奏がかなり粗く、音源のような整合感は感じられませんでした。音色が端整というかノイジーじゃないので、ミスとかズレが目立ち易いという部分を差っ引いても、微妙。観ていた場所のせいもあるのでしょうが、片方のギターの音が他の音にかき消されて埋没してしまってたのも、その一因かも。演奏終了後、メンバーの方が忸怩たる思いを口にしてたのが印象的。まぁそんな時もあるさね。
 お次は、岐阜からの刺客NOMARES。vox&G、B、Dsのトリオで、メンバー全員日本に出稼ぎに来ているブラジル人という、存在自体がpunkとしか言いようの無い凄まじいバンドw。メンバーの一人はRATOS DE PORAOのTシャツ着用でごっついタトゥを入れてるといういかついルックスをしてまして、どんな凄い音を聴かせてくれるのか・・・と期待していたところ、ビックリするくらいスッカスカでシンプル極まりないRAMONES風味なパンク・ロック・サウンドが飛び出したので、思わずのけぞるw。これには意表を突かれましたが、ここまでド直球なパンク・ロックをライブで聴くのは久しぶりだったので、これはこれで・・・と思いきや、数秒聴いただけで違和感を覚える。こんなシンプルな音で何を疑問に思うことが・・・といぶかしんでいるうちに、否応無しに違和感の正体に気付かされまして。なんつーかアレだ。おっそろしく演奏がガッタガタなのですよ。
 ワタクシも、けして他人様の演奏のクオリティを四の五の言える立場ではないのですが、このガタガタっぷりにはツっこまざるをえないっつーかw。個別のパートでミス云々とかいうレベルではなく、3人揃っててんでバラバラなリズムで演奏しちゃうっていうのは、どうなのか、とw。しかも、ズレるのは最初だけで、徐々に演奏しながら修正されていき、最後は普通になってるという、ある意味器用なトコを披露。さすがに全編ガタガタというコトもなく、こなれてきた中盤以降はそれなりに安定していったのですが、そこで再度どデカ地雷が炸裂。ドラムだけ突然ファストなビートを叩き始めたのですが、バックのリフが全然普通の速度のままだったり。そういう曲なのか単にDsが先走っただけなのかの判別が出来ず、戸惑うw。
 てな具合に相当な脱臼サウンドを披露してくれてはいたのですが、その眼差しは実にまっすぐで、真剣に演奏してる気迫は充分伝わってきていたので、勢い彼らを見守るワタクシたちも慈しむ目で見守ってしまいまして、実にハート・ウォーミングな空気がフロアを支配していく。その空気感は、往年のSNUFF@常盤座に匹敵したとかしないとか。そんな空気に気を良くしたのか、彼らも片言の日本語で謝辞を述べつつ、ますますヒートアップ。終盤にはRATOS DE PORAOとOLHO SECOのカヴァーという反則技まで飛び出しまして、ついでにアンコールもキメて〆。日本人にはけして真似の出来ない、天然パワー炸裂の彼らが眩かったです。
 お次は、最近ウワサのASPIRIN。周囲での評価も高いので結構期待していたのですが、納得のクオリティでした。ちょっとGAUZEの影響を感じさせる、狂おしくも吐き捨てるように歌うvoxと、ノイジーな音色で中音域をフォローするベース*4はジャップコアのエッセンスたっぷり。そこにjun1さん*5の流麗でメロディアスなギターと、ケンさん*6のUSHCライクな硬い音色のタイトなドラムが交じり合うと、ASPIRINのオリジナルなサウンドが出来上がるってな寸法。
 基本的には直線的な楽曲が多いのですが、なにげに細かい味付けが楽曲毎に施されているので、飽きずに楽しめました。ただ、全体的に音がちょっとこじんまりとしてしまってた上に、jun1さんのギターの音色がかなり柔らかかったせいもあり、音響的にはちと物足らなさが残りましたね。個人的には、アンプ2台でギターを鳴らせても良かったかなぁ、とか思ったり。ともあれ、スタジオライブよかライブハウスが似合いそうなバンドだったので、次はそういうトコで観たいなぁ、と。
 トリは、SHORT FUSE。昨年HELLSHOCKのツアーの際に観た時には、セットリストの構成の問題などがあって、どうにも印象が薄かったのですが、この日は大爆発。以前よりもcrossover方面へとシフトさせたような印象で、ファストな曲とミッドな曲を良い塩梅で織り込みつつ、激しく鋭角的なサウンドを叩きつけてくれまして、否応無しにテンションが上がる。そんなサウンドにいち早く呼応したのが、前述したNOMARESのvox&GとDsの二人。最初は遠慮しがちにぎこちない動きでモッシュしていたのですが、徐々に徐々にアクションがデカくなっていき、終いには周囲やバンドを巻き込んでピットを形成し、はしゃぎまくり。一歩間違えると「空気を読まずに好き勝手に暴れてるだけ」という最悪な状況に陥りそうですが、そこはそれ、彼らは既に「天然」というレッテルが貼られていたのでw、周囲の面々もけして不快には思わず、むしろヤギサワさんを筆頭に積極的にモッシュに加わっていきまして、スタジオライブとは思えない雰囲気に。
 そんな周囲の理解を得て、連中は益々ヒートアップしていき、voxの方にハイタッチしたり、床に滑り込んだりとやりたい放題w。ワタクシも、そんな光景を慈しむ目で見守っていたのですが、終盤、ちょっとだけ輪に加わってはしゃいでみたり。でも、メガネケースを持っていなかったので、今ひとつ集中できずにはしゃいだせいで、うっかりと誰かにブチ当たったときに唇が軽くペロっとめくれてしまい、鉄錆の味が咥内に広がっちゃったりしましたが、まぁそれもまた好し。フロアの空気に触発されたのか、アンコールに応えたSHORT FUSEが意外な引き出しを開けてきまして。なんと、voxがG、GがDs、そしてDsがvoxという大胆なパート・チェンジを敢行しまして、SxOxBのカヴァーを2連発で披露。Dさんが豪ノリしまくってたのが印象的でしたよw。
 一本スジが通っていながらもヴァラエティに富んだメンツでしたが、どのバンドの持ち味も存分に発揮されたし、ブラジルの天然パワーも上手い方向に作用したしで、存外に楽しい企画でございました。
 終演後、会場で合流したANTさんも一緒にDさんの車で帰路に着いたのですが、なんとなく車中の会話の流れで「登戸までラーメンを食いに行こう」ってなコトになりまして、軽く珍道中なんかも繰り広げたりしたのですが、既に閉店時間を過ぎていた、というお約束なオチが待っていたりしまして、結局近所のサイゼリヤでメシを食ってから自宅まで送っていただき、長い一日を終えたのでした。

*1:だが、これをバネにしまして、翌日の西荻では大爆発するのですが、その日のレポは後日改めて

*2:VOCO PROTESTAの誰かがいらっしゃったとか

*3:この日演奏された曲は一曲も収録されてなかったそうで

*4:ex.BEYOND DESCRIPTION

*5:ex.LE FAIT TUER

*6:ex.LE FAIT TUER