9/18 NO YARD/PRATFALL/PALUKA/BANJAX/TRIKORONA/ENCROACHED@吉祥寺RINKY DINK STUDIO

 リアルタイムじゃないけど、なかなか楽しかったので書いときます。吉祥寺には久しく行ってなかったのですが(LOS CRUDOS観に行って以来かもしんない・・・10年ぶりw?)なんとか道に迷わずにたどり着く。この日の会場となったスタジオは、今まで観たスタジオliveの中でも最も小さい部類だった(細長い造りで、観る側のスペースは30人も入ればギチギチ)。トップはex.FOODCHAIN、TOO CIRCLE RECORDS主宰の前田さんのバンド、ENCROACHED。vox、G、B、Dsの4人編成。80年代初頭のDC系をベースにしたソリッドなHardcore。不穏なコード進行なんかも織り交ぜつつも、いわゆるThrash系とも若干異なるヴェクトルのサウンドは、なかなか。前田さんのvoxも、序盤こそいささかテンション低めでしたが、徐々に気合が入ってきて良い塩梅。独特の緩い動きを魅せつつもテンションの高い叫びを聴かせてくれました。バックの演奏も安定してます。でも、トータルだとまだまだといった感は否めないかも。何より気になったのが、演奏。安定してて上手いんですが、発せられてる音から感情が伝わってこない。前田さんのvoxは遠慮こそ(客にぶつからないよう気をつけたりとか)伺えたものの、振り絞って叫ぶ声にはなにかを感じられたのですが、バックがそれに応えきれていない。ま、まだまだ数えるほどしかliveやってないんで、しゃーないっちゃしゃーないんですが。特に凝った楽曲のテクスチャーで勝負しようってなサウンドじゃないと思うんで、もっとはっちゃけて欲しいなー、と。
 お次はTRIKORONAなんですが、ここでちょっとしたハプニングが。BのDiekenさんが行方不明w。服部さんとかがケータイに連絡するもつながらず、遂にはメンバーが探しに出たりするという事態にw。結局無事見つかってw事なきを得たのですが、10分以上だだ遅れになってしまったりしたせいか、序盤は明らかに精彩を欠いてまして。傍目にも気合入ってないのが丸分かりという状態。期待してただけにちょっとがっかりムードで観ていたのですが、一度セッティングとかをし直してから、俄然スイッチが入った模様。突如としてGのKoreedaさんが狂ったように痙攣しだし、服部さんの叩き出すビートも強靭に。voxのKoyamaさんの絶叫にも情念がこもり、元凶wのDiekenさんのベース・ラインも前回よか明確な輪郭を伴って這いずり始めました。前回は初見というコトもあってあんまじっくり観れなかったんですが、いざじっくり観てみると、もの凄く細かい音をいっぱい仕込んでいるコトに驚かされます。とくにGのKoreedaさんの多彩なフレーズや奏法の数々には関心しきり。そりゃーレコーディングも長引くわw。
 前回観たときに「スマート」と評したのですが、今回は前回余り感じられなかった生々しさが前面に押し出されてたのが印象的。サウンドの輪郭が前回よりはっきり聴こえたせいもありますが(vox含め)それ以上にメンバーの内面から沸きあがる衝動が一体となって吐き出されていたように思えました。個々も良かったのですが、それ以上にバンドとしてのアンサンブルが際立っていたように感じます。ともすれば複雑な楽曲を有するが故のジレンマ(演奏に力点がおかれてしまい、感情が疎かになってしまう)に陥りがちな感も否めないと思っていたのですが、それを力で捻じ伏せていましたね。こうなってしまうとその複雑さもより輝きを増すというもので、怒涛のパワーと溢れる音の洪水の前になす術無し。前回よりも確実に進化した姿を魅せつけてくれました。待望のデモもリリースされ(そのうちreviewします)、いよいよ目が離せなくなってきた。次回のliveは9/24@高円寺20000V。DOT(.)やMOTHRAという濃ゆい面子が対バンなんで、暗黒好きな方は是非w。
 3番手はBANJAX。vox、G、B、Dsというオーソドックスな編成の女性4人組。名前は聞いていたのですが、実際に音を聴くには初めて。これがなかなかカッコ良かった。基本は音数の少ないシンプルなUS Hardcore Punk。音数少ないって書きましたが、これの要因はDs。ちょっと面白いぐらい手数が少ないんですが(Fastな曲でも手数が少ない)、それが独特の味を醸し出していて極めて効果的に作用しています。個人的なイメージとしてはアナーコっぽいのかなぁ、とか思っていたのですが、なんつーか西海岸風味っつーか。Gのリフとかは"Suffer"や"No Control"の頃のBAD RELIGIONっぽいんですが、歌メロとかはあんまないんで甘くはなっておらず、そのさじ加減なんかも絶妙。色んなイミで危ういバランスの上に成り立ってるバンドってな印象かなぁ。多分Dsがこれ以上上手くなったら、あんま面白くなくなる気がする。シンプルなHardcore Punkサウンドが心地良い。
 お次はPALUKA。久々に観たんですが、こちらもかなりの進化を印象付ける内容。特筆すべきは、ミッド・テンポでのインストの充実っぷり。ともすればファンキーとすら感じられるBと表情豊かなGとの絡みは、かなり個性的。音が似てるとかいうんじゃないですが、BIG BOYSやRKLみたいな曲者風味を醸し出しています。それに比べると、Fastなパートではあんま興味をそそられないです。ミッドで感じさせてくれる懐の深さや奥行きがあまり感じられない。基本的にハイ・テンションとか気合が売りなバンドじゃないんで、普通に速い曲とかやってもどうにもパンチが効かないっつーか。ここが改善されると、PALUKAの個性は確立されると言っても過言ではないでしょう。ミッドであれだけ聴かせてくれるんだから、きっとFastでもやってくれると信じてます。ちなみに、ラストに先日亡くなったJohnny Ramoneに哀悼の意を表して"Blitzkrieg Bop"を演ってました。意外にハマっててカッコ良かったぞw。
 そして個人的に観てみたかったバンド、PRATFALLが登場。voxは言わずと知れたex.SLIMEFISHER、FALL TO FLAKE(SWIPEのメンバーと演ってたバンド)、Hi-STANDARD(4人編成の頃のvoxだったのは、ココだけの秘密)、etcの松本さん。SLIMEFISHER解散後のバンドは観る機会がなかったので、実に10年以上松本さんのステージを観てなかったのですが、超久しぶりに観てもやっぱカッコ良かった。なんつったって、眼が良いよね。Dez Cadenaみたいな「犬の目」をしてる、数少ないvoxの一人。伊達に年輪刻んでないってカンジでシビれます。バックも強力で、指弾きでバキバキ攻める攻撃的なB、ロッキンで味のあるフレーズ連発の歌心あるG、タイトなDs。楽曲も、ソリッドなHardcoreから燻し銀のメロディがキラっと光るメロディアスなPunkチューンまで一本筋が通りつつも多彩。やっぱ、きちっと歌えるvoxがいるっていうのは強みだねー。絶叫とかしなくても、強靭で躍動感溢るるサウンドはたまらなくHardcore Punk。いまどきっぽさは皆無に近いけど、それ故に新鮮に聴こえます。もっと観たい!聴きたい!!と思わせてくれる、旨みたっぷりのステージングを披露してくれました。また観に行こう。
 で、本日の企画の主宰であり、初ステージのお披露目となるNO YARDはDANCE WITH MEのDs、HAGGYさんのサイド・プロジェクト。自爆風味なSelf Boastを繰り返し、開幕前から暖かい失笑を一身に集めていたHAGGYさんですが、それも音を出す前まで。いやいやいやいや、もの凄くカッコ良いですよ!?さながら倍速JERRY'S KIDSとでも言いたくなるような、爆裂Fast。いわゆるPower Violenceとは一線を画する往年のBostonの薫りもかぐわしい、破壊的なサウンドが凄まじすぎ。絶叫しまくりながら怒涛のドラミングを披露するHAGGYさんは勿論、終始キレまくりなGとBも文句なしに素晴らしい。弦を掻き毟り暴れつつもしっかりと演奏も忘れておらず、三位一体と化した暴力的な音塊の前にただひれ伏すのみ。でも、ファニーな要素も満載なんで、皆ニコニコ。なんとなくSTIKKYのliveもこんなかんじだったのかなぁ、とか思ってみたり。とにかく、まともに活動したらすぐに人気出そうなバンドでした(でも、次のliveは半年後とか?もっと演ってほしいぞ)。そんなカンジで3時間近い長丁場ながら、かなり楽しめる企画でした。HAGGYさんのフリー・スタイルも堪能できたしなw。
http://photo.www.infoseek.co.jp/AlbumPage.asp?un=101374&key=1094865&m=0(今日の写真はこちら)
 相変わらずひどい写真でスマン・・・orz