9/29 "Hardcore Frontline"@初台WALL / HIDGE / DECISION / COUNT OF STRENGTH / ANGEL O.D / AND BELIEVE / NO VALUE

 17時半頃に新宿に到着。早速とらのあなに向かうも、探してたショタ系の単行本*1も同人誌も無くて、早くもしょんぼりモードに突入。肩を落として店を後にし、しゃーないからヨドバシでAIRでも買って、とっととWALLに行こう・・・と思いきや、気がつけば時刻は18時を回ってまして、ヨドバシで買い物してたら開演に間に合わないっぽかったので、泣く泣くAIRを諦め、半ベソをかきながら初台目指して移動移動。


 WALLに入ると、KGさんやYHさん、Rさんらに相次いで遭遇。ちとご無沙汰してたので、ご挨拶。で、開演までの間、KGさんと宅録談義に花を咲かせる。ループの難しさとか、音の組み立て方の試行錯誤とかの悩みどころが似通ってたのが、なんか嬉しかったり。なんせワタクシの周りは玄人ばっかなんで、あんまこういう悩みをシェア出来ないもんでw。


 てなコトをしてるうちに、トップのHIDGEが登場。vox、G、B、Dsの4人組。Bは5弦ベースを持っていたので、ちと期待。しかしてそのサウンドは、ブラストを組み込んだ突進型のHC。曲調は、強いて言えばDROPDEAD辺りに近いかも。尻上がりに調子を上げてて悪くはなかったんですが、どうにも惜しいっつーか。なにより気になったのが、音作り。曲調的に、ボトムを効かせたサウンドのほうがハマると思うのですが、重さを感じさせてくれたのはドラムだけ。ギターは普通のHC的にはアリな、中音域重視の柔らかなトーンだったので、攻撃的なリフを弾いても音の輪郭がぼやけてしまい、どうにも締まらない。ベースも同様に中音域重視な音色になってまして、ギターと音域がバッティングしてしまい、これまたぼんやりとした締まりの無い音に。おかげで、5弦ベースを使ってる理由が分かりませんでした*2。voxはHERESYばりにジャンプをキメまくっていたのですが、ちと無理から飛びすぎな感は否めず、終盤、跳躍力が目に見えて落ちていくトコは、微妙に哀愁を感じずにはいられませんでしたw。基本的に悪くはないと思うのですが、細部のツメが甘いかな、と。
 二番手はDECISION。vox、G、G、B、Dsの5人編成。Dsは、HIDGEのDsの方でした。ポップさやキャッチーさ、はたまた叙情性なんかも取り込んだ、若干Youth CrewっぽいHCなのですが、どうにも悪い意味で「雑」。基本的に楽曲を聴かせるタイプのいサウンドであるにも関わらず、演奏の錬度が低く、ミスが目立つ。しかも、バンドとしてのアンサンブルというか一体感が弱く、演奏に勢いが感じられない。voxも頑張ってはいるのですが、絶対的に気迫不足。それでいて、ポーズとかはきっちりキメたりしてるので、ちょっと・・・ねぇ?途中のMCで、Gの一人がヘルプとのアナウンスがあったので、バンドとしての整合感不足も致し方無いとは言え、それを差っ引いても、ちと微妙。それと、最初に出たHIDGE同様、このバンドの音作りにも疑問が。ベースの音がメタリック過ぎて、明らかにサウンドから乖離してました。楽曲に則すなら、もっと柔らかいトーンにしたほうがハマるんじゃないかなぁ、とか。音色や演奏などの細部に注意するだけで随分と印象が変わると思うので、今後も精進していただきたい。


 三番手はCOUNT OF STRENGTH。vox、G、B、Dsの4人組。キャッチーなYouth Crew系サウンドが身上なのですが、実に隙の無いステージングを披露。過不足の無いタイトな演奏をバックに、小気味良い動きで縦横無尽に動き回るvoxは、実に華やか。バンドとしての整合感も申し分なく、ある種「プロ」っぽくすらある。楽曲のクオリティも相変わらず高く、可愛げが無いぐらいソツが無かったですw。


 お次は、ANGEL O.D。5人編成になってからは初めて観るので、期待と不安が入り混じる心持でスタートを待つ。ジャムっぽいカンジで各々が音を鳴らし始め、独特の緊張感を孕んだ空気がじわりとフロアを侵食していく。そんな空気がフロアに満ち足りたところで、スタート。と同時に、ちと驚く。なんとなく、以前よりもノイジーでカオティックな方向にシフトするんじゃないか・・・と事前に予測していたのですが、それが良い意味で裏切られまして。意外にもHC方面にサウンドがシフトしてました。以前よりも複雑で、典型的なHCのフォーマットではない楽曲*3が増えたにも関わらず、放たれている音はHC以外の何物でもないという。それに伴い、過去曲も大幅に改編。中でも度肝を抜かれたのが"Golf"。なんと、イントロにPOISON IDEAの"Plastic Bomb"のイントロ部分を組み込むという大胆なアレンジを披露。一瞬我が耳を疑いましたがw、すぐさま両手を挙げて大盛り上がり。その部分に反応してた人は少数でしたが、気にしない方向でw。
 そんなアレンジにも顕著に現れてますが、新生ANGEL O.Dは「聴かせる」意識が飛躍的に向上しています。出音のバランスにも細心の注意が払われているし、演奏力も格段に向上。以前なら暴れまくってぐっちゃぐちゃになるっていうのがお約束であり、全ての音が渾然一体と化すカオスっぷりが魅力であったのですが、今は、従来のテンションそのままに暴れまくっても、演奏はきっちりこなしていて整合感ありまくり。「魅せる」特質を活かしつつ、新たに「聴かせる」特質をも披露してくれるようになったので、頼もしい限り。
 それと、個人的に感心したのが、RIRYさんのステージング。対になるvoxが脱退し、一人残されたプレッシャーは計り知れないものがあると思ってたので、無理から、不自然なまでにテンションを上げるような痛々しいスタイルになってるのかも・・・という余計な危惧を抱いていたのですが、まさに杞憂。RIRYさんは実に自然に、湧き上がるテンションを素直に炸裂させており、不自然さは皆無。むしろ、終始にこやかですらありまして。が、その笑顔はGOD'S GUTSの谷口さんと同質の、凄味を感じさせる「それ」であったのが印象的。
 実際に目の当たりにして思ったのですが、vox脱退という重大な局面を、見事なまでにプラスへと昇華させたなぁ、と。そこに至るまでには当然紆余曲折があったとは思うのですが、結果的に「吉」となったのでは。以前の抜き身の刀のような「寄らば斬るぞ」的な危ういスタイルも良かったのですが、今の「コントロールされた狂気」というべきスタイルの放つ凄味も、実に素晴らしい。前にも増してOne and Onlyな存在になったのではなかろうか。未見の方は、是非一度ご覧あれ*4


 お次は、AND BELIEVE。とりあえず、Gの方が短髪になり、黒のロンT&黒のスリム・ジーンズ姿という、一瞬BOØWY時代の布袋と見紛うような出で立ちになっていて、度肝を抜かれるw。ルックスと共にプレイも一層奔放になっており、かなり弾きまくるギター・ワークが良いアクセントに。基本的に従来の楽曲中心のセットだったのですが、演奏にニュアンスを出すべく、細かい部分でタメとかを効かせたりして、従来の曲を地味にアレンジしてたのが印象的。一方、新曲*5のほうはミッド・テンポを活かした曲で、かなり燻し銀な仕上がり。アルバムの中とかで映えるような感じで、個人的には好きだなぁ。
 なんつーか、昨年よりも良い意味で自然体になってきた気がしました。バンドとしてのアンサンブルも良好ですし、voxの方のアクションも、昨年は結構キメキメだったのですが、昨日は計算されてるカンジじゃなくて、自然な感じがして*6良いなぁ、と。それと、チューニングとかの合間も絶えず音を鳴らし続け、軽くジャムっちゃうトコを観て、思わずにんまりしちゃったり。こういう瞬間もムダにしないバンドが好きなのですよ。良い意味でYouth Crewという範疇を超え、より普遍的なHCへと深化してきてる気がしました。


 トリはNO VALUE。女性vox、G、B、Ds。ブラストを織り込んだオーセンティックなUS風味なThrash HC。高い演奏力で疾走するバックを従え、女性特有のカン高い声で喚きまくるvoxが乗るというスタイル。楽曲は結構好みではありますし、普通にカッコ良いとは思うのですが、なんとなく今一つ感が否めないっつーか。最大の理由は、セットリストの問題かなぁ、と。なんぼカッコ良いとはいえ、基本的にシンプルな楽曲なので、連続で聴くと飽きる。好意的に捉えれば「畳み掛ける」という表現も出来ますが、fastcoreと違い、1曲が2分弱ぐらいあるので、あんま連発されると畳み掛ける云々では済まされない気が。ラストにR&Rっぽいパートを含んだ曲が披露されましたが、時既に遅し・・・。こないだの八王子のライブの出演順も然りなのですが、セットリストにも気を配って然るべきなんじゃなかろうか。前述した音作りのコトといい、ちょっと考えるだけで、さして労せずして向上する余地がある部分に、何故考えが及ばないのかしら?まぁそんなカンジで、周囲の盛り上がりとは裏腹に、個人的にはちと不完全燃焼なラストでございましたよ。ま、例によってワタクシが穿って見すぎなんでしょう。
 終演後は、YHさんやRさん、KGさん、途中から来てたTPさんらと談笑。特にYHさん、KGさん、TPさんの御三方とはじっくりお話が出来たので、実に楽しかったです。ライブハウスでオタ話をしなかったのは、久しぶりだったなぁw。

*1:メイド少年クーロ君

*2:それを差っ引いても、あんま凝ったフレーズは弾いてなかった気が

*3:所謂カオティック系の方法論とも違う

*4:蛇足ですが、途中でLOW VISIONの中の方が乱入してツインvoxになってましたが・・・余興の域を出なかったかな、とw

*5:2曲ぐらいあった気が

*6:だから、時折もっさい動きとかも混じるw