LUNGFISH/uri gagarn @渋谷 nest

 散々ぱら悩んだあげく「次の機会があるという保障は無い」との結論に達したので、重い腰を上げて一路渋谷へ。
 渋谷に降り立つのは、実にCRO-MAGSの来日公演以来だから、およそ1年2ヶ月ぶりくらいでしょうか。脳内で毒づきつつもnestを目指す。nestって、名前は聞くけど何処だか知らなかったのですが、ON AIRの系列だったのね。おかげでなんとか道に迷わずに辿り着いたのですが・・・なんか結構な人だかりができてますよ?つーか、謎のバイカー集団が集結してるんですが。どう見てもLUNGFISHの客じゃないよなーとか思ってたら、やっぱ違いましたw(ジーカンズの辺りにたまってた)。で、そんな集団を横目に目印のコンビニを目指すと・・・今度は、微妙な客層の集団がいますよ?ヲタくさい、とまではいかなくても、これまたLUNGFISHの客じゃないだろーとか思ってたら、ON AIR WESTで田村直美のコンサートがありまして。つーか、田村直美ってまだやってたのか<失礼。一瞬、田村=ゆかりんと脳内変換してしまったのは、ここだけの秘密w。なんか濃ゆい人たちが集う場所に出くわしちゃいましたが、肝心のLUNGFISHの客っぽい人が見当たらない。とりあえず、当日券の情況を確認すべく、6Fへ。
 当日券は18:30頃からの販売になるとのコトだったので、コンビニ前でI've聴きながら(ぉ ぼんやり人通りをヲチしたり。ちらほらとぽい方は見かけるんですが、それにしても客が少なさそうな悪寒。とか思ってたら、LUNGFISHのvox、Daniel Higgsが普通に俺の目の前通って行きましたよ?思わず2度見してしまうぐらいのインパクトwでしたが、周囲はこれといってリアクションするでもなく(数人気付いてたみたい)、これで今日の客の入りが予想出来たっつーか。
 18:30を回ったところで、再度6Fへ。無事当日券を入手するも、よく見れば前売り券の売れ残りらしく、前売り料金を消して当日料金のスタンプを押した後が・・・(;つД`)。ともあれ、物販をやってたカトマンさんに軽く挨拶してから、ワン・フロア下のホールに移動。なんでこんな変則的な構造なんですかね?つーか俺、高所恐怖症なんで、外階段使って階下に移動すんのめっさ怖かったんですけどw。よっぽどのliveじゃないと、もうnest(゜⊿゜)イカネw。
 おっかなびっくりしつつもフロアに入ると、中はがらんがらんw。・・・えーっと、18:40の段階で客が13人っていうのはどうなの?想像以上に狭いスペース(桜ヶ丘QUEENを横に少し広げたぐらいの大きさ。キャパ100人強ぐらい?)の端々に人が腰掛けてますた。なんぼなんでも客少なくね?不安におののきつつも、じっと時を待つ。
 徐々に客は入りつつあったが、それでも多く見積もっても7,80人といったトコでしょうか。ハコちっさかったんで、立錐の余地無しっつー事態も止む無しと思っていたのですが、悲しいかな取り越し苦労だった模様・・・。うーん、こんなに集客力無いバンドなのかなぁ・・・。などとしょんぼりムードにひたってたら、ようやくフロント・アクトのshowが始まる。
 今日のフロント・アクトは、トリオ編成のバンドuri gagarn(ユーリ・ガガーン)。これがなかなか面白い編成のバンドでして、vox&G&Dsの男、G&Kbの女、Ds&G&voxの男という変則的な編成。途中何故か一曲だけGとDsがパート・チェンジしたりして、一風変わったステージでした。で、サウンドなんですが、女性Gが単音弾きを基調としたベース・ラインを担当(基本的に)、男性Gは変則的なコードを使ってちょっとディスコーダント風味なんですが、リズムがパワフル(日本語ベラベラな海外の方が担当)なんだけどシンプルだったりするんで、屈折とまではいかないバランス。序盤はちょっとテンションも低めだったんですが、徐々に気合も入っていき、なかなかのギター・ロックを披露。パート・チェンジした曲はかなりemoっぽかったりしたんですが、全体的には所謂emoとはちょっと違う印象。どっちかっつーとBLOODTHIRSTY BUTCHERSとかに近いかも(あそこまで歌の要素が強くはないですが)。全体的にインスト・パートが魅力的なんですが、その反面voxなんかはまだまだ改良の余地があると思います。そこら辺がクリアされると、かなり良いバンドになるんじゃないでしょうか。何曲か気に入った曲があったんで、音源も購入しときました。
 そんなuri gagarnは20:00前に終了。最前列真ん中(ステージに向かって、人一人分・左側)をがっつり確保し、今や遅しとを待つ。・・・が、結局20分近く待たされる。せっかくのテンションが下がりはじめたところで、今回の招聘主であるのカトマンさんのご挨拶。せっかくの晴れ舞台にも関わらず、ちょっと噛んじゃうところがお茶目w。そして、ついに御大LUNGFISHが登場。
 上のリンクの写真を見てもらえば分かっていただけると思いますが、かなり見た目は普通なんですが(DsのMitchell Feldstein なんて、ただの観光客にしか見えないw)やっぱそのオーラはハンパない。特にvoxのDaniel Higgsの存在感は、やはり一見の価値アリといったところ。どんな曲から始まるのかと思っていたら、なにやらDanielが口に小型の楽器(「ビヨョ〜ン」とか鳴る民族楽器の一種っぽいもの)を咥え、音を鳴らし始めます。始めは苦笑気味に眺めていたんですが、Sean Meadowsが幽かにベースを鳴らし始め、徐々に呪術的な響きが空気を支配しだします。そこで一気にオープニング・ナンバーに突入。このイントロの展開で、完全にノック・アウト。こんな変則的なオープニングは聴いたコトが無い。
 音源ではまったり風味な印象が強いんですが、liveはホントスゲェ。基本的に演ってるコトはシンプルなリフの反復なんですが、これが一筋縄ではいかない。シンプルなリフの機微をヴィヴィッドに表現する艶やかな演奏は、深い年輪を感じさせる芳醇な味わいも併せ持ちます。そして、特筆したいのがその独特のスタイル。こういうリフの反復スタイルっていうのは、近年ならMOGWAI辺りに代表される静と動の対比によって表現されるケースが多いのですが(静かなリフを積み重ねていってノイズ・ギターで炸裂、みたいな)LUNGFISHの場合は、基本的に反復に終始するのです。常に運動し続け、その運動の中に表現を集約させている、とでも申しましょうか。言うなれば、ハンマー投げの予備動作を延々とし続け、投擲に至らずに収束させるとでもいうか。単純に炸裂させちゃった方がカタルシスを得易いのは言うまでもないんですが、この独特の手法こそがLUNGFISHをLUNGFISHたらしめている気が。
 そして、この反復の連続というのが想像以上に心地好い。延々と同じリフを展開しているにも関わらず、いつまで聴いても飽きがこないのは、前述したように、随所に小技を効かせて微妙にそのトーンを変えているからでして(特にベースは上手いし、美味い)。俺なんかもう周りの迷惑省みず、ガンガン身体とアタマ揺らせまくりw(周囲は基本棒立ちでしたがw)。
 で、Danielですよ。この人、超ヤバいです。シンプルな長袖のワーク・シャツにスラックスという実に紳士然とした服装で登場したんですが、そんな紳士なルックスとは裏腹に、やってるコトは超エグい。とにかく、その声が凄い。一朝一夕には出せない魂の咆哮は、生半な絶叫ハードコアなど余裕で粉砕する凄惨さ。レコードとかとは明らかに異なるテンションで朗々と歌い上げる様は、ある種神々しくすらある。加えて、D.C.系特有(彼らはMarylandはBaltimoreのバンドですが)の意味不明なアクションの数々。天を指差したり、その場から幅跳びしたり、スピーカーによじ登って、その隙間に嵌ってみたりw、奇妙なステップを踏んでみたりetc...。いやもう全く以って計算されてないそのムーヴの数々に、クラクラw。
 そんなDanielの歌と、バックの演奏とが織り成すサウンドは、福音の如き響きとなり、心の奥底にまで沁み渡る。これは・・・聴いた人は騒ぐよなぁ・・・。シンプル故の深み。あぁ・・・幸せ・・・。
 いやぁ、参りましたよ。実に素晴らしいステージでした。惜しむらくは、この感動を皆様に伝えるのが遅くなってしまったこと。昨日も観に行ってれば、贔屓の引き倒しになろうとも、強く観に行く事を勧めるコトが出来たのに。生憎、今日が最終公演だったのです・・・。万が一、俺のここんとこの微妙にネガティヴ風味なコメントを見て、行くのを辞めた人がいらっしゃったら、平にご容赦下さい。・・・やっぱネガティヴなコメントって書いちゃダメだよなぁ・・・。ホント反省してます。LUNGFISHは素晴らしかった!天邪鬼な発言しちゃってゴメン!!_| ̄|○<反省してます・・・。
 ともあれ、未聴の方は、是非この機会に聴いてみて下さい。から試してみるのがオススメです。
 さすがに疲れたんで、もう寝ゆー(ぉ