9/17 "EYES=合図 2"@小岩eM SEVEN / ONE WAY DOWN / SPY MASTER / 9 HOURS / LONG BALL TO NO-ONE / DIET CHEAT / GOD'S GUTS

気力が回復したので、昨日は小岩に行ってきました。
 珍しく早い段階で仕事のメドがついたので、ちょっと早めに家を出て、そぼ降る雨の中、アキバ目指して電車を乗り継ぎ。結果、17時頃にアキバに到着。地元ほどではないですが、弱い雨が降っているにも関わらず、さすがの人出。
 あまり時間も無いので、K-BOOKSを飛ばして、初手からメロンブックスへ。お目当てはハースニールの新刊。今回もノーマルverとふたなりverがあるという、一時期のUK Guitar Popばりな商品展開をする手法に眉をひそめつつも、2冊ともしっかり買ってしまう自分が可愛い。単行本その他等もチェックするも、さして目ぼしいブツも無かったので、件の2冊を持ち、恒例のレジ待機列に並ぶ。幸い、昨日は10分も並ばずに済んだので、僥倖。
 メロンの次は、迷わずにとらへ。いつもなら5Fからの巡回なのですが、昨日は6Fから。その理由は、モグダンの夏の新刊セットを買うため。先日、モグダンの夏の新刊の委託販売が開始されたのですが、その価格が¥945。8月の下旬に、とらの6Fで、夏の新刊セット*1が¥1500で売られてたのですが、オフセ1冊で¥1000近くするんだったら、セットの方がお得かなーとか思ったので、まだ残ってるなら買っちゃおう!と目論んでたワケで。が、皆考えるコトは同じなようで、件のセットは影も形も無くなってまして、しょんぼり・・・。
 気を取り直し、ネットで見かけて気に入ったサークルの新刊を買おうと階下のフロアを探してみたのですが、見当たらず、輪をかけて凹むワタクシ。あぁ・・・もう、おウチに帰ろうかなぁ・・・と沈む気持ちを奮い立たせ、某氏に頼まれたブツを買うべく、メッセサンオーに向かう。すると、そこではあっさりとブツが見つかりまして、なんとなく嫉妬w。会計を済ませ、ふとケータイをチェックすると、時刻は既に17時50分前。18時にはアキバを出ないとマズいので、TRADERでのエロゲ漁りを諦め、駅へと舞い戻り、一路小岩へ。
 18時20分頃にeM SEVEN前に到着したのですが、普段なら誰かしらたむろっているはずなのに、昨日は全く誰もおらず、「もう始まってるの!?」と一瞬不安に駆られるも、階段下のバナーを見ると、しっかりと18時半startを書かれており、ほっと胸を撫で下ろすも、今度は別の疑念が鎌首をもたげてきまして・・・。案の定、チケットを購入してフロアの中に入ってみると、驚くほど閑散としてまして・・・。物販を売ってるテーブル方面にいるのはバンド関係者だし、パっと見、純粋な客は、先行して到着し、HTさんと談笑してたANTさんとワタクシを含む4〜5人・・・?久しぶりに絶望的な気分に苛まれつつも、HTさんらの談笑の輪に加わる。天気が悪いっていうのを差っ引いても、この状況は・・・と、一同微妙にしょんぼりしちゃったせいもあり、いつものオタ話にも精彩を欠く。みんな、オーセンティックなUSHCには興味が無いのかしら・・・(´・ω・`)
 とは言え、開演時間前後になると徐々に人も入り始め、最低限の体裁が整った辺りで、トップのONE WAY DOWNがスタート。UKメロディックに影響を受けたバンドではあるのですが、鋭利なギターの鳴りと歯切れ良く小気味良いベースライン、そして前のめりにも程があるってなカンジの爆裂ドラムが渾然一体と化して爆走していく様は、snuffy周辺のバンドとは明らかに一線を画す独自の進化を遂げており、正しく「メロディック・ハードコア」と呼びたいサウンド。ここまでハードコアの比重の高いバンドも、珍しい気がします。しかも、昨日は音の分離が良く、いつにも増してザラついていたせいもあり、なにやら"Metal Circus"の頃のHUSKER DUを彷彿とさせまして、シビれまくり。途中、疲れてちょっと休んじゃったりする辺りに年齢を感じさせたりもしましたが(笑、気合の入った素晴らしいステージを披露してくれました。こんなステージを見せられちゃうと、サンクリ前だから行くのを止めようと思ってた、9/30@二子玉川PinkNoiseにも行きたくなっちゃうじゃんw。
 二番手は、SPY MASTER。春先以降観るチャンスに恵まれなかったので、久々。でも、ご存知のとおりDsのハットリさんが肋骨を折ってる状態ですんで、この日は縮小セットでお届け。"EYES"企画のお約束で、オープニングは"Eyes"でスタート。いやもうホントSPYは外さないなぁ。今まで何度も観てますが、内容に疑問を持ったステージにはお目にかかったコトが無い。しかも、ただ単に打率が高いアヴェレージ・ヒッターってだけでなく、それでいてホームランもかっ飛ばせるという、三冠王型のバンドなんで、素晴らし過ぎる。お世辞でもなんでもなくて、harDCoreスタイルのバンドの中では、世界でも屈指のレベルにあると思う。
 ナチュラルにポップでキャッチーで疾走感に満ち溢れた楽曲*2を軸にしつつも、BLACK FLAGを彷彿とさせる混沌としたテイストや、ミッドの渋い線なんかも巧みに織り込んでくる楽曲のクオリティは群を抜いて高いし、それを演奏するバンドのアンサンブルも絶妙。それでいて、老成したところを全くカンジさせず、常にギラギラと輝きまくってまして、その熱量に圧倒されっぱなし。特に昨日はvoxのウエムラさんのテンションが尋常じゃなくて、ジャンプしまくり吼えまくりで、カッコ良いのなんのって!テンション的には、ワタクシが過去に観た中では最高潮だったんじゃないかしら。それにハットリさんやフロアも呼応しちゃいまして、当初の予定よりも1曲多く演奏して〆。
 とにかく、SPY MASTERは一秒でも早くレコーディングしてアルバムを出すべき。仕事で時間の都合が取れないっていうのは分かるけど*3、何が起こるか分からない御時世だし、現状をいつまで保ってられるかなんて誰にも分からないんだから、「時」を逃すべきではないと思う今日この頃。
 三番手は9 HOURS。先月末に観たばかりなんですが、その時とはひと味違うステージを披露してくれまして。従来は7SECONDSを彷彿とさせるキャッチーでfastな曲で押しまくるスタイルで、実際序盤はそういうテイストの曲がメインだったのですが、中盤に中西部風味*4なミッドテンポのナンバーを炸裂させまして、これがシブくてカッコ良い。こういう意外な引き出しがあるのは、ベテランならではってカンジだなぁ、と感心しちゃったり。そんな曲を挿し込みつつ、ラストは御馴染みの展開の激しい曲*5でフィニッシュ。従来のドタバタした疾走するチューンも大好きなんですが、前述したミッドテンポの曲調が増えても、面白くなりそうな予感。VERBAL ASSAULTのような進化を遂げるのかしらw?
 続いては、この日出演したバンドの中で唯一未見だった、LONG BALL TO NO-ONE。ex.LOVEMENとして名が知られてますが、ワタクシ、ぶっちゃけLOVEMENには大した思い入れも無かったですし、唯一聴いたコトのある楽曲*6も、「なるほど」ぐらいにしか思わなかったので、今まで全く興味が湧かなかったワケでっつーか、むしろ敬遠するぐらいの勢いだったのですが・・・

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                       誠意を持って謝ります。 
    ↑誠意の時間

 序盤は、仏頂面して斜に構えて観てたのですよ。「あぁ、思ったよりも良いんじゃなくって?」ぐらいなカンジで。ところが、曲の細部を聴いていくうちに、徐々に徐々に魅了されはじめていきまして。涼しい顔をしながら、タイトでパワフルなドラミングを魅せつけるDs*7、高いテンションで絶叫しながらも、しっかりとうねるB*8、線が細く、一見ひょろっとしてるんだけど、妙にアクションが激しく*9、それでいてパーカッシブなギターの絡みなんかもキッチリと合わせてくるG*10、そして同じくパーカッシブなギターの絡みを踏まえつつ、叫ぶように歌うvox&G*11が織り成すサウンドは、前述したギターの絡みや、若干金属質な音の鳴りからして90年代のDISCHORDやポスト・ハードコア*12の影響が感じられるのですが*13、ベースとなる楽曲自体はUKメロディック系のテイストが感じられまして、その組み合わせが実に面白い。
 テクスチャーはUKメロディク調の曲なのですが、そこにキレの良いノイジーなギターとかをかぶせるコトにより、エッジが立って攻撃的なんだけど、しなやかで芯のある、力強くも柔らかいサウンドに仕上がるという、ありそうで無かったサウンドへと昇華しておりまして、これがもうたまらなくカッコ良い*14。ギターとかがギャンギャン鳴りまくってるにも関わらず、サビのコーラス*15とかがめがっさキャッチーだったりして、奇天烈極まりないw。もっとクールでスカしたイメージを持ってたのに、アクションとかも熱いし、音からも情念が感じられて、熱い熱い。emoだカオティックだ、なんていう範疇を優に飛び越え、ギター・ロックとして抜群の完成度を誇っているのではないかと。
 この日のメンツでは異色でしたが、個人的には一番衝撃を受けました。終了後、すぐさまメンバーに感動の程をブチ撒けるというイタい行動をカマしちゃうぐらい良かったw。ついでに10/1のレコ発のチケットも買っちゃいましたよ。いやー、俄然10/1が楽しみになってきたわー。で、さっき件のsnuffyのV.A.を聴きなおしてみたんですが・・・今に通ずるテイストは若干感じられるものの、やっぱ、あんま良くないw。この頃*16とはメンバーも違うんで、致し方無し。昨日のライブでも、1stからは1曲しか演ってないって話だったし、HTさんが言うには、現在の編成になってから音楽性が変化したって話だったので、良い時期に観れて良かったな、と。1stの頃はBRAIDっぽいって話なので、その頃観なくて良かった。
 そんな感動のステージの後に登場するは、SPY MASTERと共に今回の企画の主催であるDIET CHEAT。このバンド、観る度におかしくなっていくのですが、昨日もご多分に漏れず、エラいコトになってました。vox、G、B、Dsの4人組。ちょっと大袈裟に言うなら、現代のBIG BOYSってカンジですかね。性根まで屈折してるんじゃないかってなぐらいにねじくれ曲がったド変態チューンが持ち味なのですが、そのねじれ方がどんどんどんどん極端になってきてて、素晴らしい。ショボショボな音色なんだけど妙に凝ってるリフを紡ぐギターに、時にファンキーですらあるベース、そして軽めで、ちとバタバタしたドラムに、喚いたり呻いたりするナチュラル酩酊風味なボーカルという面々が放つサウンドは、奇妙奇天烈摩訶不思議。音の隙間を活かすべく敢えてスカスカにしてると思われる音作りの下、1分もしない曲にも関わらず、ファンキーなフレーズからブラストからstop & goまでが織り込まれてたりするんだから、面白いに決まってる。
 ただ、まだ楽曲の奇天烈さを余裕で乗りこなすって段にまでは至っておらず、真の力を発揮するには、もうちょっと時間がかかるかな、と。まぁ結成して1年とかそれぐらいのバンドだと思ったんで、そこら辺は致し方無し。観る度に面白くなってきてるので、そこら辺は時間が解決するんじゃないのかしら?デモ音源もリリースされたのですが、DEMOをDEVOと引っ掛ける様なセンスを持ったバンドって言ったら、ちょっとは惹かれる方もいらっしゃるんじゃないかしら。
 そして、トリはGOD'S GUTS。ベースの谷口さんは、直前まで下北沢でidea of a jokeのライブをやってたにも関わらず、強行出演。無論リハも無しだったそうなのですが、そんなコトを全く感じさせない懐の深いステージを披露してくれました。
 個人的には、1曲目に今回の企画とかけて"Eyes"をやってくれた時点で、昇天。なんせ、この曲をライブで聴いたのは十数年ぶりですものw。当時とサウンドのバランスは違うものの*17、今の音*18で聴く"Eyes"には新たな魅力が感じられて、ただただ感動。2曲目以降は最近の曲が続きましたが、特筆すべきはインスト・パートの充実っぷりでしょうか。殆どセッションに近いような感じなのですが、バンドとしのアンサンブルや阿吽の呼吸っぷりが実に見事で、熱いんだけど柔らかな音色の洪水に夢見心地でたゆたってしまいまして、至福至福。
 GOD'S GUTSは、楽曲の素晴らしさもさることながら、個人的にはベースの谷口さんに惹かれまくるワケですよ。今まで、それなりに色んなバンドとかを観てきましたが、谷口さんほど楽しげに演奏する人は、なかなかお目にかかれません。歯を剥き出しにするぐらいの豪快な笑みを浮かべながら、踊るようにベースを弾く谷口さんの姿を観てるだけで、こっちも幸せな気分になるっつーか。だって、いい年こいたヒゲ面のおっさんは、普通こんなに無邪気な笑みを浮かべられないですよw?そりゃーこっちも釣られて笑顔になりますわ。しかも、その楽しさは、けして軽薄とイコールではなくて、しっかりと大地に根ざした、ある種の雄大さすら感じさせる器のデカさを感じさせてくれるワケですよ。そういう人間としての魅力がシンプルなギター・ロックに内包されてまして、なんかもう色んな意味でカッコ良いなぁ!と。一旦ステージが終了後、場内のコールwに応え、"Notebook"*19を演奏して、幕を閉じたのでした。
 本当に楽しくて素晴らしい企画だったんだけど、色々考えさせられるコトもありまして。
 俺に出来る事は、昨日の素晴らしさ、楽しさを拙文にしたため、不特定多数の目に触れる可能性のあるネット上に置いておくことぐらい。願わくば、昨日の熱さや楽しさが、読んでくれた方に、ほんの一欠けらでもいいから伝わって興味を持ってくれたら嬉しいなぁ、と。

*1:恒例のオマケ本付き

*2:初期DAG NASTYばり!

*3:年齢が年齢だから、責任の重さも若手とは比較にならないだろうし

*4:MOVING TARGETSとかHUSKER DUとかJONES VERYとか

*5:ミッドとファストを行ったり来たりする曲

*6:snuffyのV.A."I Hope The End Is Always The Beginning""収録曲

*7:ex.LOVEMEN

*8:ex.INTERNATIONAL JET SET

*9:ジャンプしたり滑り込んだり。時折、ステージ袖に向かって滑り込んでたw

*10:ex.SCRATCH TOMORROW

*11:ex.LOVEMEN

*12:懐かしい呼称w。QUICKSANDみたいなカンジね

*13:このギター・ワークは、nemoにも通ずると思う。nemoがKEROSENE454とすると、LBTNがJAWBOXっつーか

*14:知人が指摘してましたが、GARDEN VARIETY的でもある。あれをUK寄りにしたカンジっつーか

*15:フロント3人で合唱

*16:2002〜2003年

*17:昔は音が薄いんだけど音圧が高かった

*18:ベースが野太くなり、サウンドを牽引。ギターは当時のままな繊細で鋭利な鳴り

*19:これまた久しぶり!